貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴

文字の大きさ
上 下
46 / 108

あれは?

しおりを挟む
 学校の放課後…。先生にまたもや呼び出されて先生とイチャイチャした後の帰り道の事だ。先生が家まで送ってくれると言ったので先生の車が停まっている場所で先生を待っていたんだ…。少しだけ今日中にしないといけない仕事があるという事で…。待っている間、携帯を見ていたんだけど…ふと、学校の屋上に人が居るのが視線に入った…。 

「こんな時間に屋上…?なんだか…嫌な予感がするな…」 

 俺は携帯で先生に連絡を入れながら屋上へと急ぎ向かった。嫌な予感が杞憂である事を願いながら… 





♢ 


「そこで何してるんだ?」 

 俺が学校の屋上に着いた時には彼女はすでにフェンスを越えた向こう側に居た…。嫌な予感が当たったな…。良い報告に予感が当たればいいんだけど、悪い時にばっか予感って当たるんだよな…。俺の個人的な感想だ…。 

「…あなたは…同じクラスの…」 

「うん。隼だよ」 

「…隼はこんなところにどうしたのかな?」 

 そう言って…哀しげな笑顔を浮かべるのは同じクラスの相川イチさん…。俺の事を彼女は覚えていなかったけど、俺は覚えている。彼女はこの学校に入学した際の自己紹介で一番初めに自己紹介をしてたからな…。 

「ああ…帰ろうかと思ってたんだけど…屋上に人の姿が見えたから」 

「…そう…」 

「とにかく…危ないからこっちに来なよ?」 

「…あんたには…関係ない…かな」 

「…何かあったんなら聞くよ?」 

「…聞いてどうするのかな?」 

「ほら、話したら解決する事もあるじゃん」 

「解決するわけない…かな…」 

「とにかく話してみない?」 

 フェンスの網目の部分を握る彼女の手に力が入るのが分かった…。フェンスがグニっと潰されるかのように形を変えたからだ…。それだけ…何か嫌な事があったのは想像がつく…。 

「じゃあ…言ってみるかな…私…フラれ…たかな…」 

 相川さんの目から涙が一筋流れて落ちていく…。フラれて女性が死ぬなんてこの世界では殆どない…。男なんていくらでもいるから別の男を探すか、もしくは無理矢理モノにするかするからだ…。 

「…そっかぁ…フラれるのって…ホントに辛いよね…」 

「…ああ…隼はそんなナリしてるから経験があるのかな…?」 

 その言葉で分かった…。どうやら彼女の目には俺は超絶不細工に映っているみたいだな…。 

「まぁね。フラれると同じくらい辛い思いはしてきたかな。ずっと女性に相手にされて来なかったしね」 

 今は少しだけ違うけど…。 

「…そういえば…隼は変わってたんだっけ…?女を嫌悪する様子は…なかった…かな…」 

「うん、ないかな」 

「…真似っ…しないでくれるかな?」 

「ごめんごめん…ついね…」 

「…とにかく…今日…初めて…男を連れ込み教室に連れ込んだ…かな…。それなのにっ!初めてを彼等に…アイツ等に捧げようとしたのにっ…ぐすっ…どうやってもアイツ等勃たないし…好きって言ったのにっ!! なのにっ…うぅっ…」 

 なるほど…ね。誰かは何人かは分からないけど、男子生徒達を連れ込んだのか…。 

「そ、そのうえ…ひぐっ…あ、アイツ等…ただでさえ勃たないのにっ…チッパイじゃあ…余計に勃たないって…ぐすっ…お前なんか女じゃないってっ…嫌いって…ハッキリとっ…言ったかな…」 

 性欲ないくせにそこはこだわるのかよ…名も知らぬ馬鹿な男達よ…。チッパイはチッパイで魅力あり過ぎるだろうが…チッパイを攻めてる時に「私…胸…小さいから…」なんて恥ずかしそうに言われてみろよっ?燃えるだろうがっ!?それぞれの良さがあるんだよ、良さがっ! 

