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これは…
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「買う…か…?いや…しかしなぁ…。あ、あたいがこんなの買っても…馬鹿にされるだけだよな?でも…可愛いしっ…一点物だしっ…くっ…しかし…万が一こんなところに入ってるところを知り合いに見られでもしたら…」
街にある一件のファンシーショップの店内。余談だが、ファンシーショップといえば主に十代~二十代をターゲットにした若者向けのグッズを扱う店舗のことを意味している。扱っているのは、キャラクター商品や比較的安価なファッション雑貨、化粧品、文房具など幅広い事で有名だろう…。(※ネット調べ)
そんな店内で見知った顔がこの世界で大人気のキャラクター、ゲロゲロゲロッピーのキャラクターのイラストが描かれたシャーペンを手に取り、ブツブツと一人事を言っているではないか…。
「それ、可愛いですよねっ♪」
「そうなんだよなぁ~♪めちゃくちゃ可愛くてよぅ。これを買おうかどうしようか迷ってるんだよ。残り一点しかないしな。どうすっかなぁ~」
「残り一点なら買いでしょっ?」
「やっぱりそうだよなぁ……………って、お前はっ!?隼っ!?」
「お久しぶりです、姉御っ!」
「姉御って呼ぶんじゃねぇーよっ!おめぇは何回言えば分かるんだっ!?ああん?」
「まあ、そんなことより…」
「そんなことよりじゃねぇーよっ!?勝手にあたいの話を変えようとしてんじゃねぇーよっ!?」
「そのシャーペンを買うつもりなら、こっちの消しゴムと筆箱とそのシャーペンもついてるセットの方がお得ですよ」
「んなっ…!?そんなものまで出てたのかよっ!?なら…そっちを買っ……買わねぇーよっ!?何言ってんだ!!おめぇはっ!?」
そう言うと…慌てて手にしていたゲロッピーのシャーペンを棚に戻す鬼ケ原先輩。
「…鬼ケ原先輩」
「ああん?」
「好きなんでしょうっ?」
「ばっ!?ちげぇからな!?か、勘違いしてんじゃねぇーよ!馬鹿っ!」
「素直に可愛いものは可愛い!好きなものは好きと言った方がいいですよ?それが推し活ってヤツです!世の中には推しは推せる時に推せという神託があるんですよ?」
「いや、ねぇーだろっ!?とにかくこれはちげぇからなっ!?た、たまたまっ、これは何だろうなぁ~と目についただけだから、勝手に思い込むなよなっ!?分かったかっ!?そ、それじゃあなっ!」
「あっ!?姉御っ!?」
「あっ、姉御って呼ぶんじゃねぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~~~っ──」
その場を駆け出した姉御は、あっという間にその姿が見えなくなる。
「…あちゃあ~ ヤッちまったな…」
こういうところが俺の悪い癖なんだろうな。だから童貞だったんだろう。そっとしておいてあげるべきだったな。買いたそうにしてたからその背中を後押ししてあげようと思ったのが裏目に出ちまった…。
それにしても…ツッぱってる女性が可愛いものが好きというのはなんだか性癖というかモロに突き刺さるものがあるな…。この気持ちを分かってくれる同志はいるだろうか?いるよな?
たぶん…いる筈…だ…。
♢
「嘘だよなっ…?う、売り切れていやがる…あの文具セットもねぇー…」
終わった…。クソッたれがっ…。あの時…変に意地を張らずに素直に買ってさえいれば…ゲロッピーはあたいのモノだったのに…。仕方ないので店を後にしたんだが…異様にムシャクシャするな…。誰彼構わず喧嘩を吹っ掛けてしまいそうだ…。今のあたいは誰だろうと容赦しねぇぞ?止まらねぇーぞ?ああんっ?
