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第一部

金曜日②

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僕は久しぶりに学校を休んだ。調子が優れないのは確かだけれど昨日の黒川先輩の1件が合ったからだ。外に出るのが怖かった。外に出てまた黒川先輩に会ったら何を言われるのか、何をしなければいけなくなるのか考えるだけで怖くなる。

「僕はどうしたら良いんだろう…」

 考えるのはそればかり…。最早手遅れなのにね…。ホント今頃になって後悔ばかりが出てきて僕の心を蝕んでいく…。

「…昨日は何もする気が起きなかったから自室に籠っていたらいつの間にか眠ってしまったし…眠気覚まし風呂にでも入るか…」

風呂場へと向かいシャワーを浴びる。

シャ───────────────

 排水口に流れる水。誰も流れて行った水なんて気にも留めはしないだろう…。この水の様に全て流れて忘れてしまえればどんなにいいのだろうか…。目を瞑り頭からシャワーを被り髪を濡らすとシャンプーを手に取り頭をゴシゴシ洗う。

パタン…

んっ?ドアの音?父さんも母さんも帰って来る訳無いし…吹雪しか考えられないよな?

「吹雪?悪いけど…。今風呂使ってるよ?それにしても学校はどうしたんだ?まさか吹雪も調子が悪いのか?今頭洗ってるからもう少し掛かるから待っててくれ…」

カラララッ…

風呂の引き戸が開く音?

「シャワーの音で聞こえなかった?」

パチャ…パチャッ…

えっ?何で近付いて来てるの?吹雪だよね?

「…吹雪?」

フニョンと柔らかい感触が背中に当たり、そっと寄り添われる。吹雪…もしかして服着てない…?だとしたらこの柔らかい感触は…

「吹雪何して…俺達は兄妹っ…「お兄さん…」……え~と…その声は美憂…ちゃん?」

「はい…私です…」

「どうしてここに?それよりも早くここから出て…「嫌です…」…美憂ちゃんどうして…」

「まだ気付いてくれないんですか?」

「…何を?」

(気付いてくれない?一体何に?)

「ずっと…ずっと好きだったんです…お兄さんが…お兄さんの事が好きなんですっ!」

「えっ…?」

「今日お兄さんが休んでるって聞いて…いても立ってもいられずに吹雪ちゃんに鍵を借りてここに来たんです…」

「…だからって…こんな…」

ギュッと胸に手を回されお互いの肌が密着している。こんなの…くそっ…シャワーの方に頭を持っていきシャンプーを流す。

「お兄さんが私をいつまでも妹みたいに思って…異性として見てくれないから…」

洗い流してから口を開く。

「ぼ、ぼ…くは…見ない様にしていただけだよ…。美憂ちゃんは吹雪の大事な友達だし…なによりも僕の事をそんな風に思ってるなんて…と、とにかく…早くここから出て行かないと…僕も男だから…そのっ…」

「それって…異性として見れないって事じゃあないんですよね?」

「…美憂ちゃんは僕には高嶺の花というか…それに吹雪の親友だから…」

美憂ちゃんの手は俺の下腹部へ…

「クスッ…みたいですね?今は私をちゃんと女として意識してくれてるんですね?大きく…なってます…」

「うっ…だ、だから…」

(最低だな…俺…)

「お兄さんここで抱いて下さい…。私をお兄さんのモノにして欲しい…」

シャ──────────────

ドクンドクンドクン…

流れ出るシャワーの音。それに早まる僕の心臓の鼓動。

「そ、それは出来な…「良いんですか?私を拒絶して…クスッ…」…えっ……と、どういう意味?」

「ここで抱いてくれないのなら…吹雪ちゃんに言いますよ?」

「…何を?」

「…ホントの兄妹じゃ無いって…」
「どうして知って…!」
「バラされたくないですよね?吹雪ちゃんに…」

嗚呼……どうしてまた僕は…。美憂ちゃんは僕の背中から離れ、

「こっちを見て下さいお兄さん…」

美憂ちゃんに言われるがまま従う…。

「抱いてくれますよね?」

美憂ちゃんは妖艶な笑みを浮かべている…。そして僕は…








******


「はぁはぁ…ん…最初は美憂ちゃん…か。あの娘中々やるね。この映像…黒川さん見たらどうするかな?アハハ…。手に取るように分かるよ…?はぁはぁ…黒川さんの焦る表情、嫉妬で怒り狂った行動…。アハハホント楽しみ…アハハハハッ…」


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