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第二十三話

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あれから頬にずっと残って離れない姉さんの唇の感触…あれは現実だったのかと今でも思う…。姉さんはどうしてあんな事を?姉さんの態度は変わらない。やっぱりというか当然というか弟に対する家族の愛情みたいなもんだよな?それしかないよな…。

「はぁ~~~…」

「何かあった、聖夜?」

「んっ…いや、なんでも…」

「さっきからタメ息ばかりついてるよ?」

「あっ…いや、ほらっ…季節柄というかこんな天気じゃん?」

 梅雨に入り今日も雨がぱらついている。いや、いつの間にかザァーザァーと降っている。

「それは…確かに…こんな天気じゃあそうなるかも?」

「それよりもだ、結伊。何で梅雨の真っ只中に傘を持ってないんだ?―と、いうよりも今朝学校に行く時は差してたよな?」

「えっ!?今頃それを聞くの!?―と、いうよりも私も言ったよね!?友達に貸したって」

 そういえばそう言ってた気もするな…。何だっけ……そうそう、朝は車で学校迄送って貰ったから傘を車の中に忘れた友達が居たとか何とか言ってたっけ…

「だから…―って、それより聖夜の肩が濡れてるんだけどっ!?」

「結伊を濡らすわけにはいかないだろ?」

 傘はそんなに大きくないし、何より結伊が濡れると透けてマズイ事になるからな…。

「っ!? 馬鹿…えっち…」

「何で俺は誰からでも馬鹿って言われないといけないんだ?そんな事よりえっちって何だよ!?そんな要素あった!?」

 両手で胸を覆い隠す結伊。

「透けるって言うから…」

「今は透けてないだろうにっ!?それよりそんな風にしたら…強調されるから止めとけ…」

「み、見てるじゃん!?」

「今のは仕方なくねっ!?それに注意しただけだしっ」

「…み、見たい…の?」

「……美少女が見たいのとか言うのは破壊力あり過ぎるから辞めてくれる?」

「美少女!?今、美少女って言ったよ!?」

 そんなに驚く事か?事実だしな…。

「えへへ… そっかぁ…」

 美少女なんて言われ慣れてるだろうに嬉しそうにしやがって…。

「―ほらっ、家に着いたぞ」

「ありがとうね聖夜」


 さて、結伊も送り届けたし、早く家に帰ってシャワーでも浴びて…そこで俺は重大な事に気付いてしまう…。

「ヤベっ…鍵忘れてた…姉さんは…まだ帰ってないみたいだし…どうすっかな…」

「聖夜ー!どうかしたっ?」

「あ~…まだ家に入ってなかったのか、結伊?」

 隣の玄関先から結伊が声を掛けてきた。お互いの玄関先が見える造りになっているし律儀な奴だから俺が家に入るのを見届けてから家の中に入るつもりだったのだろう…。

「鍵忘れただけ!もうすぐ姉さんが帰って来るだろうしこのまま…」
「駄目だよっ!」
「いや…だってなあ~」

 それしかないし… 

「…うちでシャワー浴びて?」

「いや…それは…」

 流石に結伊の両親も居ないし…

「いいから、早くっ!」

「あ…はい…」

 仕方ないか…俺が風邪ひいたりしたら結伊が責任を感じてしまうだろうし…仕方ないよな?そういう訳で俺は結伊の家にお邪魔する事になったんだ…。

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