「それはさぁ…相川が悪いんじゃなくてソイツ等が悪いし…相川がフラれたんでもないよ?」 

「……えっ?」 

「相川の良さを分からない連中がフッたんじゃない。相川がフッたんだよ。勃たない役立たずがぁ──っ  ってな?」 

「隼っ…」 

「相川の魅力なら分かるぞ?確か…バスケが好きで…中学の時から頑張ってて…それを俺は格好いいと思うし、相川の魅力の一つでもあるし、カッコ可愛いと思う」 

「…っ!? ソレ自己紹介の時の…?あ、あんなの覚えてる男子が居るわけっ…いや…でも、目の前に居る…かな?かな?」 

「俺は覚えてるよ?それに…俺がもし…相川に誘われたら喜んで相川についていくし…何度も相川を求めるけどな。それから試合も観に行っていいなら喜んで観にいくぞ?まあ、不細工な俺にそんな事言われても嬉しくはないだろうけども…」 

「………」 

「だから…最近売れたラノベがあっただろ?アニメや映画にもなったやつ。それのセリフを相川に俺が贈るよ!『死ぬ前に相川の初めてを俺にくれっ!』」 

「…ぷっ…そっ、それっ…男が言うセリフじゃなくて、女が言うセリフかな。『死ぬ前にお前の童貞を、玉ごと根こそぎ全部くれぇっ!』って…」 

 相川がフェンスをよじ登り、こちらへ側へと戻ってきてくれた…。 

 ふぅ~~~ 一時はマジでどうなるかと思ったぜ…。彼女に思い留まらせる事が出来て良かったよ、ホント…。 

「…バスケ…観に来てくれる…かな?」 

「勿論。見に行ける時は行くかな。試合なら行ける時は必ず行くよ」

「また真似してぇ…でも…そっかぁ…じゃあ…約束…かな」 

 す──っと、手の小指をこちらへと差し出してくる相川。俺は相川のその小指に自分の小指を絡ませる…。指切りげんまんってやつだな…。 

「約束だな?」 

「うん♪」 

「前もって試合やそういうスケジュールを教えてくれな?」 

「うん…。うん」 

 ついてた涙を、涙の跡を片方の手で拭うと相川が笑った。思わずドキっとするような素敵な笑顔だ。女性は笑ってるのが一番いいよな…。 

「そうやって笑ってる方が相川はいいと思うぞ?」 

「っ…そう…かな?」 

「嘘は言わん」 

「さて…もう安心だな」 

 声の主は… 

「先生」 
「せ、先生っ!?どうしてここにっ!?」 

「念の為に俺が呼んでおいたんだ。屋上に来る前にね。相川の身に何かあったら大変だろ?」 

 先生はすでに相川が万が一飛び降りても大丈夫なように救助用のネットを超特急で張って待機してくれてたらしい。この世界の女性のなんと捌けてることか。 

 まあ、この後は当然だけど…相川は先生から説教と自身の意思で踏みとどまってくれて良かったと喜んでいた。二人とも先生に家までそれぞれ送ってもらい… その日…相川にある変化が起こった事を…俺は知らなかった…。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

転生したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

気がついたら無人島!?〜俺が知らない所で神様が勝手に俺の無人島生活を配信していました〜

美鈴
ファンタジー
毎日地球を見守る神様は代わり映えしない退屈な毎日にうんざりしていた。そんな時ふと目に付いたのが、人間がしている動画配信。動画配信に興味が沸いてしまった神様はワシも動画を撮り、編集して、天使達相手に配信すれば面白いんじゃないか?と、思ってしまう。そこから先は流石神様。行動が早かった。そして物語は当の本人達が知らない所で公開されて人気が出てバズっていくのであった…。 カクヨム様でも公開しております!内容が異なる部分もあります。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

処理中です...