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第一章 賽は投げられた
003 入寮日 その弐
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「新任の校医・・・」
校医はバース性の専門医だ。
そりゃあ確かに抜かりないだろう、と小鳥遊は苦笑した。
その後、少し雑談した後で三人はそれぞれの部屋へ戻って行った。
平坂と土方の部屋は診療所のオメガ専用出入口に近い場所で隣どうしだ。
二人は土方の方の部屋に入ると、二人でだらしなくソファーに座り込んだ。
「どう思う?」
「うーん、いっちゃんが言う程のヤバさは感じなかったかな。他の四人はまだ判らないけど、あの小鳥遊って人はマトモそう。今のところは、だけど。」
「俺らの容姿に惑わされてくれれば良いけどな。」
「そうだね。」
*****
自室に戻った小鳥遊は平坂と土方の顔写真付の身上書とノートパソコンに保存してある幼稚舎時代の画像データを見比べていた。
「やっぱり、いっちゃんに似てる・・・」
小鳥遊はパソコンを閉じるとベッドの上に仰向けに寝転んだ。
「あの二人のどちらかか、別の誰かか・・・」
ずっと後悔して捜している。
幼すぎて『いっちゃん』という愛称と、ダークブロンド、空色のような綺麗な青い瞳、辛うじて残っていた数枚の写真、それしか手掛かりが無い。
大人達は『いっちゃん』に大ケガをさせた僕たち五人に『いっちゃん』の情報を教えることはなかった。
それが罰だと言われた。
『いっちゃん』に関するあらゆる情報が学園からも抹消されていた。
親の目を盗んで五人で共同で探偵を雇ったり、学園のデータベースにコッソリ侵入して調べたりもしたけれど、探偵は全く役にたたなかったし、データベースの方は数枚の画像データしか残っていなかった。
「いっちゃん、僕の運命・・・」
絶対に見つけ出して、見つけたら直ぐに番になって蜜月を過ごすんだ。
他のアルファになんか絶対にやられたくないけど、いっちゃんになら犯されたい。
いっちゃんの中にも入りたい。
いっちゃんの中に奥に種付けしたい。
だからどうか、いっちゃんが僕のアルファでありますように。
校医はバース性の専門医だ。
そりゃあ確かに抜かりないだろう、と小鳥遊は苦笑した。
その後、少し雑談した後で三人はそれぞれの部屋へ戻って行った。
平坂と土方の部屋は診療所のオメガ専用出入口に近い場所で隣どうしだ。
二人は土方の方の部屋に入ると、二人でだらしなくソファーに座り込んだ。
「どう思う?」
「うーん、いっちゃんが言う程のヤバさは感じなかったかな。他の四人はまだ判らないけど、あの小鳥遊って人はマトモそう。今のところは、だけど。」
「俺らの容姿に惑わされてくれれば良いけどな。」
「そうだね。」
*****
自室に戻った小鳥遊は平坂と土方の顔写真付の身上書とノートパソコンに保存してある幼稚舎時代の画像データを見比べていた。
「やっぱり、いっちゃんに似てる・・・」
小鳥遊はパソコンを閉じるとベッドの上に仰向けに寝転んだ。
「あの二人のどちらかか、別の誰かか・・・」
ずっと後悔して捜している。
幼すぎて『いっちゃん』という愛称と、ダークブロンド、空色のような綺麗な青い瞳、辛うじて残っていた数枚の写真、それしか手掛かりが無い。
大人達は『いっちゃん』に大ケガをさせた僕たち五人に『いっちゃん』の情報を教えることはなかった。
それが罰だと言われた。
『いっちゃん』に関するあらゆる情報が学園からも抹消されていた。
親の目を盗んで五人で共同で探偵を雇ったり、学園のデータベースにコッソリ侵入して調べたりもしたけれど、探偵は全く役にたたなかったし、データベースの方は数枚の画像データしか残っていなかった。
「いっちゃん、僕の運命・・・」
絶対に見つけ出して、見つけたら直ぐに番になって蜜月を過ごすんだ。
他のアルファになんか絶対にやられたくないけど、いっちゃんになら犯されたい。
いっちゃんの中にも入りたい。
いっちゃんの中に奥に種付けしたい。
だからどうか、いっちゃんが僕のアルファでありますように。
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