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あれからリリノアと二人でのんびりとした時間を過ごしていたのだけれど、唐突にその妖精は私達の目の前に現れた。
『おい!お前もしかしてオリヴィアか!?』
ふわふわと宙に浮き、白い八重歯を見せながらこちらを指差して笑う金髪の青年。
私は自身の周りで『サンだ~!帰れ帰れ~!!』と言い始めた精霊達に少し驚きながら、目の前で『おい、聞いてるのか!?』と声を荒らげた彼に慌てて頷く。
「は、はい。オリヴィアです」
すると、そんな私の様子を見るなり「お嬢様……?」と不思議そうな顔をしてこちらを見てきたリリノア。
しかし、サンはそんな彼女の事を気にすることなく『やっぱりそうか!大きくなったなぁ~!!』なんて言いながら宙に浮きながら私の頭をグリグリと撫でてきたでは無いか。
……本当に彼らは私の頭を撫でたりするのが好きだなぁ。
ふとそんな事を思いながらも私はサンにされるがままに頭を撫でられ続ける。
すると、リリノアが少しずつ乱れていく私の髪の毛を見るなり「もしかして上位精霊の方が来ているのですか?」と少し首を傾げながら問い掛けてきたので、私はそれに小さく頷くと、自身を見下ろしながらニッコリと笑うサンに対して「えっと、貴方は一体なんの精霊なんですか?」と尋ねた。
そうすれば、ハッとした様子で私の頭を撫でるのを辞めて目の前に回り込んできた彼は自身の胸元をドンと叩くなり自己紹介を始めてくれた。
『おっと、そう言えばお前の記憶はメリーが消してたんだっけか!改めて、俺の名前はサン!!雷の上位精霊だぜ!!!』
自信満々に胸を張りながら『よろしくな!』と右手を差し出してきた彼の手を取れば、すかさず私の周りにいた精霊達がケラケラと笑いながら『乱暴者のサン~!』や『サンは帰れ~!』と言い始めたでは無いか。
私は自身の肩の上で『オリヴィア、サンには気を付けてね!』と言った精霊に軽く首を傾けながら、『うるせぇチビ!』と言いながらその子を指で弾いたサンを見て多少驚きつつも、『もう一回!』とサンに駆け寄った精霊を見てこう呟いた。
「貴方達、仲がいいの……?」
しかし、そんな私の発言を聞くな否や『んなわけねぇだろ!』と言いながら精霊を右手で鷲掴みながら『このクソチビ共め!!』と悪態を吐きながら精霊を指で捏ねくり回すサン。
……いやぁ、何処からどう見ても仲良しなんだけどなぁ。
私は隣にいたリリノアに目を向けると、目の前で起こっている状況を説明する。
すると、彼女は私の視線の先を見ながら「……完璧に上位精霊が遊ばれてますね」と一言呟いた。
その瞬間、サンはそんなリリノアの言葉を聞くなり『だろ!?いっつもこいつら俺で遊びやがるんだ!!』と言いながらプンスカプンと怒り始めた。
でも、その怒りも一瞬のことで彼はふと瞬時に不思議そうにこちらを見たかと思うと『っていうか待て。オリヴィア、そこの人間になんで俺達の事を知ってるんだ?』と首を傾けて来た。
真剣な表情でじっとリリノアを見詰めるサン。
ここで私は慌ててホリーとネスとの間にあった事を話し、彼女にネスを起こすのを手伝って貰ったこと、そして今後も彼女に私の手伝いをして欲しいから彼女には全てを話してあるということを説明した。
けれど、彼はそれを聞いてからもじっとリリノアを見詰めながらこのような事を口にした。
『ネスの事に関してはそいつには感謝してやる。だが、その女が裏切らないとは絶対に言いきれないだろう?』
静かに地面に降りて一歩、また一歩とこちらへと近付いてくる彼。
私はそれに対して「大丈夫よ。何かあったらその時に対処したらいいでしょ?」と言う。
でも彼は『その女が裏切って話を広めた後だったら遅いんだよ。また俺達のせいでお前が危険な目に遭うかもしれない』と言ったかと思うと、彼女に向けて人差し指を向けた。
と、同時に唐突にその場に現れたのは茶色の髪に茶色の瞳をした少し強面の青年。
彼はリリノアへ指を向けるサンの目の前に立ちはだかると、サンの手を地面に向けさせながらこう言った。
『辞めておけ。嫌われるぞ』
じっとサンを見詰めながら左右に首を振る青年と、そんな青年と私達を見比べてから舌打ちを零すサン。
私は自身の目の前で起こっている状況に首を傾けると、こちらに背を向けている青年へと声を掛けた。
「あの、貴方は一体……?」
青年はふとこちらを振り返って『俺は地の上位精霊のテラだ』と少し微笑みながら名乗ると、優しく私の頭を撫でて来た。
そして、それと同時に先程まで黙っていた精霊達が急に少し怒った様子でサンへと集まって『リリノアを殺そうとしたでしょ!』や『自分勝手のサン!!』や『最低だー!!』と騒ぎ出したでは無いか。
……リリノアを殺そうとした?
