恋愛ゲームのヒロインにガチ恋~転生したのは大好きなヒロインが居る世界。でも弟として~

美鈴

文字の大きさ
上 下
5 / 50

第四話

しおりを挟む
「こんなところに私を2~30分にさんじゅっぷんも放ったらかしにするなんて」

「…だから何度も謝ってるだろ?」

 ちょっと人助けをして、戻って来たら丁度結伊もナンパされていたのだ…。その為、大変ご立腹なのである…。まあ、みたいに危険な奴等では無かったけども…。まあ、人通りが多いからそんな大それた事する奴は滅多にいないだろうけどね…。

「助けてくれたのは…嬉しかった…けど…(ごにょごにょ)」

「…悪かったよ…俺の彼女なんて言って…」

 ナンパから助けるには仕方ないだろうに…

「そ、そうじゃないよ!そうじゃないのっ!謝る所を間違えてるからね?」

「…ったく、我が儘なんだから…」

「えっ、我が儘じゃあないと思うけど!?」

「ほらっ…」

 ポケットから取り出した物を結伊に渡す。

「これって…」

「たまには髪…纏めたくなったりするだろうし、さっきの詫び…なっ?」

「っ……こ、こういう所だからね?」

「どういうとこだよっ!?」

「むぅ~…でも…ありがとう…聖夜!大切にするから」

「おうよ」



***

「お帰り~」

「…ただいま。母さん達は?」

「買い物に行ってるよ?」

 リビングには姉さんだけ…か…。

「結伊ちゃんとデートだったんでしょ?」

「ちげぇーよ!?ただ買い物に付き合っただけで…って、まあ、買い物つぅ~買い物はしてないけど…」

「普通…それをデートって言うんじゃないの?」

「言わねぇーよ」

 言わないよな?

「…ほら…姉さん」

「何?何?お土産?」

「これ…」
(姉さんに似合いそうだったから…なんて言えないよな…。姉弟だし…。でも…これ位は姉弟でもやるよな?)

「耳に着ける…イヤリング?」

 姉さんに渡したのは…耳たぶに挟んで着けるイヤリング…。結伊に上げた髪止めの方が高いんだぜ?

「…結伊ちゃんにも何かあげた?」

「何で気にするのか分からないけど…ちゃんとあげてるよ」

「…ありがとうね、聖夜。大事に…使わせて貰うね?」

 ああ…本当に…この笑顔が俺は好き…なんだな…。神様…恨むからな?

「…どうかしたの聖夜?」

「…ううん…何でもない…」

「そう?」

「うん。じゃあ部屋に戻るから…」

「…聖夜」

「ん?」

「何でもない…」

 ─ねぇ…聖夜。このイヤリングに描かれてる花の名前と花言葉を知ってるの?花の名前は胡蝶蘭。そして胡蝶蘭の色によって少しだけ意味が変わる。聖夜がくれたのはピンク。だから…花言葉は…

「あなたを愛してます…なんだよ?分かってるの?」




***

「聖夜ぁー!それか春ぅー」

「どうしたの母さん?」
「何…お母さん?」

「悪いんだけど…味噌買い忘れちゃって、まだ夕方だし、どっちか買って来てくれる?」
 
「じゃあ、わ「俺が行くよ!」…聖夜?」

 まだ明るいとはいえ危ないと思うし…。

「そうね。女の子は危ないわね。じゃあ、聖夜宜しくね?」

「任せて母さん」

「…ありがとね、聖夜」

「いいよ、これ位」



***

 味噌は買ったし…帰らないとな。まあ、スーパーは家からある程度近いけど、早く帰らないと味噌汁作れなくて困ってるだろうしな…。

「センパァァァァァイ!!!」

 こちらに駆け寄って来る足音と聞いた事ある声…。嫌な予感しかしないけど…振り向くと…

「げっ…美優《みう》!?」

「どーーーーーん!!!」

「がふっ…」

 俺の胸に勢いそのままに飛び込んで来たポニーテールの少女は黄昏美優《たそがれみう》。これまた、色々あっていつからかこうなった…。美優がこうすると結伊の機嫌が途端に悪くなるんだよな…。仲悪い様には見えないけど…。美優は抱きついたまま胸元に顔を埋め、そのまま上目遣いに視線をこちらへと向ける。

「危ないだろ美優?」

「エヘヘ…先輩の匂い…すんすん…」

「嗅ぐな嗅ぐな!お前は変態か?」

「別に…匂い位は良いでしょ?」

「…良くないからな?ほらっ…離れた離れた…」

「ぶぅ~先輩の匂いを堪能してたのにぃぃ」

「やかましいわ!…今、帰りなのか?」

「そうなので~す!部活美少女は忙しいんですよ、せ・ん・ぱ・い?」

「自分で言うのかよ…ったく…。ほらっ…しょうがないから…送ってくよ?」

「…い、良いんですか先輩!?」

「…美少女なら危ないだろ?それにほらっ…荷物貸してくれ…」

「…お、お言葉に…甘えます…」

 頬が赤いのは夕陽のせいか?俺以外なら勘違いされるぞ?多分…。

「急にどうした?」

「にゃあ!?にゃんでも…にゃんでもにゃいでちゅ…」

「何でもないならいいけど…もしかして…アレか?今頃、俺の匂いを嗅いだ事が恥ずかしくなったとか?」

「…っ!?う~う~先輩の…馬鹿!そ、そんなの口にする必要ないじゃないですか!」

 んっ?言った事が当たったのか?何を今更…。毎回するくせに…。

「ホント…今日は馬鹿と言われる日だな…」


***

 美優を送った後、母さんから遅い!このお馬鹿との言葉を頂いた…。遅くなった理由を言ってないとはいえ…解せぬ…。










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

サクラブストーリー

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。  しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。  桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。  ※特別編7-球技大会と夏休みの始まり編-が完結しました!(2024.5.30)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?

みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。 普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。 「そうだ、弱味を聞き出そう」 弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。 「あたしの好きな人は、マーくん……」 幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。 よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...