貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴

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試合観戦

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「速攻────っ!!」 

 点を入れられた直後、体育館にそんな大きな声が響き渡った。選手から選手へとパスが繋がる。パスを受けた彼女はドリブルで敵陣へ攻め込む。相手の選手を一人…二人と抜き去り、あっという間に敵陣のゴール下へ…。 そしてジャンプっ!リングにボールを置いてくるようにレイアップシュートを放った! 


“パサッ…” 


 シュートが見事に決まった。決めたのは相川だ。相川はシュートを決めた後、ディフェンスに素早く戻って行ったんだけど、相手の動きを見ながらも俺に向かって小さく手を振ったのが分かった。俺もちゃんと観てるよと思いを込めてサムズアップ。一瞬だけど笑ったのが分かった。 俺が何をしているかというとお察しの通りバスケの試合を観ているんだ。相川が試合がある事を伝えに来てくれたので必ず観に行くと言ったんだよな。 

「それにしても…さっきのドリブル…カッコよかったな、流石は相川だな」 




♢ 
~相川視点~ 




 先日…馬鹿な事をしようとしてた私を止めてくれたのは同じクラスの男子生徒だった…かな。女子の間では不細工で有名になっている。最初は不細工に私の気持ちなんか分かるわけないと思ってた…かな。でも…隼も…ううん…隼はずっと私なんかよりも辛い思いをしてきたんだと話を聞いてて…そう思ったかな…。 それと同時に隼はこんな私なんかがした自己紹介の時の事もしっかり覚えててくれて…。私はそれが一番嬉しかったかな。

 こんな私でも見てくれてる男子がいるんだって…。ずっとバスケ一筋だったし、自分が頑張ってきたそれを観に来てくれる約束までしてくれたしね…。 

 とにかく…そういうのが色々あったその日の夜…自室でおかしな事が起こったかな…。隼に言われた事を思い返していた私は無性に隼の顔が見たくなって… 

「確か…体育祭の時に…隼が映り込んでいた写真が一枚あったかな…?」 

 アルバムを引っ張りだしてパラパラとめくり体育祭の写真が貼ってあるページを開く。 

「……ここらへんに映って………えっ?」 

 目をゴシゴシと擦ってからもう一度写真を覗き込む。それこそ穴が開くくらいに…。 

「なっ…なんでっ…?」 

 そこに映っているのは隼なのは確かな筈なんだけど…顔が違って見える…かな?驚く事になんと…整形したのかっていうほど美形な隼の顔が映っていたの…。 

「えっ?私どうしたんっ?ど、どうしたのかな!?隼があまりにもカッコよく見えるんだけどっ!?一体どういう事かなっ!?かなっ!?も、もしかして…恋?恋しちゃった…かなっ!?コレっていわゆる恋フィルターってやつかなっ!?わ、私…そんなにチョロくなんてないかなっ!?ないよねっ!?嘘でしょっ!?」 

「夜中にうるさいわよっ!イチっ!」 

 一人で騒ぎ過ぎてお母さんに怒られちゃった…。確かに夜中だし、うるさかったよね。でも…話はそれだけで終わらなかったかな。 その翌日学校へ行くと… 

「ああ…うん…見間違いじゃなかったかな」 

 隼を見るとすんごくカッコよく見える。それこそ凝視すれば凝視するほど胸の高鳴りが高くなっていくのが分かる…。それこそフラれた事はどこかにすっ飛んでいって…コレこそ本当の恋だと言わんばかりに高鳴っている。初めての感覚…。 

「いやいやいや…私フラれたばかりなんですけどっ!?いや、隼の言葉を借りるなら私がフッたかな……って、また隼の事ばかり考えてるがな~~~っ!?」 

 私の癖でもあるんだけど、語尾につける「かな」が「がな」に変わってしまうほど自分に衝撃をうける…。 それから日を追うごとに…隼の事ばかり考える時間は長くなって…話すたびにドキドキして…笑顔を見る度にキュン死しそうになっていった…かな…。 

「お、女は…度胸…かな?こ、今週ちょうど試合もあるし…誘ったらきてくれるかな?や、約束したし…」 

 緊張しながら隼のところに向かって、試合がある事を話すると、まだ誘ってもいないのに隼から観に来てくれるって言ってくれて… 



♢ 

「ナイスシュート、イチ!」 

「今日キレがヤバくない!?」 

 チームメイトからそんな声が掛かる。 

「今日は私…絶好調かな」

「だよねぇ。さっきなんか豪快なダンクも決めてたしね♪」 

「スリーポイントシュートもいつもよりも綺麗な弧を描いてたよっ!」 

「でしょっ?今日の私は誰にも止められないかな♪」 

「言うねぇ♪」 


 だって…今日の試合勝って…その勢いのままに隼にダンク決める気でいるから…かな♡
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