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第一章 賽は投げられた
狂信者は神の領域を侵す 前編
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過去話です。前後編の予定。
デザイナーベビーに関する内容は、何となく、こんな感じ?というような適当な設定です。
異世界ファンタジーでフィクションなので大目に見てね。
******
物心ついた頃から、屋敷に飾られていた絵の中にいる王冠を被った美しい黒豹の姿をした悪魔に心惹かれていた。
ホンモノを見てみたい。
最初はそんな、ありきたりな思いだけだった。
継承権からは遠いが、皇族の端くれだったから教育に関しては様々な恩恵を受けた。
飛び級で大学に入り、成人前には医師と獣医師の免許を入手した。
その後は応用生物学と生命化学の分野でも有名な大学の研究所に籍を移して、様々な憑きものやその宿主達の研究にのめり込んだ。
運良く、過去の悪魔憑きの皇族の聖遺物からDNAを採取するチームに入ることができた。
採取したDNAを解析をした結果、彼等のDNAには類似性が認められた。
性別や見た目に多少の違いはあれど、歴代の悪魔憑きたちは一卵性双生児に近い配列だった。
この結果から、悪魔は初代の契約者により近い遺伝子に惹かれて憑く者を選んでいるのではないか、と仮説を立てた。
そう、アルファとオメガの「運命の番」のように。
研究所が所属している大学病院の産婦人科で皇族が体外受精をする事になった。
皇族の血統を密かに護るために存在する平坂家と夜嶌家の次期当主同士の組合せだ。
平坂の方は女性アルファ、夜嶌の方は男性オメガ。
夜嶌の次期当主の方に初期の癌が見つかった為、治療前に卵子の摘出を行い、平坂の次期当主に体外受精した受精卵を移植する、という話だった。
技術を買われて移植チームに誘われ、着床前診断で受精卵のDNAの解析をする機会を得た。
受精卵四つのうちの一つが、先代の悪魔憑きだった世伊琉皇子に近い配列だった。
それに気付いた時に、魔が差したんだ。
密かに世伊琉皇子に近い受精卵のコピーを作った。
そのコピーの遺伝子を組み換えて、より世伊琉皇子の遺伝子の配列に近づけた。
世伊琉皇子のクローンと成りうる受精卵のコピーを更に幾つか作り、そのうちの一つを雇った代理母の子宮に移植した。
しかし、着床することなく流れてしまった。
失敗する度に移植を再度試みるが、うまく着床しても出産に至らない。
母体との相性も考慮し、何度か代理母も変えた。
けれども、無駄に貴重な受精卵と時間を失うだけだった。
「受精卵に異常が無いかチェックをお願いします。」
もう諦めようと思っていた時に、産婦人科の医局からの依頼が回って来た。
依頼の内容を見た時に世伊琉皇子の受精卵を着床させるのに一番相応しい子宮の持ち主は彼だと思った。
夜嶌織生、夜嶌家当主になったばかりの男性オメガ。
寛解に至り、保存している二個の受精卵の一つを使っての妊娠出産を希望。
無事に妊娠して安定期に入ったら、残った最後の受精卵は伴侶の平坂伊鈴に移植するらしい。
万全を期す為に自分が施術できるようにシフトを組んだ。
本来移植する予定の受精卵と世伊琉皇子の受精卵に手を加え、一卵性双生児に見えるように偽装して夜嶌の子宮に移植した。
そして十日後、受精卵が無事に着床をしたことを確認した。
デザイナーベビーに関する内容は、何となく、こんな感じ?というような適当な設定です。
異世界ファンタジーでフィクションなので大目に見てね。
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物心ついた頃から、屋敷に飾られていた絵の中にいる王冠を被った美しい黒豹の姿をした悪魔に心惹かれていた。
ホンモノを見てみたい。
最初はそんな、ありきたりな思いだけだった。
継承権からは遠いが、皇族の端くれだったから教育に関しては様々な恩恵を受けた。
飛び級で大学に入り、成人前には医師と獣医師の免許を入手した。
その後は応用生物学と生命化学の分野でも有名な大学の研究所に籍を移して、様々な憑きものやその宿主達の研究にのめり込んだ。
運良く、過去の悪魔憑きの皇族の聖遺物からDNAを採取するチームに入ることができた。
採取したDNAを解析をした結果、彼等のDNAには類似性が認められた。
性別や見た目に多少の違いはあれど、歴代の悪魔憑きたちは一卵性双生児に近い配列だった。
この結果から、悪魔は初代の契約者により近い遺伝子に惹かれて憑く者を選んでいるのではないか、と仮説を立てた。
そう、アルファとオメガの「運命の番」のように。
研究所が所属している大学病院の産婦人科で皇族が体外受精をする事になった。
皇族の血統を密かに護るために存在する平坂家と夜嶌家の次期当主同士の組合せだ。
平坂の方は女性アルファ、夜嶌の方は男性オメガ。
夜嶌の次期当主の方に初期の癌が見つかった為、治療前に卵子の摘出を行い、平坂の次期当主に体外受精した受精卵を移植する、という話だった。
技術を買われて移植チームに誘われ、着床前診断で受精卵のDNAの解析をする機会を得た。
受精卵四つのうちの一つが、先代の悪魔憑きだった世伊琉皇子に近い配列だった。
それに気付いた時に、魔が差したんだ。
密かに世伊琉皇子に近い受精卵のコピーを作った。
そのコピーの遺伝子を組み換えて、より世伊琉皇子の遺伝子の配列に近づけた。
世伊琉皇子のクローンと成りうる受精卵のコピーを更に幾つか作り、そのうちの一つを雇った代理母の子宮に移植した。
しかし、着床することなく流れてしまった。
失敗する度に移植を再度試みるが、うまく着床しても出産に至らない。
母体との相性も考慮し、何度か代理母も変えた。
けれども、無駄に貴重な受精卵と時間を失うだけだった。
「受精卵に異常が無いかチェックをお願いします。」
もう諦めようと思っていた時に、産婦人科の医局からの依頼が回って来た。
依頼の内容を見た時に世伊琉皇子の受精卵を着床させるのに一番相応しい子宮の持ち主は彼だと思った。
夜嶌織生、夜嶌家当主になったばかりの男性オメガ。
寛解に至り、保存している二個の受精卵の一つを使っての妊娠出産を希望。
無事に妊娠して安定期に入ったら、残った最後の受精卵は伴侶の平坂伊鈴に移植するらしい。
万全を期す為に自分が施術できるようにシフトを組んだ。
本来移植する予定の受精卵と世伊琉皇子の受精卵に手を加え、一卵性双生児に見えるように偽装して夜嶌の子宮に移植した。
そして十日後、受精卵が無事に着床をしたことを確認した。
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