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カフェにて

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 カフェテラスに移動した俺と小野寺さんはまずは注文した商品が届くのを待つ事にした。話をさえぎられるのもアレなんでな…。 まあ、すぐに注文していたコーヒーとケーキは運ばれて来るのだが…その際、店員の女性に俺と小野寺さんの顔を何度も交互に見返されたのは流石の俺も傷ついたよ…。 

 どうせアレだろ?こんな超絶不細工な俺と二人っきりなんてマジか!?って思ってるんだよな?流石に言わなくても分かるからな?それと君の顔も覚えたからな?後で必ずオカズにしてやろうと心に決める。妄想の中で色々してやるから覚悟しておけよ?お股おっ広げて…ぐへへへへへっ…
 

「は、隼君…どうかしたの?」 

 おっと…いけないいけない。今は俺の人生初のカフェデートの最中だった…。 

「ううん…何でもないよ」 

「…ホントに?」 

 心配してくれる小野寺さん…マジ神っ!表情に出したつもりはないんだけど、もしかしたら自分では気付かないうちにそういうのが出やすいのかもな…。 

「ええと…ホントは…相変わらず俺の事がちゃんと見えるのは限られた人だけなんだな…って、思ってました」 

「…そっかぁ…。ねぇ、隼君。それってどういう事なのか詳しく聞いてもいいかな?」 

「うん、いいよ。小野寺さんには話してもいいと思ってるしさっ…。俺もつい先日それを知ったんだけどね…。実は俺の事が超絶不細工に見えるのは心が汚れている人なんだって…」 

「…えっ?」 

「逆に心が綺麗な人には俺の本当の姿が見えるらしいんだ。自分で言うのもなんなんだけど、超絶カッコいい本当の俺が。何故だかは原因は分からないんだけど…まあ、そういう病気みたいなものかな」 

「…そう…だったんだね…。だから…人によって言ってる事が違ったんだ…」 

「そうそう…。だから本当の俺が見える小野寺さんは心が綺麗って事なんだよ?まあ、ぶっちゃけるけど、小野寺さんは容姿も最高に可愛くて…「ふぇっ!?」性格も凄く凄く良くて…「ふぁっ!?」控えめなその胸もまた最高に良く…「む、胸の事は言わないでっ!?」男慣れしていないところがまたドストレートに俺に突き刺さるんだよね」 

「えっ…と…えっと…そ、そんな風に…言われたら…は、恥ずかしくて…隼君の顔…見れなくなっちゃうよっ!?」 

 あかん…。これはあかん…。あかんヤツや~ん…。照れる小野寺さんに乾杯とか色々言いたくなってくる。これよ、これ。こういう初心な反応を俺は見たかったんだなと気付かされてしまう…。

 そして──

 「もしかして小野寺さんって処女なの?」 

 はい。完全に調子に乗りました。前世ではセクハラもセクハラだよな!?やらかしてしまったよっ!?俺は別に処女厨ではないのだが、気になったから聞きました!後悔は…少ししかありません! 

「ええーっ!?そ、それ…言わないと…駄目 …かな?」   

 そんな馬鹿な俺に上目遣いで恥ずかしそうにしながらそう言葉を返してくれる小野寺さんはマジ女神かっ!?と、思える。小野寺さんに『あんたの押しの子になってやる!』なんて言われたら俺は一生推せるぞ?そして欲望に忠実な俺は当然こう答える…。   

「知りたいっ!」 

「っ…!? あの…その…恥ずかしい事にね…処女だよ…? ううっ…言っちゃったよ~」 

 はい、聞きました。一字一句聞き逃す事なく脳内フォルダーに小野寺さんのその表情と声を保存しました。俺も別の意味でいっちゃいそうです! 

「きょ…今日は…そ、そんな話じゃなくて…」 

 まだまだ照れ顔が残る小野寺さんが話題を変えようとしているのがまたいいよね。 

「そ、そういえば隼君って…配信してるよね?」 

「…それね」 

「きゅ、急にテンションが下がったんだけどっ!?」  
 
 小野寺さんの言うように…俺は気が向いた時に配信活動を行ってはいる…。その理由として、こういう貞操逆転世界に転生したからにはチヤホヤされたくて配信するじゃん?定番も定番だろ?お金も稼ぎたいじゃん?

  ──で、いざ配信してみたんだよ…。最初は1000人位かな?男が配信するという事で集まってくれたわけよ?その時はさぁ、こういう病気って知らないわけじゃん?意気揚々と顔出ししたわけよ…。その瞬間…一瞬よ?一瞬でよ?10人迄減ったわけさ…。 

 俺は思ったね…。俺に配信は向いていないのだと…。


 ふっ…苦い思い出だな…。 

 まあ、辞めずにたま~にだけど配信を行っているのは残ってくれたその10人の為でもあるんだけどな…。今は確か30人位には増えてくれていたとは思うけども…。 

「…悪い、小野寺さん。つい…昔を思い出してしまったよ…」   

「わ、私…私ね…その…隼君が…初めて配信した時から見てるよ…」   


 …居たよ。目の前に俺の配信を見てくれてる数少ない人の内の一人が…。もしや転生させてくれたのは貴女ですか、小野寺様? 

「今日からゴッド小野寺さんと呼ばせてもらうね?」 
 
「ふ、普通に名前で呼んで下さい…」 

「なら…せめてスパチャだけでも…上限でいいでしょうか?」 

「いらないからねっ!?」 

「小野寺さんは付き合いいいよね」 

「…よく言われるかな」 

「ありがとうね、小野寺さん」 

「あっ…さっきも言ったけど…名前でいいよ?それと…私も名前で呼んでいいかな?」 

「…勿論だよ、幸子」 

「よ、呼び捨てでいいんだけど…豊和君から…名前を言われちゃうと…ドキッってしちゃうね…」 

「確かに…こう見えて俺もドキッってしたよ」 

「えへへっ…じゃあ…お揃いだね?」 

「だな」 


 その後も二人、ちょっとした事等で談笑して話に華を咲かせた。こういう経験は前世でもなかったので特に楽しいとそう思えたんだ。カフェを出る頃には連絡先を交換しあって…本当に幸せと言ってもいい時間を過ごす事が出来たんだ…。
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