「くそったれがよぅ…」
あたいの不機嫌さが分かるのか、道行く女達があたいを大幅に避けてすれ違っていく。なのに…そんなあたいに向かって声を掛ける馬鹿がいやがった。
「鬼ケ原先輩っ!」
「ああん? ──って、テメェは隼っ!?」
今はあんまり見たくなかった顔…。コイツのせいであたいのゲロッピーがぁ… 。
「先程振りです!」
「先程振りです!じゃあないんだわっ!頭沸いてんのか、テメェ!」
「そ、そんなに…怒らないで下さいよ…」
「べ…別にっ…お、怒ってねぇーよ!」
やべっ…あたいも悪いのに…流石に言い過ぎちっまったか?
「そうっすか。なら、よかったっす!」
いや、はぇーよっ!?そこはホントに怒ってません?とか返してくるところだろっ!?
「…やっぱり一発殴っていいか?」
「なんでですかっ!?」
「おめぇのその態度がムカつくから…」
「まあ、そんな事よりも…」
「殴っていいよな?そんな事とか言ってんヤツは殴っていいよな?」
“パチンっ…”
「……へぁっ?」
あたいの拳が出る前に隼の手があたいの頭部へと伸びてそんな音がした。何をされたのか分からなかったあたいから呆けた声が洩れてしまう。
「うん!思った通りだ。先輩の綺麗な髪には大きな赤いリボンがあしらわれたゲロッピのヘアアクセサリーがよく似合いますね」
そんな事をほざきながら笑う隼の笑顔にあたいは──
“ドギューーーン♡トゥンク♡トゥンク♡ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン♡♡♡”
自分でどうにもならないほどに心臓の鼓動が高まる…な、なんだよ…これ…。
ま、まさか…動悸、息切れってヤツか?
「後、これは2回も助けられたお礼です!それとさっきはすいませんでした!それではまた、学校でっ!」
「っ!?まっ 待て──」
何やら訳が分からないまま紙袋を隼から強引に手渡されて…隼はそのままその場を後にする。後で、紙袋の中を確認すると、あたいが買おうとしていたゲロッピーのシャーペン。そして…ゲロッピーの文具セット…。
「ばっ、馬鹿…やろうが…こんな…カッコつけることしやがって…しかも…あたいの頭にヘアアクセサリーまで…つけやがって…」
この時の胸の高鳴りが恋だとあたいが気がつくのは……まだまだ先の事になる…。
街にある一件のファンシーショップの店内。余談だが、ファンシーショップといえば主に十代~二十代をターゲットにした若者向けのグッズを扱う店舗のことを意味している。扱っているのは、キャラクター商品や比較的安価なファッション雑貨、化粧品、文房具など幅広い事で有名だろう…。(※ネット調べ)
そんな店内で見知った顔がこの世界で大人気のキャラクター、ゲロゲロゲロッピーのキャラクターのイラストが描かれたシャーペンを手に取り、ブツブツと一人事を言っているではないか…。
「それ、可愛いですよねっ♪」
「そうなんだよなぁ~♪めちゃくちゃ可愛くてよぅ。これを買おうかどうしようか迷ってるんだよ。残り一点しかないしな。どうすっかなぁ~」
「残り一点なら買いでしょっ?」
「やっぱりそうだよなぁ……………って、お前はっ!?隼っ!?」
「お久しぶりです、姉御っ!」
「姉御って呼ぶんじゃねぇーよっ!おめぇは何回言えば分かるんだっ!?ああん?」
「まあ、そんなことより…」
「そんなことよりじゃねぇーよっ!?勝手にあたいの話を変えようとしてんじゃねぇーよっ!?」
「そのシャーペンを買うつもりなら、こっちの消しゴムと筆箱とそのシャーペンもついてるセットの方がお得ですよ」
「んなっ…!?そんなものまで出てたのかよっ!?なら…そっちを買っ……買わねぇーよっ!?何言ってんだ!!おめぇはっ!?」
そう言うと…慌てて手にしていたゲロッピーのシャーペンを棚に戻す鬼ケ原先輩。
「…鬼ケ原先輩」
「ああん?」
「好きなんでしょうっ?」
「ばっ!?ちげぇからな!?か、勘違いしてんじゃねぇーよ!馬鹿っ!」
「素直に可愛いものは可愛い!好きなものは好きと言った方がいいですよ?それが推し活ってヤツです!世の中には推しは推せる時に推せという神託があるんですよ?」
「いや、ねぇーだろっ!?とにかくこれはちげぇからなっ!?た、たまたまっ、これは何だろうなぁ~と目についただけだから、勝手に思い込むなよなっ!?分かったかっ!?そ、それじゃあなっ!」
「あっ!?姉御っ!?」
「あっ、姉御って呼ぶんじゃねぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~~~っ──」
その場を駆け出した姉御は、あっという間にその姿が見えなくなる。
「…あちゃあ~ ヤッちまったな…」
こういうところが俺の悪い癖なんだろうな。だから童貞だったんだろう。そっとしておいてあげるべきだったな。買いたそうにしてたからその背中を後押ししてあげようと思ったのが裏目に出ちまった…。
それにしても…ツッぱってる女性が可愛いものが好きというのはなんだか性癖というかモロに突き刺さるものがあるな…。この気持ちを分かってくれる同志はいるだろうか?いるよな?
