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第三十三話

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重なっていた唇が離れ… 

「せ、先輩…お、お気に召して下さいましたか?」 
「ななな…何をっ…」

 俺が驚いていると… 

「―きです…」 
「…えっ?」 
「私は…ずっと…ずっと…あの時から先輩が好きですっ!」 
「なっ!?」 

冗談を言ってる様には思えない…。美優は顔を真っ赤にしながらも力強い眼差しで俺をその目に捉えているのが分かったからだ…。美優が俺を好き…? 

「言ったーぁ!?美優ちゃん言っちゃったよ!?」 
「くっ…やるわね…」 
「…やるわね、美優ちゃん」 
「へぇ~ 美優ちゃんが言っちゃったか…」

 四人は何を言ってるんだ?もしかして知ってたのだろうか? 

「おい…聖夜に美優ちゃんが…キ、キスぅー!?」 
「…全くあの子は…」 
「うちの結伊だけでは満足出来ないとっ!?」 「あなたはちょっと黙ってて下さいね?娘の結伊には頑張って欲しいとは思うのだけれどあの子達の気持ちも分かるしねぇ~。みんないい子だし…」 
「羨ま…けしからん…。息子ながらけしからん…」 

くっ…さっきまで飲んだくれていた大人連中がいつの間にかこっちを見て何か色々と言ってるみたいだ…。

ま、まあ…結伊に手を出した事になってるから当然の反応と言えば当然なのかも知れんが、これじゃあ何人もの女性に手を出していると不名誉ながらに思われるんじゃあ… 

「先輩…今は…私を見て欲しいです…」 
「あっ…美優…俺は…」 

俺は姉さんが…とうの姉さんはというと…我関せずみたいに黙々とバーベキュー食べてるぅー!?あの時のキスは何だったのさぁー!?何故平然としていられるんだー!? 

「…そうですか…。先輩の様子を見て分かりました…。今は返事は聞かない事にしておきますね、先輩?」 
「えっ?」 
「先輩の心の中では…まだ私は小さいみたいですので…」 
「美優、それは―」 
「私は先輩を諦めるつもりも…先輩以外見るつもりもありませんのでっ!」 

真っすぐにそんな事を言われると美優をまともに見る事が出来ない…。妹みたいなもんだと思っていたのに…それに俺は…姉さんが好きなんだ… 

「今日から覚悟して下さいね、先輩…。私は先輩を必ず…堕としてみせますからね♡」

 このままではいけないと思った俺は美優に断りをいれようと口を開き… 

「美優、それは―」 
「聖夜っ!!」 

不意に真後ろからそんな声が…。俺は言葉を遮られたので何事かと後ろを振り向くと… 

「んっ―」

 首に腕を回され…またもや唇に柔らかい感触…。視界には真っ赤に顔を色づかせながら目を瞑っている結伊の顔が映り込む…。 

はあっーーーっ!?結伊っ!?何して!? 

「ぷはっ…わ、私も…私も聖夜が好き…ずっとずっとずっーと好きだっんだもん!」 

「ゆ、結伊まで何をっ…」 

「鈍感だけど…ある意味馬鹿だけど…ずっと傍に居てくれて…私も聖夜以外見れないもん…。小さい頃から…ずっと好きだったもん!」

 な、何だか…ディスられてない?気のせいか?そ、それにしても…結伊迄俺を好き?嘘だろっ…

「父さんは母さんしか知らないのにっ…」 
「不満なのっ?」 
「滅相もない…」 
「結伊が積極的にいった!?」 
「やるわね、流石私の娘…勝負するところは勝負しないとね…」 


「ゆ、結伊まで…」 
「やるわね…結伊ちゃん」 
「へぇ~ 結伊ちゃんまでいっちゃったか」


 嗚呼…もぅー!?一体どうすればいいんだよっ、俺はっ!?
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