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オトナの権利の国
権利詐称と、大人の資格「こうして、私は一晩で……」
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「あの娘です! 権利もないくせに、自分を大人だと偽っていた子どもは!!」
ペトラがハッと振り返ると、そこには小太りの男が油汗を掻きながら騒いでいるのが見えた。
男の周りには警察と思わしき制服の警官たちが警棒のような物を持って立っていた。警官はペトラを取り囲んで言う。
「すみませんが、権利証をご提示願えますか?」
「………………」
制服の警官はペトラを睨みながら言った。ペトラは黙ってしまう、当然と言えば当然だろう。ペトラの持っている大人の権利証は母親のものであってペトラのものではないからだ。
「どうしました? あなたが持ってる『大人の権利証』を見せてくださいと言ってるんです」
「あの、えっと、それは……」
警官の問い詰めにペトラはしどろもどろになる。すると、小太りの男が言った。
「聞いてください! この娘は自分は案内人だと言って旅人さんから不当に報酬を得ようとしていたんです!」
「………………」
ペトラは何も言い返せず、俯いていた。
痺れを切らした女性警官がペトラの全身を身体検査するように触っていると、大人の権利証を発見する。男性警官がバーコードリーダーのような機械で大人の権利証をピッと読み取ると、エラーと表示される。
男性警官はエラー表示を見て眉間にしわを寄せながらペトラを睨む。
すると隣にいた女性警官が、男性警官に紙を見せて相談しているのが分かった。そして男性警官が言う。
「この子って、行方不明の捜索願の子じゃないですか?」
「間違いない、彼女が行方不明の子どもでしょう。しかも大人の権利者に逆らった上に、権利詐称とは……情状酌量の余地はありませんね」
権利の詐称はこの国ではもっとも重い罪である。権利というものの信頼を踏みにじる行為に他ならないからだ。
「これは更生施設行きですね」
「待ってください! 私はただ――」
「どんな理由があろうと、法律違反であることには間違いない。違うか?」
それを聞いたペトラが必死に弁解しようとするが、男性警官に遮られてしまう。警官は先ほどまでの敬語が消えて、犯罪者を見るような目で睨みながら言った。
そしてペトラは警官の一人に手首をつかまれて、ガチャンという音が周囲に響き渡る。
――ペトラは生まれて初めて、両手に手錠をかけられた。
それを見ていた小太りの男が突然嗤いだして、
「うひょひょひょひょ、いい気味だ! せいぜい施設で反省しろクソガキが! ぺっぺっぺっ!」
「――きゃっ!?」
小太りの男が嗤いながらペトラに唾を吐きかけた。ペトラは悲鳴を上げて顔に飛んでくる唾を両手で防ごうとする。
水飛沫のような感触が手の平と腕、頭部に飛び散ってくるのが分かった。ねっとりとした男の体液が頭頂部からこめかみに流れ、頬を伝っていく。当然だが、唾液の独特な臭いがペトラの鼻に突き刺さる。
ペトラは小太りの男を一瞬睨んだ後、助けを求めるように警官を見た。
しかし警官たちは、そんなペトラをを冷めた目で見ていた。何も不思議なことはないと言った様子で見ていた。
当たり前と言えば当たり前だ、この国では子どもに権利などないのだから。しかも今のペトラは犯罪者、そんな人間に助けてもらえる権利などないのだから。
すると男性警官が肩についている無線機を使って誰かに連絡を始めた。
「午後六時三一分。権利詐称の犯人、および行方不明の子どもを確保! 更生施設に連行します。捜索願を出しているご両親に連絡後、権利局でこの子どものすべての権利の剥奪をお願いします」
「そんな……!?」
権利は状況によっては剥奪される場合もある。権利詐称などの犯罪行為の場合、一発でアウトだ。
