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第一部

また呼ばれて

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 愛さんとのデートを終えた後、優花からそれを見計らったようにメッセージが届いた。メッセージの内容を確認してみると、凛の家に向かうように書かれていた。何か困り事だろうか?とそんな風に思いながら凛の家へと向かう。

 



 凛の家に着いたと同時にまた優花からメッセージが届く。凛ちゃんの自室へ向かってねという旨のメッセージ。前回もそうだったんだけど、凛の家に勝手に入っていいと言われていても、一人で入っていくのは慣れないものだ。そんな事を、また思いながら凛の部屋へと向かう。ノックをして声を掛けるもののまたしても返事はない。

「…入れって事だよな?」

 戸惑いながらも部屋のドアを開けると、部屋の真ん中に大きなダンボールが置かれているのが視界に入ってきた。

「…ダンボール?」

 そしてまたまた見計らったようにメッセージが届く。どこかで見ているのか?キョロキョロと辺りを見渡してみるがカメラなんかはないみたいだ。肝心のメッセージにはダンボールを開けてね!書かれている。なんか嫌な予感がするのは気のせいだろうか?ビックリさせるつもりだろうか?

 ダンボールに手を添えて揺らしてみると、

「きゃっ………」

 そんな声が聞こえた。その声はくぐもっていたものの凛の声だと思った。揺らさずに素直に開けるべきだったか?ビックリさせたかったんだろうな。悪い事をしたような気分でとりあえずダンボールを開け──ようとしたところで凛が勢いよく飛び出してきた。例えるなら黒◯げ危機一髪みたいな感じで…。

「うおっ!?」

 まさか…そっちから飛び出してくるとは思っていなかったのでビックリしてしまう。そして凛の姿を見て二度ビックリしてしまう。

「素直に開けて欲しかったんだけどっ!?揺らされたもんだから、私ビックリしちゃったよっ!?」

「…いや…ビックリしたのは俺の方なんだけどな?それに…その…恰好は?」
 
 視線をそらしながら凛に訪ねる。そんな凛の恰好はというと下着姿だ。よくエロ本なんかで見るような穴開き下着っていうのか?とにかく大人のエッチな下着というやつだ。

「そうそう、で…どうかな?この恰好?は、恥ずかしいんだけど…私を…私を抱きたくなるかな?」

「…そ、そりゃあな…なると思うぞ?」

 男なら…可愛い美少女がそんな恰好していたらなるに決まってるだろうに…。

「…豊ちゃんに聞いているんだよ?」

「?」

 えっ…と…今…答えたよな?

「豊ちゃんは私を抱きたい?」

 それは…また答えにくい質問を…。

「…優花との件は聞いてるよな?」

「…聞いてるよ」

「優花とそういう風になっていなくて…優花と付き合っていなかったら…」

「それは今はどうでもいいよ」

「いや、よくないだろ?」

「優花ちゃんもこの事は知ってるもん」

「…はっ?」

 いや…考えてみるとそれはそうか。メッセージで連絡が来たのは優花からだったな…。優花はこの事を知っているんだな。どうしたいんだ?

「まだ分からないのっ!」 

 まだ分からないのっ!って、言われても…

「こんな恰好をするのはなんでだと豊ちゃんは思うのっ!?」

「……」

 もしかして…そういう事なのか?凛も俺を?

「もしかしてようやく分かった?そうだよ。私は豊ちゃんが好きなのっ!ちゃんと言わなかった私も悪いけど…優花ちゃんと同じで…私も豊ちゃん以外考えられないからっ!」

 そう言って抱きついてきて唇を重ねてくる凛。何度も唇の感触を味わうかのように唇と唇が触れ合った後、唇が離れると…



「抱いて…くれる…?」


 そんな一言を言葉にする凛。

「…ゴムないし…」

 そんな一言しか出てこない俺を側目に…

「心配しないで?優花ちゃんにもらってるから…」

 何してんのっ!?優花ぁぁぁぁぁー!?








***
あとがき


天音「はじめに告白したの私なんだけどっ!?」
 
日和「それな?」

芽依「優花さんの差し金というか、入れ知恵ですよね?」

 
優花「…そうだけど」


芽依「くっ…繋がって正妻の余裕なようなものが出てきてる!?」

天音「んっ?」

日和「どうした?」

天音「も、もしかして…優花ちゃんに言えば…」

日和「…なるほど。そういう関係になれる?」

優花「ふふ~ん!私が正妻だもん!」

芽依「そうなのっ!?じゃあ…私も…いや、でも…」

愛「お嬢様…強くなられましたね…」






 



 


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