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岩沢和文

20、→怪しげな下車ぁ←

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「あっれ、おかしいなぁ。今日の対象者は1人のはずなんだけど……」  


 大きな黒塗りのバスの運転席から身を乗り出し、白い寿服じゅふく姿の男は頭をきながら車を降りた。 

そして今、き殺したばかりのふたりの抜け殻を不思議そうに見下ろす。  

男は口から下を覆い隠すように白い布を下げている。

年のころは10代後半。痩せ型で容姿も令和風に整った顔つきをしている。 

男は今、き殺したばかりの巨体を見下ろしこう呟いた。 


 「あぁ、そういうことねぇ。この巨体の子、見かけに寄らず幸運な子なんだろうな。親ガチャを回すコインを拾うだなんて……。この子が引く親ガチャが、楽しみだ」 


男はそう言うと最期の力を振り絞り、和文かずふみが握りしめた右の拳に手を重ねた。  

そして、男はバスの運転席に急いで戻るとクラクションを6回、目覚まし代わりに軽快に鳴らした。

そんな男は、クラクションの後、バスを公園のベンチの横まで動かし、ふたりがバスに乗り込む時が来るのを静かに待つことにした。  
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