最低限の生命維持活動の権利以外は、ほぼすべての権利が奪われる。大人が逮捕される場合は刑務所だが、子どもの場合は更生施設に送られる。
子どもの場合、大人と比べて権利の数はとても少ないので、あまり痛手はないように思えるが実はそうではない。
子どものうちに権利剥奪されるほどの犯罪歴があるということは、その後に得られるはずだった権利すらも奪われるのに等しい。つまり、『大人の権利』を永遠に失うことになると言っても過言ではないのだ。
公式には「更生施設で必要な期間を過ごし、更生したと判断された者は施設を卒業。社会貢献することによって『大人の権利』を認める」ということになっている。
しかし社会は一度過ちを犯した者に対しては冷たいのが常識だ。まともな人生を歩ませてもらえない者がほとんどだろう。
その結果、施設を卒業して社会に戻っても、再犯によって今度は刑務所行きになるのが普通である。そうなれば当然、新たな権利を得られるどころか失う一方だろう。
――ペトラは、今この瞬間に……『未来』を失ったのだ。
小太りの男がペトラに言う。
「ハッ! お前の親は育て方を間違ったんだろうな! 最低な父親と母親から生まれるなんて、俺なら即自殺するね! うっひょひょひょひょひょ!」
その時警官の一人が、
「子どもに対しての侮辱は認められますが、子どもの両親に対する侮辱は『大人の権利の侵害』に当たります。発言には注意してください」
「ひっ!? あ、その、申し訳ありません。前言を撤回しますです。はい……」
すると小太りの男は顔を青くして謝罪すると大人しくなった。
この国では権利を剥奪される条件に『大人に対しての侮辱』というものがある。
大人の権利を持つ者同士で争いが発生した場合、より権利の強い者、権利の数が多い者の発言が優先される。しかし例外として、権利の強い者でもやってはいけないことがある。
それは大人の権利を持つ者が、同じ大人の権利を持つ者に対して侮辱的な態度や、差別的な行為に及んだ場合である。
その者は大人のとしての資格がないと判断されて、大人の権利を剥奪される。これには権利の強さは関係ない。
相手が『子ども』ならまだしも、同じ『大人』ならば敬意を払うのは当然なのである。
ペトラは頭に布のようなものを被されて顔が見えない状態にされると、警官二人と共に車に乗った。
余談だが、この国の車は他の国とは違っている。大抵の国では馬車や竜車、蜥蜴車など、大型動物や魔獣に二輪の車を牽引させるものが多い。
しかしこの国の車は、『えんじん』という名の奇妙なカラクリが搭載されており、御者が御者台に乗り込むと一人でに走り出す。大型動物の牽引を必要としない。その代わりに『がそりん』という体液を注ぐそうだ。
おそらく古代文明の技術を使っているに違いないと、旅人の間では噂になっている。
ペトラは車の中で大人しく座っていた。
白と黒の二色をした車から、赤い光が周囲に撒き散らされて、ドゥルルルルと激しく振動する。すると車から不安感を感じるような鳴き声が発せられて、物凄い速度で走り去っていった。
奇妙なカラクリ車は、あっという間に見えなくなる。
*
一方その頃、とあるホテルの一室でフィオと言う名の旅人が騒いでいた。
「なんスか!? あの馬車! ちょっとミドくん、キール! アレなんスか!?」
フィオが興奮して窓から指を差している。キールが「なんだぁ?」と気だるげな様子でフィオの指差す方向を見に行く。
するとミドも、「変な音が聞こえるね~」と言って二人の下に歩み寄ってくる。
「アレは古代文明の遺産の一つに違いないっス! 明日はアレに乗るっスよ!」
フィオはもうすでに、あの謎の馬車に乗って中身を解剖する気満々だった。目を爛々と輝かせてピョンピョンと跳ねている。
実は、フィオは何も考えてなさそうに見えて意外とカラクリや機械関係に強い。三人が乗っている飛行船の『まん丸マンボウ号』の整備は、ほぼすべてフィオが管理している。
