終末にはコーヒーを

少女の姿をした悪魔が、突然目の前に現れた。

「どんな願いも叶えてやろう。もちろん、それ相応の対価は頂くがな」

口から炎を吐き、矢印状の尻尾を持つ異形の悪魔。
僕は彼女の誘いに乗り、たった一つのお願い事をした。

「コーヒーが欲しい。できれば豆で」

「……は?」

「ブラジルとキリマンジャロ、ロブスタもあると、なお良いな」

その対価に魂を支払うことになると知っていて、僕は悪魔にコーヒー豆を望んだ。
なぜなら僕の心は、とっくの昔に死んでしまっていたから。

終末に訪れたかわいい悪魔と、オリジナルブレンドコーヒーをつくるお話。
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