上 下
81 / 140
第四章

母と娘の会話再び

しおりを挟む
「…ティア。それではどうなったのかを詳しく…それはもう、詳しく聞かせて下さいな」

「何で当然の様にアルタイル領に居るのですか、お母様!?」

 エルとミリアちゃんがデートに向かった後、私はエルの屋敷へとまっすぐ帰って来たのですが、まさかお母様がいらっしゃっているとは思いませんでした…。

「ふっ…何をたわけたことを言っているのです?そろそろ娘が大人の階段を登りそうとの虫の報せを受け、早馬を走らせて来たに決まっているでしょう?」

「虫の報せって何ですか!?本当にそんなものがあるとでも!?」

「あります!本当にあるのですよ、ティア!ここに断言します!虫の報せは本当にあると!」

「そ、そんな事…断言されても…」

「ともかく…虫の報せを受けずともそろそろだろうとは思っていましたよ?だからアレも念の為、その時の為に持たせておいたでしょう?」

「っ!? お、お母様…それってまさか…エルのアレが元気になりまくった事と関係あるのでは!?」

「? 何を当たり前の事を言っているのです?精力剤を少し盛ったに決まっているでしょうに」

 お母様が原因だったとは…。それも堂々と言い放っていますね…。少しは反省して欲しい所ですが、いや…まあ、そのお陰もあり気絶するまで愛しあえたから強くは言えませんが…。

「まあ、あなたの歩き方を見れば何があったのかは一目瞭然ですけどね」

「ああ…それは…確かに…」

 エルのがまだ入っている気がして歩き方がぎこちないのは自分でも分かっている。初めてだったし…それは仕方ない事でしょう。

「体も大丈夫ですね?」

「はい、違和感はありますが問題ありません」


「よろしい。では、ズバリ聞きます!私が聞きたいのは至宝の事です。ローズレインの至宝はちゃんと出せたのですか?」

 至宝…ああ…大しゅきホールドの事ですね。

「そ、そちらに関してもしっかりと実践しました。み、密着感が最高でした…」

 抜かりはありませんよ、お母様。

「ふむ。それではたっぷりと、それはもうたっぷりと注ぎ込んで貰ったのですね?」

「は、はい。最後の一滴迄しっかりと…今も私の中に残っています」

 体は拭いたけど…まだお風呂に入っていないしね。あっ…また奥からエルのが…。

「少し気が早いですが…とうとう私もおばあちゃんになる日もそう遠くないわね!」

 お父様だけではなくお母様も楽しみにしているのですね。私もエルとの子供は楽しみです。宿ってくれてるといいなと思いながら下腹を優しく愛おしく撫でてしまいます。

「そう…長くは待たせないつもりです」

「宜しくね、ティア」
 
「はい」

「それから…」

 まだ何か話すことが?

「ティア…本当に良かったわね?」

「あっ…」

 頭に手を乗せ、慈愛の表情とでもいうのでしょうか?とにかくそんな表情でこちらを見て、優しく私の頭を撫でながらそんな事を言うお母様。

 それは…ズルいです。ホントにズルいですよ?この間と同じ様に母の愛を感じてしまい、思わず涙ぐんでしまいます…。

「ほらほら、泣かないの。あなたが今まで頑張ってきたこと…それが報われたんでしょ?」

「ううっ…はい…はい」

「あなたの…娘の幸せは私の幸せでもあるのよ?これからもっとそれを感じる筈よ…だから…幸せになりなさいね?」

「…はぃ」

 娘の幸せを願わない親はいないという言葉が心に浮かび…余計に涙が出てくる私だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でスローライフを満喫する為に

美鈴
ファンタジー
ホットランキング一位本当にありがとうございます! 【※毎日18時更新中】 タイトル通り異世界に行った主人公が異世界でスローライフを満喫…。出来たらいいなというお話です! ※カクヨム様にも投稿しております ※イラストはAIアートイラストを使用

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

恋愛ゲームのモブに転生した俺!~ヒロインキャラが全員好感度MAXなのは気のせいでしょうか?

美鈴
ファンタジー
恋愛ゲームのヒロイン全員を攻略し終えた瞬間何故かゲームのモブに転生していた。モブだから平穏に生きようと決めたのにヒロイン全員寄って来るのですがなんでですか?しかもゲームはまだ本編始まってないですよね? ※エロには★がついています。 ※カクヨム様にも投稿しておりますが内容が異なります。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

転生したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...