マンボウ号は複雑な古代文明の技術が組み込まれた飛行船で、ミドやキールには何がどうなっているのかサッパリ分からない。しかし、フィオだけは感覚的に理解できるそうだ。
平常時はマンボウ号の自動運転が作動しているため、ハンドル操作をする必要はない。緊急時のみ、フィオが直接ハンドル操作を行って急旋回など行ったりするのだ。
フィオは普段マンボウ号の整備をしていることが多いため、いつも頬に黒い炭やオイルをつけている。
ミドが真っ黒になっているフィオを見つけると、掌からを合わせて両手から柔らかいティッシュを生み出し、フィオの顔を拭いてあげることが多い。
ちなみに、ミドの手からティッシュを生み出す技の名前は『白い優しさに包まれて』だそうだ。
フィオが様々な国で見たこともない技術を目の当たりにすると必ず興味を引かれる。キールが「また始まったな」と言うと、ミドも「だね~」と言って同意した。
――コンコン。
するとその時、部屋のドアをノックする音が響き渡る。
「ルームサービスです」
そう言ってホテルの従業員の男が入ってくる。フィオは台車に乗せられたフルーツや飲み物に目を奪われて「わぁお!」と喜んだが、すぐに切り替えて、
「すいませんお兄さん! あの変な鳴き声で走ってる馬車! アレはなんスか?」
フィオが窓の外を指さして訊ねると、従業員の男が親切に言う。
「アレは我が国の警察ですよ。いわゆる衛兵です。おそらく犯罪者を捕まえて連行する最中でしょう。旅人さんには珍しいでしょうが、走っているのは自動車と呼ばれる古代文明のカラクリ技術ですよ」
「犯罪者?」
「ええ、旅人さんはご存じないかもしれませんが、最近行方不明の子どもがいるらしくて、その子どもでも捕まったんじゃないですかね? 行方不明ということは、親に逆らって家出でもしたのでしょう。大人の権利者に反抗した可能性が高いです。そういった子どももこの国では犯罪者のように警察が捕まえるんです」
ミドが短く問いかけると従業員の男は淡々と答えた。
それを聞いたミドは不気味な鳴き声がした方向と、鳴き声が移動していった方向を見ていた。
「何だろう……嫌な予感がする」
ミドはフィオとキールにだけ聞こえる程度の小さな声でつぶやいた――。
ペトラがハッと振り返ると、そこには小太りの男が油汗を掻きながら騒いでいるのが見えた。
男の周りには警察と思わしき制服の警官たちが警棒のような物を持って立っていた。警官はペトラを取り囲んで言う。
「すみませんが、権利証をご提示願えますか?」
「………………」
制服の警官はペトラを睨みながら言った。ペトラは黙ってしまう、当然と言えば当然だろう。ペトラの持っている大人の権利証は母親のものであってペトラのものではないからだ。
「どうしました? あなたが持ってる『大人の権利証』を見せてくださいと言ってるんです」
「あの、えっと、それは……」
警官の問い詰めにペトラはしどろもどろになる。すると、小太りの男が言った。
「聞いてください! この娘は自分は案内人だと言って旅人さんから不当に報酬を得ようとしていたんです!」
「………………」
ペトラは何も言い返せず、俯いていた。
痺れを切らした女性警官がペトラの全身を身体検査するように触っていると、大人の権利証を発見する。男性警官がバーコードリーダーのような機械で大人の権利証をピッと読み取ると、エラーと表示される。
男性警官はエラー表示を見て眉間にしわを寄せながらペトラを睨む。
すると隣にいた女性警官が、男性警官に紙を見せて相談しているのが分かった。そして男性警官が言う。
「この子って、行方不明の捜索願の子じゃないですか?」
「間違いない、彼女が行方不明の子どもでしょう。しかも大人の権利者に逆らった上に、権利詐称とは……情状酌量の余地はありませんね」
権利の詐称はこの国ではもっとも重い罪である。権利というものの信頼を踏みにじる行為に他ならないからだ。
「これは更生施設行きですね」
「待ってください! 私はただ――」
