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第一章

ティア殿下の生誕祭①

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 昨日は本当にビックリした。まさかティアがこの国のお姫様だったなんて…。道理で3歳なのにしっかりしてる訳だよね。王家の教育の賜物と言ったものだろうか?

 あの後、すぐにティア殿下の護衛の人達が来て─ 

「「「「「申し訳御座いません!」」」」」

「姫様…本当にご無事で…」 
「我々がはぐれてしまったばかりに…」 
「我々の落ち度です…」 
「城に戻り次第、いかなる処分をもお受けします…」 
「いかなる罰でも与えて下さい!」 

 護衛の人達はそう言ったんだけど、

「よいのです。私も初めて見るものに気を取られてしまいましたから…それに、よき出会いもありましたので…」

 いやいや、こんな3歳おりゅうぅ!?いねぇよなぁぁー!?

 ─いや、世の中には…居る…か?居ないか?ホントどっちなんだい?パワー!!って、余計な思考はいらないんだっちゅ~の♡ 

 まあ、冗談はこれ位にして。それにしても完璧な受け答えなんじゃねっ?受けている教育やマナーは王族なので超一流かも知れないけどそれを覚えたり、実践出来るかは別の事だと俺は思うし、それだけこの歳から努力もしてるんだと思った。

 俺ももう少し色々学んで頑張ろうと感銘を受けたくらいだ。 

 ─で、今現在、俺は何処で何をしてるのかというと王城で開かれているティア殿下の生誕祭に出席していた。勿論母さんも一緒だ。当然だけどな。

 外から見上げる城も圧巻だったんだけど、それ以上に城の中はもっと凄かった。煌びやかに装飾が施され、テーブルには豪華な料理やフルーツ、それに色んな飲み物が所狭しと並んでいるのだ。 

 ワイワイガヤガヤと、ここに呼ばれた人達が賑わっているな。多分貴族の人達ばかりかな?たしかこういうのに呼ばれるのってそうだった様な気がするし…。そんな事を思っているとどうやら母さんに挨拶をしにくる人達の群れ…。

 群れっ!?多い、多いよっ!? いつの間にか俺達はその人達に取り囲まれてるがな…。 

「御無沙汰しております、アルタイル公爵」
「マリア様!」 
「マリア様ご機嫌麗しゅう御座います!」 
「アルタイル公爵!」 
「アルタイル公爵様!!」 

 すげぇ…な。オラ、人酔いしそうだぞ… 

「そういえば…」 
「もしかして…」 
「そちらにいらっしゃるお方が?」 
「お生まれになった…」 
「噂の?」 

「ええ…私の自慢の息子ですわ」 

 優しく微笑みながら俺を見る母さん。今日の母さんはドレスで着飾っている為、綺麗で色っぽい。色っぽいって死語かな?まあ、普段は可愛いが先にくる母さんなんだけど大人っぽいとでもいうのかな…。そんな感じだ。 

「エル・フォン・アルタイルです。どうぞお見知りおきを…」 

 これでいいかな?大丈夫だよな?間違ってないよな?

「素晴らしい子をお生みになられたようですな…」 
「アルタイル公爵家は相変わらず安泰というわけか…」 
「私が知る子達よりしっかりしてるわね」 
「流石マリア様の御子だ」 
「これは将来が楽しみですね…」 

 よし、取り敢えずうまく出来たっぽいね。そんな風な感じで片っ端から挨拶を交わしていると、子供連れの優雅な女性がこちらへと近付いて来た。 

「久しぶりね、マリア?」 

「久しぶり、テレサ♪」 

「全く会いに来てくれないんだからマリアは…」 

「それはテレサも同じでしょう?」 

「「ふふっ」」

 どうやら母さんの知り合いみたいだな。 

「マリア。そちらの子が?」 

「ええ、私の息子のエルよ!エル、こちらはテレサ・ド・デネブ公爵。私の親友よ」

 公爵家か…。母さんの親友とはいえ、失礼がない様にしないと… 

「エル・フォン・アルタイルです」 

「…流石マリアの子供ね。挨拶もしっかりしてるわね…っと、いけないいけない、こちらもちゃんと返さないとね?テレサ・ド・デネブよ、宜しくね! それとテレサでいいわ」 

「はい、宜しくお願いします、テレサ様」 

「それと、こっちが私の息子のランス。エル君と同じ歳よ。ランス、挨拶を」 

「ラ、ランス…ド…デネブでしゅ!よ、宜しく…です」

 紹介されたのは俺と同じ歳の男の子。少しおどおどしてる黒髪の美少年だ。テレサ様が綺麗だし、そりゃあ、イケメンが生まれるよね。

「宜しくね?ランス君」 

「う、うん。よろしゅく」 

「この子こういう場は初めてだし、初めて外に出たから緊張してるみたいなの…。ランスと仲良くしてくれると嬉しいわ」 

「はい、テレサ様。勿論です!」

  ─これが俺とランスとの初めての出会いだった。
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