貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴

文字の大きさ
上 下
10 / 108

もう一人の親友

しおりを挟む
「──そんなわけで妹にキスされたんだが俺はどうすればいいと思う?」 

「…はぁっ?」 

「はぁっ?じゃなくてだな…仕方ない。もう一回言うぞ?妹にキスされたんだがどうすればいいと思うと聞いたんだが?」 

「えっ…いや…それは聞こえてるけど…。それをなんでウチに聞くわけっ!?もうヤればよくないかなっ!?豊君さぁ、未だに童貞だよね?」 

「どどどどど、童貞ちゃうわっ!?」 

「いや…見栄はらなくてもいいから…流石に分かるからね?」 

「あ、はい」 

「それよりにね?ウチが帰って来たらどうしてウチのこの部屋にさも当然の様に豊君が居たわけ?そっちの方が気になるんだけどっ?」 

「家に居づらくてな?俊哉の家に泊めてもらおうと思ったんだけど、俊哉はどうやらまた連れ去られた様でな?ホント羨ましいよな?」 

「それで…ウチの家に来たと?」 

「イエスっ!それにおばさんが泊まっていけと言ってくれたから居るってわけだっ!」 

「サムズアップはしなくていいから…。はぁ~ お母さんはもう…」 

 真冬にキスされて家に居づらくなった俺はさっきも言った通り、俊哉の家へと行ったんだ。だけど、妬ましい事に連れ去られたみたいで朝帰りコースというわけだ。 

 ならば…どうしようかと思った時に頼れるもう一人の幼馴染兼親友の家へと足を運んだというわけだ。彼女は五条詩織ごじょうしおり

 女性なんだけど俊哉と同じで数少ない俺の親友なんだ。ずっと三人中学までは学校やらも一緒だったしな。高校は共学ではなく女子校へと詩織は進学したんだけども…。理由としては…詩織は俊哉が好きで共学になったら襲ってしまいそうだったからだろうな…。 

「豊君さぁ~」   

「んっ?」 

「…女の子の部屋に上がり込む意味分かってんのっ?しかも年頃も年頃の女の子の部屋だよ?そんな場所に泊まるんだよ?」 

 トレードマークともいえるポニーテールをフリフリと揺らしながら詩織がそんな事を聞いてきた。 

「あっ…なるほどな…」 

「…今頃どういう事か分かったわけっ?」 

「そりゃあ彼氏と間違われたら困るわな!?ウッカリしていたわ」 

「…いやいやいや…そうじゃないでしょっ!?」 

「はぁっ~?」 

「えっ?ホントに分かんないわけっ?」 

「…俊哉に勘違いされたら…困るから…?」 

「はっ?何でそこで俊君が出てくるわけ?」 

 えっ…詩織のやつ…まじかっ!?バレてないとでも思っているのか? 

「あのな、詩織。俺達は付き合い長いよな?」 

「…そりゃあ…ねぇ」 

「なのに…お前の気持ちに俺が気付いていないとでも?」 

「っ!?」 

「馬鹿だな…詩織は…」 

「そっ…かぁ…ウチの気持ち…豊君に気づかれてたんだ…」 

「当然だろ?」 

 どんだけの付き合いだと思ってるんだよ、詩織は…。あんだけ俊哉と一緒に居る事が多かったんだ。どんなに鈍い奴でも分かるってぇ~の…。 

「…いつから気付いてたの?」 

「─しいて言うなら昔からだな」 

「…そうだったんだ…。分かってるなら…言ってくれてもいいのに…」 

「俺が言う事じゃないだろうと思ってたんだ」 

「じゃあ…ウチの家に来たのは…そういう事?」

「…ああ」 

 親友って何かあった時に頼れるもんだと俺は思っている。だからこそ親友から恋愛相談されれば俺は絶対に力になろうと常々思っているんだ。 

「…じゃあ…ここに座ってくれる?」 

 ベッドに腰掛けて座っている詩織がポンポンと自分の隣に座る様に促してくる。俺は詩織から少し離れた場所に腰を降ろした。 

「そこじゃあ…少し遠いよ?ここにいいよ?」 

「えっ…ああ」 

 腰を降ろした場所では聞こえないと思ったのか詩織がそんな事を言ってきた。そんなに俺の耳は悪くないぞと思いながらも詩織の言う通りの場所へと再度腰を降ろし直した。 距離が近くなった事で、詩織からフワッっとシャンプーや石鹸の良い匂いが俺の鼻腔を擽り…思わずドキッとしてしまう。童貞にこれは刺激が強く感じてしまうな。 
  