たぶん…いる筈…だ…。
♢
「嘘だよなっ…?う、売り切れていやがる…あの文具セットもねぇー…」
終わった…。クソッたれがっ…。あの時…変に意地を張らずに素直に買ってさえいれば…ゲロッピーはあたいのモノだったのに…。仕方ないので店を後にしたんだが…異様にムシャクシャするな…。誰彼構わず喧嘩を吹っ掛けてしまいそうだ…。今のあたいは誰だろうと容赦しねぇぞ?止まらねぇーぞ?ああんっ?
「くそったれがよぅ…」
あたいの不機嫌さが分かるのか、道行く女達があたいを大幅に避けてすれ違っていく。なのに…そんなあたいに向かって声を掛ける馬鹿がいやがった。
「鬼ケ原先輩っ!」
「ああん? ──って、テメェは隼っ!?」
今はあんまり見たくなかった顔…。コイツのせいであたいのゲロッピーがぁ… 。
「先程振りです!」
「先程振りです!じゃあないんだわっ!頭沸いてんのか、テメェ!」
「そ、そんなに…怒らないで下さいよ…」
「べ…別にっ…お、怒ってねぇーよ!」
やべっ…あたいも悪いのに…流石に言い過ぎちっまったか?
「そうっすか。なら、よかったっす!」
いや、はぇーよっ!?そこはホントに怒ってません?とか返してくるところだろっ!?
「…やっぱり一発殴っていいか?」
「なんでですかっ!?」
「おめぇのその態度がムカつくから…」
「まあ、そんな事よりも…」
「殴っていいよな?そんな事とか言ってんヤツは殴っていいよな?」
“パチンっ…”
「……へぁっ?」
あたいの拳が出る前に隼の手があたいの頭部へと伸びてそんな音がした。何をされたのか分からなかったあたいから呆けた声が洩れてしまう。
「うん!思った通りだ。先輩の綺麗な髪には大きな赤いリボンがあしらわれたゲロッピのヘアアクセサリーがよく似合いますね」
そんな事をほざきながら笑う隼の笑顔にあたいは──
“ドギューーーン♡トゥンク♡トゥンク♡ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン♡♡♡”
自分でどうにもならないほどに心臓の鼓動が高まる…な、なんだよ…これ…。
ま、まさか…動悸、息切れってヤツか?
「後、これは2回も助けられたお礼です!それとさっきはすいませんでした!それではまた、学校でっ!」
「っ!?まっ 待て──」
何やら訳が分からないまま紙袋を隼から強引に手渡されて…隼はそのままその場を後にする。後で、紙袋の中を確認すると、あたいが買おうとしていたゲロッピーのシャーペン。そして…ゲロッピーの文具セット…。
「ばっ、馬鹿…やろうが…こんな…カッコつけることしやがって…しかも…あたいの頭にヘアアクセサリーまで…つけやがって…」
この時の胸の高鳴りが恋だとあたいが気がつくのは……まだまだ先の事になる…。
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