男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴

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第三章

ここは…

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「………ル」

 んっ…? 

「…エル」

 誰かが…呼んでる? 

「ほらっ…エル!起きて!あなたの大好きなおっぱいは目の前よ?」 

 …ティアの声? その声に導かれる様に目を開けると、見渡す限りおっぱいの山。どこもかしこもおっぱいおっぱいおっぱいがいっぱい…。 
 ここは夢の国かっ!? 

 すると俺の目が覚めるのを待っていたかの様におっぱいの山の一つが噴火…。大量のミルクが吹き上げ、それと共に一つの黒い影が射出された!その黒い影は空中をクルクルと回転しながら俺の目の前へと静かに降り立った…。

 その姿はまるで鬼…。赤いフンドシ1枚だけ身に着けており、そのフンドシには黒字でデカデカとおっぱい命と書かれている。そして鬼が口を開いた…。

「お前もおっぱい教徒にならないか?」

 満面の笑みで鬼は言った…。顔をよく見ると…それは知っている顔で… 

「って、陛下じゃねぇーかぁぁぁー!?」 







 「…今のは…夢か?」 

 視界が真っ暗な中で俺はそう呟いた…。何やら息苦しい気がする…。柔らかい感触に包まれている感じはするんだけど…。柔らかいモノを退かそうと手でそれを掴む…。

“むにゅん… ”

 な、何だ…この柔らかくクセになりそうな感触は…

“むにゅんむにゅん…むにゅん…もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ… ”

「んんっ……ぁっ…」 

 ―声っ!? 俺は懸命に体をずってそこから這いずり出る。 するとそこには砂浜に横になってぐったりとしている褐色肌の女性の姿が…。ミーニャと戦った女性だ。 

「確かあの時……船が大きく揺れて…揺れたと思ったら体が空中に浮いたように…」 

 そこからの記憶がないものの、辺りを見渡し現状を確認すると分かる事がある。 

「たぶん…船が沈んだんだな…」 

 少しだけ船の一部と見られる木片もあるしね…。それにしてもよく助かったもんだよね?奇跡としか言いようがないよな。

 それとこの女性も必死に俺を助けてくれたんだと思う。その証拠に強く抱き抱えられていたしね…。まあ、そのせいで顔が深く胸に埋まっていたのであんな夢を見たんだと思うんだけど…。 えっ…感触はどうだったかって!?

 そんなのハリがあって、大きくて大変揉みがいがありました!

 ―って、何を言わせるんだよ!?まあ、そんな事はさておいて…。

 彼女を移動させようにも俺のこの小さな体ではとてもじゃないが無理だ。彼女の呼吸を確かめてみるとしっかりと呼吸はしているみたい。

 取り敢えず彼女が目覚めるのを待つ事にした…。早めに目覚めてくれるといいけどな…。







  太陽の位置から察するとたぶん…今は昼前位だと思う。 

「……ううん…」

 褐色肌の彼女の目がゆっくりと開いていく…。 

「おはよう、目が覚めた?」 

「…あ~しは」 

「乗っていた船が沈んだんでしょっ?」 

「…お互い…無事でなにより…しょっ」

 彼女から詳しい話を聞くとやっぱり船は沈んだそうだ。波に全てが呑まれる寸前に必死に俺を抱き抱えて海へと飛び込み、浮いてた船の破片に掴まって必死に泳いだそうだ…。

 マジで九死に一生ス◯シャルだよっ!?自分が当事者になるとは思ってもいなかったけども…。

 彼女が動ける様になってから、流れ着いたその島を見て回る。 それで思ったんだけど、蕨小島わらびこじまって知ってる?長崎県五島列島の久賀島の北東に浮かぶ島で、面積は約0.03km2。日本最小の有人島との事で確か島の端から端迄歩いて5分とかテレビで言ってたっけ…。 流れ着いた場所はそんな感じの無人島。

 ただし辺りには他に島も何も見えない…。見渡す限りの海と空…。船に乗っていた時も似た様な事を言った気がするな…。 

 とにかくそんな場所に彼女と2人っきりでそんな無人島にいるわけだから、協力しあわないと俺は生きていけないだろう…。 

「あのさ、名前を聞いても?」 

「そういえば…名乗っていなかったし…。まあ、名乗る名前なんてないし…」 

「名乗る名前がない?」 

 聞き間違いか?

「あ~しは…捨て子だったし…。そこを王家直属の影に所属する奴に拾われて…ソイツから色々教わったし…。でも…ソイツからもそうだけど、名前なんて呼ばれた事なんてないっしょっ。いつも番号で呼ばれてたし…」 

「じゃあ…マリン」 

「えっ…」

 安直過ぎたか?でも… 

「だから今日から君の名前はマリン」

「…意味わかないし」

「任務はもう失敗だよね? で、そういう場合って大抵は失敗したら死なんでしょっ?」 

「…それはそうし」 

「だから…今迄の君は死んだ事にして、今日から生まれ変わってマリンとして生きてくれない?んで、僕に仕えてくれないかな?」 

「…あ~し…敵だったし」

「さっきまではね?」

「ホント変わってるし…得意なのは…あ、暗殺っしょっ…それでも本気で言ってるし?」 

「うん、それでもだよ」 

「…即答してるし」 

「当たり前でしょっ?」 

 なんだか彼女からは悪い気配って言うのかそういうのが全くしないんだよね…。得意な事は暗殺って言ったけど淀んでいたしね。

「君…タラシの才能あるし?」 

「そんなのないからねっ!?」 

 タラシなんて言うの止めてくれる!?生まれてこの方モテたことなんて一度もないんだからねっ!?

「…じゃあ…宜しくし」 

「宜しく、マリン!俺はエル」 

「知ってるし」


 こうして敵だった筈のマリンと一緒に、俺の無人島でのサバイバル生活が始まるのだった…。

「絶対に生きて帰る」

 そう強く心に誓って…。
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