「どんな理由があろうと、法律違反であることには間違いない。違うか?」
それを聞いたペトラが必死に弁解しようとするが、男性警官に遮られてしまう。警官は先ほどまでの敬語が消えて、犯罪者を見るような目で睨みながら言った。
そしてペトラは警官の一人に手首をつかまれて、ガチャンという音が周囲に響き渡る。
――ペトラは生まれて初めて、両手に手錠をかけられた。
それを見ていた小太りの男が突然嗤いだして、
「うひょひょひょひょ、いい気味だ! せいぜい施設で反省しろクソガキが! ぺっぺっぺっ!」
「――きゃっ!?」
小太りの男が嗤いながらペトラに唾を吐きかけた。ペトラは悲鳴を上げて顔に飛んでくる唾を両手で防ごうとする。
水飛沫のような感触が手の平と腕、頭部に飛び散ってくるのが分かった。ねっとりとした男の体液が頭頂部からこめかみに流れ、頬を伝っていく。当然だが、唾液の独特な臭いがペトラの鼻に突き刺さる。
ペトラは小太りの男を一瞬睨んだ後、助けを求めるように警官を見た。
しかし警官たちは、そんなペトラをを冷めた目で見ていた。何も不思議なことはないと言った様子で見ていた。
当たり前と言えば当たり前だ、この国では子どもに権利などないのだから。しかも今のペトラは犯罪者、そんな人間に助けてもらえる権利などないのだから。
すると男性警官が肩についている無線機を使って誰かに連絡を始めた。
「午後六時三一分。権利詐称の犯人、および行方不明の子どもを確保! 更生施設に連行します。捜索願を出しているご両親に連絡後、権利局でこの子どものすべての権利の剥奪をお願いします」
「そんな……!?」
権利は状況によっては剥奪される場合もある。権利詐称などの犯罪行為の場合、一発でアウトだ。
最低限の生命維持活動の権利以外は、ほぼすべての権利が奪われる。大人が逮捕される場合は刑務所だが、子どもの場合は更生施設に送られる。
子どもの場合、大人と比べて権利の数はとても少ないので、あまり痛手はないように思えるが実はそうではない。
子どものうちに権利剥奪されるほどの犯罪歴があるということは、その後に得られるはずだった権利すらも奪われるのに等しい。つまり、『大人の権利』を永遠に失うことになると言っても過言ではないのだ。
公式には「更生施設で必要な期間を過ごし、更生したと判断された者は施設を卒業。社会貢献することによって『大人の権利』を認める」ということになっている。
しかし社会は一度過ちを犯した者に対しては冷たいのが常識だ。まともな人生を歩ませてもらえない者がほとんどだろう。
その結果、施設を卒業して社会に戻っても、再犯によって今度は刑務所行きになるのが普通である。そうなれば当然、新たな権利を得られるどころか失う一方だろう。
――ペトラは、今この瞬間に……『未来』を失ったのだ。
小太りの男がペトラに言う。
「ハッ! お前の親は育て方を間違ったんだろうな! 最低な父親と母親から生まれるなんて、俺なら即自殺するね! うっひょひょひょひょひょ!」
その時警官の一人が、
「子どもに対しての侮辱は認められますが、子どもの両親に対する侮辱は『大人の権利の侵害』に当たります。発言には注意してください」
「ひっ!? あ、その、申し訳ありません。前言を撤回しますです。はい……」
すると小太りの男は顔を青くして謝罪すると大人しくなった。
この国では権利を剥奪される条件に『大人に対しての侮辱』というものがある。
大人の権利を持つ者同士で争いが発生した場合、より権利の強い者、権利の数が多い者の発言が優先される。しかし例外として、権利の強い者でもやってはいけないことがある。
それは大人の権利を持つ者が、同じ大人の権利を持つ者に対して侮辱的な態度や、差別的な行為に及んだ場合である。
その者は大人のとしての資格がないと判断されて、大人の権利を剥奪される。これには権利の強さは関係ない。
相手が『子ども』ならまだしも、同じ『大人』ならば敬意を払うのは当然なのである。
