12 / 20
12
しおりを挟む
取り敢えず、フェリナの部屋に行って彼女を起こした私は彼女と一緒に朝食を食べて二人で庭を散歩していた。
すると前方からこちらに歩いてきたのはとても綺麗な頬笑みを浮かべながら日傘を片手に手を振る母の姿。
私とフェリナはお互いに顔を見合わせるなり、こちらへゆったりと歩いてくる母に向かって走り出す。
「「お母様!」」
「二人共、おはよう」
走り出した時の勢いをそのまま二人して母に抱きつけば、軽々とそれを受け止めてクスクスと笑いながら私達の頭を撫でつつそういう母。
私達はそれに笑顔を浮かべながら頷いて妹、母、私という形で横並びに手を繋ぎながら庭の散歩を再開する。
そして、暫く庭を散歩している最中に母が私達にこんなことを言ってきた。
「二人共、近々だけど私とお父様の昔からの友人の誕生日パーティーがあるのだけれど二人共来るわよね?」
私達を見下ろしながら期待した目でこちらを見てくる母。
この時、もしやそのパーティーが誘拐事件の発端になる場ではないのかと思った私は悪くない。
だって確かフェリナが誘拐される際に父と母の立ち絵もゲーム内にあったし。
私はそう考えながら引き攣る口元をどうにかこうにか隠しながら真横で迷いなくそれに頷いた妹に目を閉じる。
ダメだ、もしもそのパーティーが誘拐事件の現場だとしたら妹は拐われるの決定だ。
それに何故か知らないけれど母が"二人共"と言ってる時点で私もそのイベントに強制参加決定ですよね。
私はこちらを見て「ローラ、大丈夫?」と心配そうにこちらを見る母と妹に対して笑顔を見せながらそっと溜息を吐く。
もう笛はフェリナの物になるの決定だ。
私は意地でもそのパーティーに出る気は無いが妹はパーティーの言葉に頬を桃色に染めながらキラキラした目をしているし確実に行ってイベントに巻き込まれる。
ギノに妹を任せるのはちょっと嫌だが、背に腹は変えられない。
昼間はきっとギノはお仕事があると思うし、今夜にでもさっさとギノを呼び出して妹の事を頼むしかない。
でも、やっぱり妹を危険な目に合わすのは嫌だなと思うのは仕方ない事だと思うんですよね。
だからと言ってこんな嬉しそうな顔をする妹に行くななんて言えないし……。
私はそっと隣に並ぶ二人を横目に見ると、そのまま逆側に咲く薔薇たちに目をやって自身の着るスカートの裾を強く握った。
すると前方からこちらに歩いてきたのはとても綺麗な頬笑みを浮かべながら日傘を片手に手を振る母の姿。
私とフェリナはお互いに顔を見合わせるなり、こちらへゆったりと歩いてくる母に向かって走り出す。
「「お母様!」」
「二人共、おはよう」
走り出した時の勢いをそのまま二人して母に抱きつけば、軽々とそれを受け止めてクスクスと笑いながら私達の頭を撫でつつそういう母。
私達はそれに笑顔を浮かべながら頷いて妹、母、私という形で横並びに手を繋ぎながら庭の散歩を再開する。
そして、暫く庭を散歩している最中に母が私達にこんなことを言ってきた。
「二人共、近々だけど私とお父様の昔からの友人の誕生日パーティーがあるのだけれど二人共来るわよね?」
私達を見下ろしながら期待した目でこちらを見てくる母。
この時、もしやそのパーティーが誘拐事件の発端になる場ではないのかと思った私は悪くない。
だって確かフェリナが誘拐される際に父と母の立ち絵もゲーム内にあったし。
私はそう考えながら引き攣る口元をどうにかこうにか隠しながら真横で迷いなくそれに頷いた妹に目を閉じる。
ダメだ、もしもそのパーティーが誘拐事件の現場だとしたら妹は拐われるの決定だ。
それに何故か知らないけれど母が"二人共"と言ってる時点で私もそのイベントに強制参加決定ですよね。
私はこちらを見て「ローラ、大丈夫?」と心配そうにこちらを見る母と妹に対して笑顔を見せながらそっと溜息を吐く。
もう笛はフェリナの物になるの決定だ。
私は意地でもそのパーティーに出る気は無いが妹はパーティーの言葉に頬を桃色に染めながらキラキラした目をしているし確実に行ってイベントに巻き込まれる。
ギノに妹を任せるのはちょっと嫌だが、背に腹は変えられない。
昼間はきっとギノはお仕事があると思うし、今夜にでもさっさとギノを呼び出して妹の事を頼むしかない。
でも、やっぱり妹を危険な目に合わすのは嫌だなと思うのは仕方ない事だと思うんですよね。
だからと言ってこんな嬉しそうな顔をする妹に行くななんて言えないし……。
私はそっと隣に並ぶ二人を横目に見ると、そのまま逆側に咲く薔薇たちに目をやって自身の着るスカートの裾を強く握った。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた
黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」
幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリアン・スチール公爵令嬢18歳デビット王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
忘れられた妻
毛蟹葵葉
恋愛
結婚初夜、チネロは夫になったセインに抱かれることはなかった。
セインは彼女に積もり積もった怒りをぶつけた。
「浅ましいお前の母のわがままで、私は愛する者を伴侶にできなかった。それを止めなかったお前は罪人だ。顔を見るだけで吐き気がする」
セインは婚約者だった時とは別人のような冷たい目で、チネロを睨みつけて吐き捨てた。
「3年間、白い結婚が認められたらお前を自由にしてやる。私の妻になったのだから飢えない程度には生活の面倒は見てやるが、それ以上は求めるな」
セインはそれだけ言い残してチネロの前からいなくなった。
そして、チネロは、誰もいない別邸へと連れて行かれた。
三人称の練習で書いています。違和感があるかもしれません
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる