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南
17、→ママが私にしたワガママ←
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ママが私にしたワガママ。
それはパパを2回も変えたこと。
私の名前は榊原南。12歳。
小学6年生。
私はたった今、ママから3人目のパパとなる男性を紹介された。
*
私にはパパが2人いる。
1人目のパパは私と血の繋がっている男性。
ママは事あるごとに自分は18歳で私を生み、自分1人で育ててきたと言っているので、生物学上の父親という位置づけの人。
2人目は、ママがはじめて結婚した男性。
2人目のパパは、ママよりも10歳以上も若かい所謂イケメンだった。
ママとは1度、入籍したらしいが1年経たずして離婚しまった。
彼は背が高くてマッチョで面白い私の自慢のパパだったのに非常に残念だ。
あわよくばママの老後の面倒を押し付けるつもりがアテが外れてしまった。
片親の一人っ娘は親の老後の全責任を押し付けられて金を残されるだけの損な役回りなのだ……。
それに私に言わせれば、結婚なんて性別が違うだけの人間同士が紙にサインと判子を押すだけで簡単できてしまうもの。
だから、結婚も離婚も再婚さえも形式的な儀式の1つに過ぎないと思っている。
*
私から見たママは12歳の子どもを持つママにしては充分すぎるくらいスタイルもよく若くて綺麗だ。
生前、母方の祖母が「子どもが子ども産んだりするから……」なんていつもぼやいていたからママが母親として多少問題があるのは知っている。
通信制の高校を卒業したママは高給取りではなくても某不動産会社の正社員としてそれなりに出世して部下もいる立場の人間だ。
私が生まれる前に勤めた会社は辞めてしまったらしいが、それでも勤続は今年で11年。
そんなキャリアウーマンのママは私の自慢だった。
*
美人とはいえバツ1こぶ付きのアラフォーの女性と結婚してくれる男なんてろくな男のわけがない。
そう考えているからこそ私は、今日の顔合わせには一抹の不安があった。
(今日、現れる人はどんな物好きは男だろう……。ヤクザ系、ガテン系それとも……)
私は新しくパパになる男性の姿を思い描きながら新しいパパが喫茶店に現れるのを待った。
(ママは爽やかな若いイケメンが好きだ。収入は兎も角、顔さえよければ取り合えず、合格にしよう。ママが幸せなら……)
そんなことを考えながら私は慣れないブラックコーヒーの器に唇を付けた。
「ミルクと砂糖入れた方が良いよ~
」
ママはそう言うと気合を入れて特注した夏色のネイルを見せびらかしながら年甲斐もなく、あざとく笑った。
*
喫茶店の古い掛け時計の秒針がゆっくりと右へ回る。
秒針はわざと新しいパパに会う時間を遅らせるようにゆっくりと静かに嫌味なくらいゆっくりと回っているようにさえ見える。
私の座るソファーには古ぼけた扇風機の生暖かい風が直に吹き付けてくる最悪のポジションだ。
扇風機は故障しているのか、動いたり、停まったりして不愉快な高い機械音を響かせてくる。
扇風機の生暖かい風のせいで私はカーディガンで隠した右腕の古傷が疼くのを感じていた。
ミミズの這うようなその疼きはこれから訪れる不吉な出来事を知らせる虫の知らせ。
そんな感覚を思わせる嫌な疼きだった。
それはパパを2回も変えたこと。
私の名前は榊原南。12歳。
小学6年生。
私はたった今、ママから3人目のパパとなる男性を紹介された。
*
私にはパパが2人いる。
1人目のパパは私と血の繋がっている男性。
ママは事あるごとに自分は18歳で私を生み、自分1人で育ててきたと言っているので、生物学上の父親という位置づけの人。
2人目は、ママがはじめて結婚した男性。
2人目のパパは、ママよりも10歳以上も若かい所謂イケメンだった。
ママとは1度、入籍したらしいが1年経たずして離婚しまった。
彼は背が高くてマッチョで面白い私の自慢のパパだったのに非常に残念だ。
あわよくばママの老後の面倒を押し付けるつもりがアテが外れてしまった。
片親の一人っ娘は親の老後の全責任を押し付けられて金を残されるだけの損な役回りなのだ……。
それに私に言わせれば、結婚なんて性別が違うだけの人間同士が紙にサインと判子を押すだけで簡単できてしまうもの。
だから、結婚も離婚も再婚さえも形式的な儀式の1つに過ぎないと思っている。
*
私から見たママは12歳の子どもを持つママにしては充分すぎるくらいスタイルもよく若くて綺麗だ。
生前、母方の祖母が「子どもが子ども産んだりするから……」なんていつもぼやいていたからママが母親として多少問題があるのは知っている。
通信制の高校を卒業したママは高給取りではなくても某不動産会社の正社員としてそれなりに出世して部下もいる立場の人間だ。
私が生まれる前に勤めた会社は辞めてしまったらしいが、それでも勤続は今年で11年。
そんなキャリアウーマンのママは私の自慢だった。
*
美人とはいえバツ1こぶ付きのアラフォーの女性と結婚してくれる男なんてろくな男のわけがない。
そう考えているからこそ私は、今日の顔合わせには一抹の不安があった。
(今日、現れる人はどんな物好きは男だろう……。ヤクザ系、ガテン系それとも……)
私は新しくパパになる男性の姿を思い描きながら新しいパパが喫茶店に現れるのを待った。
(ママは爽やかな若いイケメンが好きだ。収入は兎も角、顔さえよければ取り合えず、合格にしよう。ママが幸せなら……)
そんなことを考えながら私は慣れないブラックコーヒーの器に唇を付けた。
「ミルクと砂糖入れた方が良いよ~
」
ママはそう言うと気合を入れて特注した夏色のネイルを見せびらかしながら年甲斐もなく、あざとく笑った。
*
喫茶店の古い掛け時計の秒針がゆっくりと右へ回る。
秒針はわざと新しいパパに会う時間を遅らせるようにゆっくりと静かに嫌味なくらいゆっくりと回っているようにさえ見える。
私の座るソファーには古ぼけた扇風機の生暖かい風が直に吹き付けてくる最悪のポジションだ。
扇風機は故障しているのか、動いたり、停まったりして不愉快な高い機械音を響かせてくる。
扇風機の生暖かい風のせいで私はカーディガンで隠した右腕の古傷が疼くのを感じていた。
ミミズの這うようなその疼きはこれから訪れる不吉な出来事を知らせる虫の知らせ。
そんな感覚を思わせる嫌な疼きだった。
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