「…ウチね?」  

「お、おう」 

「ずっと好きだった…」 

「…知ってるさ」 

「ウチから…そう言われるのを待ってたんだね…」 

「んっ…ああ…そうだな」 

「そうだよね…ウチから…女から行かないと…始まらないよね?」 

「ああ、鈍いからな…俊哉はっ…んむっ!?」 


“──んちゅっ♡ちゅっ♡” 

 不意に唇に柔らかい感触…。キスされた事が否応なしに分かる。俺は…なんで…キスされてんだ…?視界いっぱいに詩織の顔が映り込んでいる…。な、何でだ?だって…詩織は俊哉の事が…

 “ちゅっ♡んちゅっ♡にゅるっ♡…” 

 そう考えているうちに唇を割って何か柔らかい物が入ってくる…。例えるならヘビが尾を絡ませ合って交尾するかの様に…ソレは俺の舌に絡み合ってきた。 

 でぃ、ディープ…キス…? 経験した事のないその気持ち良さに俺の思考は止まってしまう…。 再び思考が動き出したのは詩織の舌が…唇が…離れてからだった…。たぶん…真冬からキスされていなかったら…俺は最初に詩織の唇が触れた時点で気絶していたと思う…。正直に言うけど何も考えられない程の衝撃だった…。 

「ぷはっ…はぁはぁ…う、ウチとのキス…どうだった?ウチのファーストキス…豊君にあげちゃったよ?」 

「な…何でっ…」 

 情けないけど…声が震えてしまうなか、俺は一番大事な事を尋ねた。 

「詩織は俊哉の事が…好きなんじゃ…」 

「…はあっ!?何言ってんのっ!?好きでもない人にキスするわけないでしょっ!?」 

「えっ…?」 

「ウチはずっと豊君が好きだった!俊君にはどうすれば仲良くなれるのか聞いていただけっ!さっきウチの気持ち分かってるって言ったよね?ウチの部屋に来たって言うのも童貞をウチに捧げに来たってことでいいんだよねっ!?」 

 えっ…?えっ…?えっ…?はぁーっ!?いやいやいや…全然分かっていませんでしたがっ!?先程まで詩織はずっと俊哉の事が好きなんだと思っていたんだけどっ!?なんなら過去に戻って無知な俺を殴りたい気持ちまであるんだけどっ!?嘘だろっ!?これはアレか?モテ期か?モテ期という奴なのか!? 

 そして詩織が寝間着のボタンを外し… 

「ちょっ、ちょっと待ってくれっ!!」 

「駄目っ♡はぁはぁ…もう…待たない♡」 

 俺は慌てて詩織を止めるものの抵抗虚しくベッドへと押し倒されてしまう…。 強っ!?力強っ!?この世界の女性は性欲だけでなく力も強いからな…。 

「豊君が…悪いんだからね…?」 

「詩織…俺…はっ…」

 「大丈夫だよ?ウチも初めてだけど…豊君が天井の染みを数えているうちに終わらせてあげるから…ねっ♡ウチに身も心も預けてよ…」


 そして…再び唇が重なり──
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。

転生したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

俺、貞操逆転世界へイケメン転生

やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。 勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。 ――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。 ――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。 これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。 ######## この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

貞操逆転の世界で、俺は理想の青春を歩む。

やまいし
ファンタジー
気が付くと、男性の数が著しく少ない歪な世界へ転生してしまう。 彼は持ち前の容姿と才能を使って、やりたいことをやっていく。 彼は何を志し、どんなことを成していくのか。 これはそんな彼――鳴瀬隼人(なるせはやと)の青春サクセスストーリー……withハーレム。

男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?

ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。 それは——男子は女子より立場が弱い 学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。 拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。 「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」 協力者の鹿波だけは知っている。 大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。 勝利200%ラブコメ!? 既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?

処理中です...