ペトラは頭に布のようなものを被されて顔が見えない状態にされると、警官二人と共に車に乗った。
余談だが、この国の車は他の国とは違っている。大抵の国では馬車や竜車、蜥蜴車など、大型動物や魔獣に二輪の車を牽引させるものが多い。
しかしこの国の車は、『えんじん』という名の奇妙なカラクリが搭載されており、御者が御者台に乗り込むと一人でに走り出す。大型動物の牽引を必要としない。その代わりに『がそりん』という体液を注ぐそうだ。
おそらく古代文明の技術を使っているに違いないと、旅人の間では噂になっている。
ペトラは車の中で大人しく座っていた。
白と黒の二色をした車から、赤い光が周囲に撒き散らされて、ドゥルルルルと激しく振動する。すると車から不安感を感じるような鳴き声が発せられて、物凄い速度で走り去っていった。
奇妙なカラクリ車は、あっという間に見えなくなる。
*
一方その頃、とあるホテルの一室でフィオと言う名の旅人が騒いでいた。
「なんスか!? あの馬車! ちょっとミドくん、キール! アレなんスか!?」
フィオが興奮して窓から指を差している。キールが「なんだぁ?」と気だるげな様子でフィオの指差す方向を見に行く。
するとミドも、「変な音が聞こえるね~」と言って二人の下に歩み寄ってくる。
「アレは古代文明の遺産の一つに違いないっス! 明日はアレに乗るっスよ!」
フィオはもうすでに、あの謎の馬車に乗って中身を解剖する気満々だった。目を爛々と輝かせてピョンピョンと跳ねている。
実は、フィオは何も考えてなさそうに見えて意外とカラクリや機械関係に強い。三人が乗っている飛行船の『まん丸マンボウ号』の整備は、ほぼすべてフィオが管理している。
マンボウ号は複雑な古代文明の技術が組み込まれた飛行船で、ミドやキールには何がどうなっているのかサッパリ分からない。しかし、フィオだけは感覚的に理解できるそうだ。
平常時はマンボウ号の自動運転が作動しているため、ハンドル操作をする必要はない。緊急時のみ、フィオが直接ハンドル操作を行って急旋回など行ったりするのだ。
フィオは普段マンボウ号の整備をしていることが多いため、いつも頬に黒い炭やオイルをつけている。
ミドが真っ黒になっているフィオを見つけると、掌からを合わせて両手から柔らかいティッシュを生み出し、フィオの顔を拭いてあげることが多い。
ちなみに、ミドの手からティッシュを生み出す技の名前は『白い優しさに包まれて』だそうだ。
フィオが様々な国で見たこともない技術を目の当たりにすると必ず興味を引かれる。キールが「また始まったな」と言うと、ミドも「だね~」と言って同意した。
――コンコン。
するとその時、部屋のドアをノックする音が響き渡る。
「ルームサービスです」
そう言ってホテルの従業員の男が入ってくる。フィオは台車に乗せられたフルーツや飲み物に目を奪われて「わぁお!」と喜んだが、すぐに切り替えて、
「すいませんお兄さん! あの変な鳴き声で走ってる馬車! アレはなんスか?」
フィオが窓の外を指さして訊ねると、従業員の男が親切に言う。
「アレは我が国の警察ですよ。いわゆる衛兵です。おそらく犯罪者を捕まえて連行する最中でしょう。旅人さんには珍しいでしょうが、走っているのは自動車と呼ばれる古代文明のカラクリ技術ですよ」
「犯罪者?」
「ええ、旅人さんはご存じないかもしれませんが、最近行方不明の子どもがいるらしくて、その子どもでも捕まったんじゃないですかね? 行方不明ということは、親に逆らって家出でもしたのでしょう。大人の権利者に反抗した可能性が高いです。そういった子どももこの国では犯罪者のように警察が捕まえるんです」
ミドが短く問いかけると従業員の男は淡々と答えた。
それを聞いたミドは不気味な鳴き声がした方向と、鳴き声が移動していった方向を見ていた。
「何だろう……嫌な予感がする」
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