【Ｒ１８】一匹狼は愛とか恋とか面倒くさい

高等部 一年目 卯月

閑話 ねらわれた狂犬 １

時系列的には006と007の間のお話で京夜視点です。

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「京夜にお願いがあるんだけど。」
自室のソファーで本を読んでいると、ベッタリと抱き付いていた颯が上目使いで言った。
「オレさ、オメガの前に男じゃん。」
「そうだな。」
「童貞卒業したいんだ。」

童貞卒業したいんだ

童貞卒業したいんだ

大切に護ってきた愛しい番の予期せぬ言葉。

「だからさ、試しにさ、先っちょだけ入れさせて？　お願い♡」

先っちょだけ？

何処に？

えっ

俺の尻？？


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中等部に入ってすぐのバース検査でアルファ性が確定した男子生徒だけが受講する番関連の講座での話を思い出した。

「番のオメガが男性で童貞だった場合、貴方たちは番の為に処女を捧げる覚悟を持って下さい。」
にこやかに語る医療関係者。
「えっ、ムリ」
「オメガに掘られる覚悟って・・・」
騒然とする同級生のアルファ達。
隣に座る健太は真面目に壇上の医療関係者の話を聴いている。

「もし番が他の女性、もしくは男性に童貞を捧げてしまったら、冷静でいられますか？　想像して見て下さい。自分以外の者の体で大人の階段昇るんですよ～
って言っても、まだ中学生になったばかりの皆さんには想像するの難しいですかね。」

想像しただけで怒りで我を忘れそうになった。

正直、掘られたくはねぇ
かと言って他人に俺の颯の童貞を奪われるのは絶対に嫌だ。
奪った奴は地獄の苦しみを味わせてから、灰も残さずに抹殺・・・

一生、颯の童貞は護る！

そう固く決意した。

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「先っちょだけでいいからさぁ～
京夜ぁ～」
言うことは絶対にききたくねぇが、お強請りしてくる俺の番が可愛いすぎる・・・

だがなぁ
断ったら健太に行くなぁ
健太は颯に恋愛感情は全くねぇが、我が子のように溺愛しているからなぁ・・・

ヤバイ、なぁ・・・
二人で力尽くで俺の尻を狙う未来が見える・・・

断ったら危険だ！！