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第四十一話

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「そっかぁ…」 


 言った。

 とうとう自分の気持ちを春に言ってしまった。言うつもりはなかったけど…少しだけスッキリしている自分もいる。

 春は少しだけ…何か考えた素振りを見せた後、あっけらかんとした感じで言った。 

「そっかぁ…うん、私も好きだよ」 

「っ!?それって…」 

「でも…」 

「でも…?」 

「…今はまだその時じゃないから…さぁ、帰るよ…聖夜?」 


 今はまだその時じゃない?春は何を言って…。

 俺は春にその真意を聞こうとすると、俺のコメカミ辺りにそっと掌が添えられた。 春の手だ…。 

 春の表情を見ると…何だか少し哀しい様な表情を浮かべている…そしてそれを認識したと同時に――

“ズキッ!” 

「っぅ…」

 俺は激しい痛みがする頭痛に襲われ… 意識が遠くなっていく―


【運命の日が…もう…近いから…】 

意識が遠くなるなか…そんな声を聴いた気がする…。 


♢ 

「…聖夜…起きて?」 

「…んっ?」

 目を覚ますと目の前には春の姿…。 

「晩御飯だよ、聖夜」 

 なんだかダルい体を動かし、上半身を起こす。どうやら春はご飯だと俺を起こしに俺の部屋へと来てくれたようだ。

 なんだか…記憶がハッキリしないな…。 

「今日は…俺、何してたっけ?」 

「何?あんた寝ぼけてるの?」 

「いや…なんだか…思い出せなくて…」 

「はぁ~~~。いい?今日は牧童ちゃんや庵ちゃんに告白されたんでしょう?そう、私に言ったじゃない?」 

「牧童さん?庵先輩? 告白?」 


 ……そうだ。だんだん思い出してきた…。 今日はナンパされてた庵先輩を助けた後、ファーストフード店に入って…そこで牧童さんに告白されて、その後、公園で庵先輩にまで告白されて…

 それで…どうしたんだっけ? 

「結伊ちゃん達と同じ様に返事は待つと言われたんでしょ?モテる男はツライわね、ねぇ~ 聖夜?」 

 ああ…そうか。そう言われて俺は……。そして家に帰って来てすぐに春にどこに行ってたのか聞かれて正直に答えて、疲れて眠っていたんだっけ?

 春へのプレゼントはバレてないよな?机にの奥に隠したよな? 

「な~に?まだ寝ぼけているの?」 

「…いや…」 

「2人とも~~~。ご飯冷めちゃうでしょ」 

 一階から母さんのそんな声。 

「ほら、行くよ?」 

「…うん」 

 春に手を引かれ、一階へ。父さんはすでに食卓の席に着いている。 

「遅いぞ、聖夜?母さんのせっかくの手料理が冷めてしまうだろ?」 

「ごめんごめん。何だか疲れていたみたいで」

「…大丈夫なの?体調が悪いの?」 

「ううん。大丈夫だから母さん。何でもないのに心配掛けてごめんね?歩き疲れてただけだから」 

「そう?何かあったら言うのよ?」 

「うん」 

「さぁ、食べよ食べよ♪」 

 春はらしいなぁ~と思いながら、席に着き家族で晩御飯を食べるのだった。それにしても…告白された事をわさわざ言わないで欲しかったよ、春…。

 父さんがまたそれに対して嫉妬して母さんが父さんを問い詰めるんだから…。
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