男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴

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番外編

出生の秘密

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 ティータイム…もといティアタイムを存分に満喫したある日の事だ。王城の自室に戻ると母さんが一人ちょこんと椅子に腰掛けていた…。

「エル…遅くまで御苦労様」 

「ありがとう母さん」 

「さあ、こっちへ来て母さんを抱きしめて?」

 どうにも母さんと関係を持ってしまってからは気まずいというか照れるというか…母さんとの間に子供も居るんだけど…。まあ、何とも言えない気恥ずかしさがあるんだ。愛してもいるのは間違いないんだけどね。

 まあ、そんな感じで母さんが座っている場所の反対側に机を挟んで座る。 

「さて…私のエル…」 

「え~と…何?」 

「そろそろ聞きたいんでしょっ?どうして私が男性と関係を持ってないのに…妊娠したかと言う事を…」 

 母さんが真面目な顔つきになり、少し考え込んだ感じでゆっくりと口を開く…。俺は生まれた時の記憶があるから母さんから生まれた事は間違いない…。母さんから母乳をもらって育ったしね。母さんからは父親についての話も聞かなかったし、ミーニャ達からも聞いた事はない。ただ …男嫌いということだけは聞いた事があるんだ。

「…母さんが…話してくれるなら…」 

「いつかは…話そうとは思っていたのよ? 別にいつまでも隠しておく事でもないしね…。エルももう成人したわけだし、女性とも関係を持ったわけだし…子供もいるし…いい頃合いかも知れないわね…」 

 結構難しい話になるのか?母さんはさっき…ハッキリと男性と関係を持っていないと言った…。じゃあ…どうやって… 

「私は…男の人が嫌いだったのよ」 

「ミーニャから聞いた事あるよ」 
 
 意外だろ?母さんが男嫌いだったなんて…。俺もこうして聞くまで半信半疑でもあった。

「ほらっ…若気の至りって奴? 今の世の中は男性が少なくて…特別扱いというか…とにかく私はそういうのが許せなかったというか…」 

「あ~ 確かにね…」 

 まあ、実際男性というだけで優遇されるのはこういう世界ならではだよな…。だからこそ…あのデイルと言う男も短期間で王に迄なり詰めたんだから… 

「でも…貴族だし…跡取りとかそういう話も出るじゃない?男性は嫌いだったけどこう見えて母さんは意外と数少ない男性にモテたのよ?陛下からもお声掛けあったんだから!」 

「母さん…綺麗だしね」 

 陛下が声掛けしてるとは思っていなかったけど… 

「も、もう~ エルったら…話が終わったら布団の中で体を使っていっぱい話しましょうね?」

「母さん…雰囲気が台無しなんだけどっ!?」

「まあ、とにかくそんな時に…父が…あなたのおじいちゃんにあたる人ね…」

「おじいちゃん?」 

「そうなの…父がある人を連れてきたの…その人は父よりも歳をとっていて…外見で言うなら今の陛下みたいな感じね。そしてその人はこう言ったの…男性と関係を持たなくても妊娠出来ると…」 

 まさか…その高齢の人が言ったのは…人工授精の事か?いや…でも… 

「始め…私は半信半疑だったわ…そうでしょっ?突然誰かも分からない、歳を召してるとはいえ男嫌いの私に父は男性を連れてきたのだから…」 

 デイルみたいに…その手に詳しい人がこの世界に転生していたとしたらあり得るのか… 

「後から知ったんだけど…その時…既に父は病を患っていてね…」 

「そうなんだね…」 

「まあ、とにかく…最終的にはそれを信じる事にした私は… と、いうわけなのよ」 

「いやいや、母さん!? そこが大事なんだけどっ!?」 

「いや、だって、詳しい事はわかんないわよっ!しゅうしゃき?なんかそういうのに細い細い…針金?―みたいなものがついてて…とにかく、その容器には男性の精子が入っていると聞いたの!」 

 しゅうしゃき……注射器の事か!そしてその注射器の先に管みたいな物が付いてるという事なら…やっぱり人工授精だ…。精子を子宮に直接そこから放ったという事だよな…。前世でネットで見た事がある…。 でも…それは…確実では無かったような?確か…妊娠しやすくなる方法じゃあなかったかな?その謎の人は妊娠すると分かってたのか? 

「…母さん」 
 
「な~に?」 

「その人は?」 

「…それが…分からないわ。私が会ったのは…その時のその一回だけだから…」

 んっ…?もしかして…

「母さん」

「何かしら?」

「もしかしてあの地下にあった書物は」

「ええ…たぶんだけど…お父様とその人が残していたものだと思うわ」

 やっぱりか…。書物にはそれの事も書かれていたからな。


「ありがとう母さん…話してくれて…」 

「話さないといけない事だったしね…」

 「―で、母さんは何故脱いでるの?」  

「えっ?」 

「えっ? じゃないんだけどっ!?」 

「ほら、今からエルと愛を語り合うしっ?」

「男嫌いじゃあなかったの!?」 

「エルは特別♡ それに…エルの逞しい男で分からさせられたゃったから♡テヘッ♪」 

「はあ…じゃあ…今日もマリアを分からせるね?」

「うん…エル♡」



 と、いう事はその人が俺の前世での父さんだったんだな…。もしかしたら神様に父さんは会っていて…それで…俺の事を…まあ…憶測ではあるけど…そんな感じだろうな…。あの世で会える時がきたら…親孝行したいものだな。その時は全ての記憶をもっているといいな…。


「エル!?早く早くっ!」

「ごめんごめん…じゃあ…マリア」

「あん♡」
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