平民降格された元公爵令嬢は自由気ままに生きたい

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私、ジュディア・ノクターンはこの国では王家の次に有名なノクターン家の長女として生まれた公爵令嬢。

けれどそんな公爵家の令嬢として生まれた私ではあるが、明日から私はその公爵令嬢という名の地位を捨てて平民として生きることになりました。

その理由としては自身の婚約者であり、このセイレルス王国の第一王子であるミシェル・セイレルスが王家の人間やその他の貴族の子供達が通うヴェナスタード学園でとある平民の女の子に恋をしてその子と自身が結ばれる為に私を悪役に仕立てあげて平民降格にしたからだ。

かといって、私が怒っているかといえば別に怒っていなかったりする。

だって、自分的には公爵令嬢という立場は堅苦しくてあまり好きではなかったし、王子も親同士が決めた婚約者というもので私が彼のことを好きだったかと問われれば私は迷いなく首を横に振る。

それに私は昔から平民という立場に対して憧れを抱いていたし。

公爵令嬢としての私は基本的に毎日礼儀作法などを学んでいずれミシェルのお嫁さんとして恥じなのない存在になることが仕事でそれ以外は基本的にやることは無かった。

けれど、平民の人々は好きな人と結ばれることができるのに加えて、毎日をつまらない礼儀作法や散歩やお茶会などといったもの時間を使うのではなく仕事をして生計を立てる。

素敵な事じゃないですか？

私は自身の目の前でミシェルから婚約破棄をされたことによって平民に降格されることとなった私に対して頭を抱える父を見ながら、自身の隣で私が今どんなことを考えているのか理解しているのであろう自身の姉的存在のメリルが発した言葉に耳を傾ける。

｢……僭越ながらお嬢様が今どんなことを考えているのかは昔から貴女様の世話係をしてきた私ですのでなんとなく理解しています。しかし、公爵令嬢として毎日を過ごしていたお嬢様がいきなり平民として下町に行ったとして私は貴女様が上手く生活できるとは思いません｣

確かにメリルが言うようにそう思われるのも仕方の無いことだろう。

だが、実はこんな公爵令嬢の私ではあるがヴェナスタード学園で私はそれなりに平民の友人を沢山作って色々な話を聞いたり料理を教えて貰ったりなど沢山してきた。

それに、自身が平民に降格されると知ったその日にヴェナスタード学園で知り合い、毎日を一緒に行動していた下町で暮らす平民のアーノルド兄妹にその事を連絡したところ｢え、ならうちに来なよ！｣という返事も貰ったのでその辺りは別に気にしてもらわなくても大丈夫だろう。

私は明日から始まる新しい生活を考えながら鼻歌を歌う勢いで眉間に皺を寄せる父と、こちらに呆れたような視線を寄越しながらもどこか不安そうなメリルを見ながら苦笑を浮かべる。

まあ取り敢えず、ジュディア・ノクターンは明日から平民として生きていきます。