31 / 50
第三十話
しおりを挟む
「…落ち着いたか?」
「は、はい」
「じゃあ…少し離れてくれるか?」
「えっ…………嫌ですけど?」
「嫌ですじゃあないんだけどな? とにかく…病室の外に居る父さん達を呼ばないといけないからさ」
病室のドアの入口にガラスが付いてるんだけど、先程からチラチラとそこから病室の中の様子を窺っている父さん達と思わしき人達の姿が見えるんだよな…。一人は必ず姉さんだと断言出来る。
「あわわわっ…」
俺がそう言うと美優が慌てて距離をとる。
「―気付いてたのか?」
父さんの声がするとともに病室のドアが開き、父さん達が入って来た。そして真っ先に父さんが口を開いた。
「事情は美優ちゃんに聞いてる。心配したんだぞ。聖夜が刺されたと聞いた時には…」
「ごめんなさい、父さん」
「まあ、同じ男として言えるのは…よくやったな、聖夜…。お前が居なかったら美優ちゃんはどうなっていたことか…」
「俺もそう思うよ…助けられて本当に良かったって…ただもう少し早ければと思ってしまうけどね」
近くに居る美優を頭を少しだけ乱暴に撫でる…
「先輩は…もう…髪グチャグチャになるじゃないですか…」
続いては母さんだ…
「…また、あんたはなんでそう無自覚に…」
えっ? 一言目から何か訳が分からない事言われてるんだがっ!?
「はぁ~ 結伊ちゃんを傷物にして自分が本当に傷物になってどうするのよ?」
「目茶苦茶な言われようなんだがっ!?」
「あんた…どこのハーレム王を目指しているのよ」
「目指してねぇーよっ!!!」
―ったく、母さんは…そう思っていると突然優しく抱き締められて…
「そこまで…大した事なくて…本当に良かったわ、聖夜…。本当に本当に心配したのよ…」
「ごめん、母さん」
母さんの番が終わると姉さんが傍にやって来て抱き締められる…。
「馬鹿…馬鹿聖夜…心配したんだからね?」
「ごめん、姉さん」
姉さんが泣いている…
「聖夜は一人しか居ないんだから…無茶な事…しないでよぉ…」
好きな人にそんな事言われたら…肯定しか出来ないってぇの…
「うん、無茶はしないから…」
姉さんの温もりを感じながらそう思った。推しを泣かせる訳にはいかないしな…。 そして美優の両親も当然来ていてお礼を散々言われた…。 その後、結伊と結伊の両親…そして歩美に輝昭迄心配して来てくれていた…。多くの人に心配を掛けてしまって申し訳ない事をしてしまったな…。
まあ、これだけの人に心配してもらえるって…本当に幸せなんだなと不謹慎ながらも思ってしまう…。
そして…家族以外のみんなが病室を後にした後、
「それじゃあ…俺と母さんは家に帰るな」
「ちゃんと…安静にしておくのよ?」
「うん、ありがとうね?」
「まあ、春が傍に居るから心配はいらんだろうがな」
んっ?春が居るから?
「聖夜の事頼むわね、春?」
「んっ?姉さんは一緒に帰らないの?」
「あんたの世話とあんたを一人にする訳にはいかないでしょっ?まあ、私達もあんたが心配だし、春が居てくれたら連絡も取りやすいしね」
「任せてっ!聖夜の面倒は私が見てあげるんだからっ!」
「じゃあ、頼んどくな、春」
どうやら俺の推しが付き添ってくれるみたいだ…。入院も悪くないかも知れないと思ってしまうな…どんだけ、俺は姉さんが好きなんだろうなって話だ…。
「は、はい」
「じゃあ…少し離れてくれるか?」
「えっ…………嫌ですけど?」
「嫌ですじゃあないんだけどな? とにかく…病室の外に居る父さん達を呼ばないといけないからさ」
病室のドアの入口にガラスが付いてるんだけど、先程からチラチラとそこから病室の中の様子を窺っている父さん達と思わしき人達の姿が見えるんだよな…。一人は必ず姉さんだと断言出来る。
「あわわわっ…」
俺がそう言うと美優が慌てて距離をとる。
「―気付いてたのか?」
父さんの声がするとともに病室のドアが開き、父さん達が入って来た。そして真っ先に父さんが口を開いた。
「事情は美優ちゃんに聞いてる。心配したんだぞ。聖夜が刺されたと聞いた時には…」
「ごめんなさい、父さん」
「まあ、同じ男として言えるのは…よくやったな、聖夜…。お前が居なかったら美優ちゃんはどうなっていたことか…」
「俺もそう思うよ…助けられて本当に良かったって…ただもう少し早ければと思ってしまうけどね」
近くに居る美優を頭を少しだけ乱暴に撫でる…
「先輩は…もう…髪グチャグチャになるじゃないですか…」
続いては母さんだ…
「…また、あんたはなんでそう無自覚に…」
えっ? 一言目から何か訳が分からない事言われてるんだがっ!?
「はぁ~ 結伊ちゃんを傷物にして自分が本当に傷物になってどうするのよ?」
「目茶苦茶な言われようなんだがっ!?」
「あんた…どこのハーレム王を目指しているのよ」
「目指してねぇーよっ!!!」
―ったく、母さんは…そう思っていると突然優しく抱き締められて…
「そこまで…大した事なくて…本当に良かったわ、聖夜…。本当に本当に心配したのよ…」
「ごめん、母さん」
母さんの番が終わると姉さんが傍にやって来て抱き締められる…。
「馬鹿…馬鹿聖夜…心配したんだからね?」
「ごめん、姉さん」
姉さんが泣いている…
「聖夜は一人しか居ないんだから…無茶な事…しないでよぉ…」
好きな人にそんな事言われたら…肯定しか出来ないってぇの…
「うん、無茶はしないから…」
姉さんの温もりを感じながらそう思った。推しを泣かせる訳にはいかないしな…。 そして美優の両親も当然来ていてお礼を散々言われた…。 その後、結伊と結伊の両親…そして歩美に輝昭迄心配して来てくれていた…。多くの人に心配を掛けてしまって申し訳ない事をしてしまったな…。
まあ、これだけの人に心配してもらえるって…本当に幸せなんだなと不謹慎ながらも思ってしまう…。
そして…家族以外のみんなが病室を後にした後、
「それじゃあ…俺と母さんは家に帰るな」
「ちゃんと…安静にしておくのよ?」
「うん、ありがとうね?」
「まあ、春が傍に居るから心配はいらんだろうがな」
んっ?春が居るから?
「聖夜の事頼むわね、春?」
「んっ?姉さんは一緒に帰らないの?」
「あんたの世話とあんたを一人にする訳にはいかないでしょっ?まあ、私達もあんたが心配だし、春が居てくれたら連絡も取りやすいしね」
「任せてっ!聖夜の面倒は私が見てあげるんだからっ!」
「じゃあ、頼んどくな、春」
どうやら俺の推しが付き添ってくれるみたいだ…。入院も悪くないかも知れないと思ってしまうな…どんだけ、俺は姉さんが好きなんだろうなって話だ…。
11
お気に入りに追加
146
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?
みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。
普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。
「そうだ、弱味を聞き出そう」
弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。
「あたしの好きな人は、マーくん……」
幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。
よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる