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撮影
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テレビに出演した時の事だ。生放送が終わると同時に俺に近づいてくる女性がいたんだ。その女性は俺に向かって開口一番こんな事を口にしたんだ。
「私の映画に出てみないか?」
最初は映画に出演するなんて俺には無理だろうと思い、断っていたんだけど…
「君しかいないんだっ!」
「君を見てるとインスピレーションと性欲が湧き上がってくるんだっ!」
「出てくれるなら私の身体を好きにしてくれて構わないっ!」
「ほらっ!胸もあるんだぞっ!」
「コレで挟んでやるから頼むぅぅぅぅぅ!」
などなど…結局その女性の熱意に動かされて映画に出る事になったんだ。決して挟んでもらいたいとかヤリたいとかそういう邪なアレじゃないからな?だって最後には抱きついて泣かれたし…。ふっ…女性の涙には昔から男は敵わないものさっ…。この世界の男には分からないだろうが、前世の地球の男達ならこの気持ち分かるだろ? まあ、とにかくそんなわけで映画に出演する事になったんだけど、問題がなかったわけじゃない。
相手の女性役を引き受けてくれる女性がなかなか見つからなかったのだ。そんな折に話を耳にした彼女が出演を熱望してくれたらしい。そう、芽茶さんだ。
「ええと…今日から撮影という事で宜しくお願いします、芽茶さん」
「は、はい。こちらこそ宜しくお願いします」
「こういうのは初めてで…迷惑掛けると思いますが宜しくお願いします」
「いえ、私も…たぶん…緊張やらで迷惑掛けちゃいますので…気にしないで下さい」
「ありがとうございます、芽茶さん」
「…その…カップル役を…演じますし…下の名前で…呼んで下さって構いませんよ?」
「分かりました、愛さん。俺の事も下の名前で呼んでもらって構いませんので」
「あっ……はい…と、豊和さん」
♢
そんな感じで挨拶が終わって、お互いの事を話する時間があったんだ。愛さんは同じ歳くらいだと思っていたんだけど、俺の3つも下なのには正直に言うと驚いた。やけに大人っぽく見えてたからな。呼び方も愛さんから愛ちゃんになって、そんな風に少し打ち解けたところで撮影が始まったんだ。
まあ、初めての経験だったんだけど、なんとか順調に撮影は進んでいったんだ。愛ちゃんがアドバイスしてくれたり、引っ張ってくれたおかげだろう。幼い頃から芸能界に身を置いているらしいしな。俺からしたら歳は下でも当然、大先輩なんだよな。頼りにさせてもらうぜっ!とにかく愛ちゃんのおかげで撮影は無事に終われそうだと確信があったんだよな…。
♢
「──そう思ってた時期がありました」
「ど、どうしたんですかっ!?突然!?」
びっくりしてそう問いかけてきたのは愛ちゃんだ。
「いや、だって…コレっ…」
「あ、あの…もしかして…私じゃあ…嫌ですか?」
「違うっ違うっ!愛ちゃんに不満なんて全くないんだけど…」
「じゃあ…どうしてですか?」
「いや、本番だよっ!?本当にエッチするなんて嫌でしょっ!?セックスだよ、セックスっ!?」
そうなのだ。俺も今日まで知らなかったのだが…いや、あえて…あの狐巨乳映画監督が意図的に隠していたんだと思うんだけど、とにかく最後のラブシーンがエッチ本番だという事を先程言われたんだ。
「…私は…このお話を受けた時から…知っていましたよ…?」
「なんですとぉぉぉぉぉ!?」
愛ちゃんも知ってただとっ!?ああ…そうか。俺はその事を失念していた。この世界に十八禁なんて存在しないんだった。映画でもテレビでも普通に行為している映像が流れていたんだった…。
「いや…でも…愛ちゃんは…」
「年齢なんて関係ありません!ましてや…一目惚れした…ぁっ…」
顔を紅く染め上げ俯いてしまった愛ちゃん。そこまで聞いてしまったら…
♢
撮影は無事終了した事をまずは報告しようと思う。肝心の映画はというと大ヒット御礼状態になった。ジャンルはコテコテのラブロマンスだ。最初は俺の事が不細工に見えた人が行動や心を改めてからもう一度映画を観たところ俺の本当の姿が見えたという事が拡散されバズったらしい…。人は悔い改められる生き物だと悟った人達がこぞって観に行くようになったらしいのだ。要は心が綺麗になったかの確認にも使われているという事だな。
そうなると勿論映画だけじゃなくていわゆる円盤も売れに売れたわけということだ。
まあ、当然の事だけど手を出した以上は責任は取るよ。愛ちゃんもその日のうちに真冬と連絡取り合ってたみたいだし…。
それにしてもいつの間に連絡取ってたんだよ、真冬…。お兄ちゃん…全く気がつかなかったぞ?まあ、いつもの事なんだけどな…。
「あっ♡お兄ちゃん♡」
「んっ?どうした?」
撮影が終わってから真冬からこんな事を言われたんだ…。
「コングラッチュレーション♡」
「うん?」
ああ…撮影が終わった事か。俺は真冬を抱きしめてお礼を伝えた…。
「私の映画に出てみないか?」
最初は映画に出演するなんて俺には無理だろうと思い、断っていたんだけど…
「君しかいないんだっ!」
「君を見てるとインスピレーションと性欲が湧き上がってくるんだっ!」
「出てくれるなら私の身体を好きにしてくれて構わないっ!」
「ほらっ!胸もあるんだぞっ!」
「コレで挟んでやるから頼むぅぅぅぅぅ!」
などなど…結局その女性の熱意に動かされて映画に出る事になったんだ。決して挟んでもらいたいとかヤリたいとかそういう邪なアレじゃないからな?だって最後には抱きついて泣かれたし…。ふっ…女性の涙には昔から男は敵わないものさっ…。この世界の男には分からないだろうが、前世の地球の男達ならこの気持ち分かるだろ? まあ、とにかくそんなわけで映画に出演する事になったんだけど、問題がなかったわけじゃない。
相手の女性役を引き受けてくれる女性がなかなか見つからなかったのだ。そんな折に話を耳にした彼女が出演を熱望してくれたらしい。そう、芽茶さんだ。
「ええと…今日から撮影という事で宜しくお願いします、芽茶さん」
「は、はい。こちらこそ宜しくお願いします」
「こういうのは初めてで…迷惑掛けると思いますが宜しくお願いします」
「いえ、私も…たぶん…緊張やらで迷惑掛けちゃいますので…気にしないで下さい」
「ありがとうございます、芽茶さん」
「…その…カップル役を…演じますし…下の名前で…呼んで下さって構いませんよ?」
「分かりました、愛さん。俺の事も下の名前で呼んでもらって構いませんので」
「あっ……はい…と、豊和さん」
♢
そんな感じで挨拶が終わって、お互いの事を話する時間があったんだ。愛さんは同じ歳くらいだと思っていたんだけど、俺の3つも下なのには正直に言うと驚いた。やけに大人っぽく見えてたからな。呼び方も愛さんから愛ちゃんになって、そんな風に少し打ち解けたところで撮影が始まったんだ。
まあ、初めての経験だったんだけど、なんとか順調に撮影は進んでいったんだ。愛ちゃんがアドバイスしてくれたり、引っ張ってくれたおかげだろう。幼い頃から芸能界に身を置いているらしいしな。俺からしたら歳は下でも当然、大先輩なんだよな。頼りにさせてもらうぜっ!とにかく愛ちゃんのおかげで撮影は無事に終われそうだと確信があったんだよな…。
♢
「──そう思ってた時期がありました」
「ど、どうしたんですかっ!?突然!?」
びっくりしてそう問いかけてきたのは愛ちゃんだ。
「いや、だって…コレっ…」
「あ、あの…もしかして…私じゃあ…嫌ですか?」
「違うっ違うっ!愛ちゃんに不満なんて全くないんだけど…」
「じゃあ…どうしてですか?」
「いや、本番だよっ!?本当にエッチするなんて嫌でしょっ!?セックスだよ、セックスっ!?」
そうなのだ。俺も今日まで知らなかったのだが…いや、あえて…あの狐巨乳映画監督が意図的に隠していたんだと思うんだけど、とにかく最後のラブシーンがエッチ本番だという事を先程言われたんだ。
「…私は…このお話を受けた時から…知っていましたよ…?」
「なんですとぉぉぉぉぉ!?」
愛ちゃんも知ってただとっ!?ああ…そうか。俺はその事を失念していた。この世界に十八禁なんて存在しないんだった。映画でもテレビでも普通に行為している映像が流れていたんだった…。
「いや…でも…愛ちゃんは…」
「年齢なんて関係ありません!ましてや…一目惚れした…ぁっ…」
顔を紅く染め上げ俯いてしまった愛ちゃん。そこまで聞いてしまったら…
♢
撮影は無事終了した事をまずは報告しようと思う。肝心の映画はというと大ヒット御礼状態になった。ジャンルはコテコテのラブロマンスだ。最初は俺の事が不細工に見えた人が行動や心を改めてからもう一度映画を観たところ俺の本当の姿が見えたという事が拡散されバズったらしい…。人は悔い改められる生き物だと悟った人達がこぞって観に行くようになったらしいのだ。要は心が綺麗になったかの確認にも使われているという事だな。
そうなると勿論映画だけじゃなくていわゆる円盤も売れに売れたわけということだ。
まあ、当然の事だけど手を出した以上は責任は取るよ。愛ちゃんもその日のうちに真冬と連絡取り合ってたみたいだし…。
それにしてもいつの間に連絡取ってたんだよ、真冬…。お兄ちゃん…全く気がつかなかったぞ?まあ、いつもの事なんだけどな…。
「あっ♡お兄ちゃん♡」
「んっ?どうした?」
撮影が終わってから真冬からこんな事を言われたんだ…。
「コングラッチュレーション♡」
「うん?」
ああ…撮影が終わった事か。俺は真冬を抱きしめてお礼を伝えた…。
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