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幕間
偶然か必然か 参
しおりを挟む帝國の公安警察の捜査協力依頼を受けてアンブローシア王国は王立アカデミーに鳳凰建彦を招致した。
鳳凰教授の研究室に出入りする生徒、職員全て王国と帝國の工作員で固めた。
被害者を救助して教授を逮捕するタイミングは伏見に委ねられていた。
そんな中、魔道具を通して送られてくる伊織のステータス情報がある日を境に好転した。
「アカデミーに通うようになってから修復が活発になっているんだけど、何か気付いたことはあるかい?」
鳳凰教授の研究室と向かい合わせになる医局病棟の特別室で、白衣を着た伏見は鳳凰教授の研究室に出入りする男子学生の一人にそう尋ねた。
その男子学生は呆けたように窓に張り付いている。
「桔梗?」
「僕の番だ!」
「はあ?」
男子学生に変化した桔梗の視線の先には小さな子供が二人と両親。
そして数人の近衛銃士が付き添っている。
「イザーク殿下と珠姫じゃないか」
「僕のラウール!」
「お前、勝手に『鑑定』するんじゃない!」
ゴンっ、と伏見は桔梗に拳骨をお見舞いした。
「痛っ!」
ポンッと、桔梗の変化が解けて学生から小さな白い狐の姿に戻った。
「後で会わせてあげるから、仕事に集中。」
「はーい。
それでね、鑑定して分かった事があるんだけど?」
「何?」
「ラウールの弟のリシャール、伊織の番だよ。」
「本当に?」
「ホントホント。パパの神眼で確かめてみて?」
「どれどれ・・・」
伏見は子供達を見つめた。
伏見の視界に半透明の二つの文字盤─ステータス画面が浮かび上がった。
そして、それとは別に赤い糸が子供達の両手の小指に巻き付いているのが見えた。
ラウールという名の子供の赤い糸は二つ。
一つは確かに桔梗と繋がっているが、もう一つは何処か遠い場所に延びている。
リシャールという名の子供は六つ。
一つは伊織が囚われている研究室に、残りはラウールの糸と同じ遠くの方へ延びている。
ステータス画面を確認するとキメラ因子の保持者で、桔梗の言う通り伊織の番──魂の番で、既に魔力交換によって番契約が成立していた。
「こんな年端もいかないうちに成立してるなんて・・・
けれど僥倖だ。予定より早く救い出せる。」
伏見はテーブルに置いてあったタブレット型の魔道具を手に取ると魔方陣を起動して管狐を召喚した。
召喚した管狐にいくつかのメッセージを託すと、管狐はタブレットの中へ魔方陣と共に姿を消した。
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