思わず、精霊達の言葉に両手で口を抑えながらサンを見れば私から視線を逸らしながら頭を掻く彼。
けれど、テラは呆然とサンを見る私の目の前でしゃがみ込むと『許してやってくれ。あいつは考えるよりも先に手が出るんだ』とサンに変わってそんな言葉を口にした。
私はそのままテラに続けて小さく『悪かった……』と口にしたサンに目をやると、「……もう二度とリリノアには手を出そうとしないで」とだけ告げ、『分かった』と口にした彼を一瞥してから、そのまま不思議そうな顔をしているリリノアを連れて一度屋敷へと戻ることにしたのだった。
『おい!お前もしかしてオリヴィアか!?』
ふわふわと宙に浮き、白い八重歯を見せながらこちらを指差して笑う金髪の青年。
私は自身の周りで『サンだ~!帰れ帰れ~!!』と言い始めた精霊達に少し驚きながら、目の前で『おい、聞いてるのか!?』と声を荒らげた彼に慌てて頷く。
「は、はい。オリヴィアです」
すると、そんな私の様子を見るなり「お嬢様……?」と不思議そうな顔をしてこちらを見てきたリリノア。
しかし、サンはそんな彼女の事を気にすることなく『やっぱりそうか!大きくなったなぁ~!!』なんて言いながら宙に浮きながら私の頭をグリグリと撫でてきたでは無いか。
……本当に彼らは私の頭を撫でたりするのが好きだなぁ。
ふとそんな事を思いながらも私はサンにされるがままに頭を撫でられ続ける。
すると、リリノアが少しずつ乱れていく私の髪の毛を見るなり「もしかして上位精霊の方が来ているのですか?」と少し首を傾げながら問い掛けてきたので、私はそれに小さく頷くと、自身を見下ろしながらニッコリと笑うサンに対して「えっと、貴方は一体なんの精霊なんですか?」と尋ねた。
そうすれば、ハッとした様子で私の頭を撫でるのを辞めて目の前に回り込んできた彼は自身の胸元をドンと叩くなり自己紹介を始めてくれた。
『おっと、そう言えばお前の記憶はメリーが消してたんだっけか!改めて、俺の名前はサン!!雷の上位精霊だぜ!!!』
自信満々に胸を張りながら『よろしくな!』と右手を差し出してきた彼の手を取れば、すかさず私の周りにいた精霊達がケラケラと笑いながら『乱暴者のサン~!』や『サンは帰れ~!』と言い始めたでは無いか。
私は自身の肩の上で『オリヴィア、サンには気を付けてね!』と言った精霊に軽く首を傾けながら、『うるせぇチビ!』と言いながらその子を指で弾いたサンを見て多少驚きつつも、『もう一回!』とサンに駆け寄った精霊を見てこう呟いた。
「貴方達、仲がいいの……?」
しかし、そんな私の発言を聞くな否や『んなわけねぇだろ!』と言いながら精霊を右手で鷲掴みながら『このクソチビ共め!!』と悪態を吐きながら精霊を指で捏ねくり回すサン。
……いやぁ、何処からどう見ても仲良しなんだけどなぁ。
私は隣にいたリリノアに目を向けると、目の前で起こっている状況を説明する。
すると、彼女は私の視線の先を見ながら「……完璧に上位精霊が遊ばれてますね」と一言呟いた。
その瞬間、サンはそんなリリノアの言葉を聞くなり『だろ!?いっつもこいつら俺で遊びやがるんだ!!』と言いながらプンスカプンと怒り始めた。
でも、その怒りも一瞬のことで彼はふと瞬時に不思議そうにこちらを見たかと思うと『っていうか待て。オリヴィア、そこの人間になんで俺達の事を知ってるんだ?』と首を傾けて来た。
真剣な表情でじっとリリノアを見詰めるサン。
ここで私は慌ててホリーとネスとの間にあった事を話し、彼女にネスを起こすのを手伝って貰ったこと、そして今後も彼女に私の手伝いをして欲しいから彼女には全てを話してあるということを説明した。
けれど、彼はそれを聞いてからもじっとリリノアを見詰めながらこのような事を口にした。
『ネスの事に関してはそいつには感謝してやる。だが、その女が裏切らないとは絶対に言いきれないだろう?』
静かに地面に降りて一歩、また一歩とこちらへと近付いてくる彼。
私はそれに対して「大丈夫よ。何かあったらその時に対処したらいいでしょ?」と言う。
でも彼は『その女が裏切って話を広めた後だったら遅いんだよ。また俺達のせいでお前が危険な目に遭うかもしれない』と言ったかと思うと、彼女に向けて人差し指を向けた。
と、同時に唐突にその場に現れたのは茶色の髪に茶色の瞳をした少し強面の青年。
彼はリリノアへ指を向けるサンの目の前に立ちはだかると、サンの手を地面に向けさせながらこう言った。
『辞めておけ。嫌われるぞ』
じっとサンを見詰めながら左右に首を振る青年と、そんな青年と私達を見比べてから舌打ちを零すサン。
私は自身の目の前で起こっている状況に首を傾けると、こちらに背を向けている青年へと声を掛けた。
「あの、貴方は一体……?」
青年はふとこちらを振り返って『俺は地の上位精霊のテラだ』と少し微笑みながら名乗ると、優しく私の頭を撫でて来た。
そして、それと同時に先程まで黙っていた精霊達が急に少し怒った様子でサンへと集まって『リリノアを殺そうとしたでしょ!』や『自分勝手のサン!!』や『最低だー!!』と騒ぎ出したでは無いか。
……リリノアを殺そうとした?
思わず、精霊達の言葉に両手で口を抑えながらサンを見れば私から視線を逸らしながら頭を掻く彼。
けれど、テラは呆然とサンを見る私の目の前でしゃがみ込むと『許してやってくれ。あいつは考えるよりも先に手が出るんだ』とサンに変わってそんな言葉を口にした。
私はそのままテラに続けて小さく『悪かった……』と口にしたサンに目をやると、「……もう二度とリリノアには手を出そうとしないで」とだけ告げ、『分かった』と口にした彼を一瞥してから、そのまま不思議そうな顔をしているリリノアを連れて一度屋敷へと戻ることにしたのだった。
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