貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴

文字の大きさ
上 下
7 / 108

一週間も経てば

しおりを挟む
 高校生活も一週間も経てば自然と馴染んで慣れてくると思う。少なくとも俺はそうだ。まあ、相変わらず朝一番で男子生徒が連れ込み教室に連れて行かれる様子を羨ましく見るのもある意味日課になっているともいえるだろう…。なにしろ教室ではボッチだしな…。 


「お…おはよう…隼…君」 

「…んっ?」 


 そんなボッチの俺に珍しく声が掛かる…だとっ!?声の主は隣の席の女の子だ。名前は確か…小野寺幸子おのでらさちこさんだったと思う。薄っすらと茶色掛かった髪が特徴の可愛い女の子だ。 


 ──俺に挨拶をしてくれたで間違いないよな?周りを念の為にキョロキョロと見渡してみる。隼って苗字は他にいなかったよな?それらしい人も周りにいないみたいだし、やっぱり俺に挨拶してくれたで間違いないようだ…。 

「おはよう、小野寺さん…だよね?もしかしてなんだけど…俺に何か?」 

「あっ…その…うん…」 

「そっかぁ、何でも言っていいよ?」 

「この間ね…シャーペンを拾ってくれたから…あ、改めてお礼を言いたいなって…ずっと思ってたんだけど…なかなか話せる機会がなかったというか…話し掛ける勇気が出なくて遅くなっちゃったというか…とにかく…ありがとう…」 


 そういえばそんな事もあったなと思い出す。 

「そんな事は気にしなくても…それよりも超絶不細工の俺と喋ってるとおかしいと思われるかもよ?」 

 ちょっと自虐的過ぎたかな?しかし、本当の事だしな。

「えっ!?そんなことなんてなくて…隼君は…不細工なんかじゃなく…逆だと思うんだけどな…」 

 あれ…そういえばシャーペンを拾った時もこう思ったんだっけ…。もしかして小野寺さんって俺の事が? 

 ──って。 

「もしかしてなんだけど…小野寺さんって俺の事がちゃんと見えてる?」 

 気になった俺は単刀直入に聞いてみる事に。 

「えっ…と…そ、その…見えてるというのがどういう事なのか分からないけど…本人の前で言うの…物凄く恥ずかしいな…あっ…こう言えばいいかな?やっぱり待ってっ!?…あの…どう言っても…恥ずかしいよね…。よ、よしっ!わ、私はみんなの言う事が分からないんだよね…ずっと…」 


 マジか…。心が綺麗な子がこんなに身近にいるなんて…。 

「うん?ずっと…?」 

「ひゃっ!?そ、それは…その…と、とにかく…よ、良かったらなんだけど…放課後…私と遊びに「行く!」いき…えっ?」 

 いや、そんなの行くに決まってる!これってば人生で初のお誘いなんだぜっ☆日和ってる奴居る?居ねぇーよな? 

「あ、あの…私…まだ途中だったんだけど…」 

「ごめん。クラスの子から…しかも女子から誘われるなんて…なかったからさ…」 

「あっ…こっちこそ…なんかごめんね?」 

 いや…そこで謝られると何気に肯定されてるみたいで辛いんだが? 

「じゃあ…授業が終わったら…」 

「いや、校門でいいよ?なんなら駅前でも…。教室から一緒に行動したら変に思われるだろうしね」 
 
「私は…気にしないよ?」 


 居たわ…天使が居たわ。天使通り越してこんなの女神じゃん…ピュアじゃん…こんな世界にも綺麗に咲く花ってあったんだな…。 

「あっ…あのね…隼君の心の声が漏れていて…私凄く…恥ずかしいん…だけど…」 

「がふっ…」 

 そう言って俯く小野寺さんの顔は真っ赤に染まっていて…まるでラブコメのヒロインを彷彿させている。マジ可愛よ!まあ、可愛い過ぎて俺もそういうのに耐性がないからダメージを受けるんだけどな…。 

「ふぁっ!?ふぇっ!?うぇっ!?ちょっ、ちょっと隼君、だ、だからじぇんぶ洩れてるからねっ!?お、お願いだからそれくらいにしておいてよっ!?こ、これ以上は私の心臓がもたないよ…」 

「すまない。俺の悲しみは深淵の奥底深くに封印されていたんだけど、悲しみが嬉しさに変換されて奥底から這い上がって来て、その這い上がってきた嬉しさがどうやら天元突破し過ぎて天まで昇り突き破ってしまったみたいだ」 

「な、何言ってるのかあまり分からないけど…要はそれだけ喜んでくれた…ってことかな?あってるかな?も、もしそうなら良かったと思うよ?」 

「まあ、とにかく誘ってくれてありがとうな!じゃあ、とりあえず今日は学校が終わったら校門のところで待ってるよ!」 

「うん」 



♢ 


 学校が終わると同時に俺は校門前へ全力ダッシュっ!暫く待っていると小野寺さんがやって来た。 

「それでどこに行くの?」 

「カフェなんてどうかな?ゆっくりと話せると思うし…」 

「カフェっ!?」 

「ふぇっ!?もしかして嫌…だった?」 

「違う違う。逆逆。カフェなんてなんか青春している感じがして…」 

 前世でもカフェなんて女の子と行った事なんて…ましてや学校帰りに行くなんて漫画の中だけの話だと思っていたよ…。俺の中でそれは軽く都市伝説と化していたからな…。

「よ、良かったよ。カフェが嫌なら…本屋とか…ゲームセンターとか…一応色々考えて来てたんだ…」 

「誘ってくれるだけで嬉しかったよ。ホントに…じゃあ、行こうか」 

「うん」 




♢ 


 うほぉ~~~。コレがカフェ!?話には聞いた事があるが…なんて…お洒落な場所なんだ!?しかも女の子と二人っきり…。デートじゃん?コレってデートじゃねっ!?間違いなくデートだよ!?コレはアレか!?春かっ!?俺にも春が来たのか!?まさかのまさかがあったりするのかっ!?カフェからのラブホテルはこの世界の確か常識な筈…。 

「隼君は何にする?」 

「えっ…じゃあ、小野寺さん一択で」 

「ふ…ふぇっ…!?」 

 俺の言葉に顔を染めて狼狽える小野寺さん。いかんな…いつまでも見ていられる気がするわ…。反応が童貞男子のこの俺を殺しに来ているな…。だが…まだだ…まだ終わらんよっ!! 

「は、初めてなので優しくお願いします…」 

「ちょっ、ちょっと!?か、カフェのメニューを聞いたんだけど!?そ、そういうのは…仲良くなってからというか…あわわわっ…」 

 何だこの可愛い生き物は……。

 もしかして俺はまた別の世界に転生したのか?そう思える程、この世界では見掛けない類の女性の姿がここにある!あっ…妹も同じだな。シスコンの俺は妹を立てるのも忘れない。俺は出来る漢だからだ。 

「裏メニューも宜しくお願いします!」 

「そそそ、そんなメニューないからっ!?こ、コーヒーとケーキ…でいい?いいよね?注文しちゃうから」 

 照れた表情をオカズにしてご飯が三杯はいけそうだ。別の意味でもオカズをありがとうございますと頭を下げておく。 ホントに…今日はいいものが見れた… 

「我が人生に一片の悔いなし!」 

「は、隼君!?そんなところでラ◯ウのポーズとりながら叫ばないでっ!?ちゅ、注文したから…早く席に行くよ!」 

「あ、はい」 

 そんなわけで小野寺さんとカフェテラスへと向かった。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

転生したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

俺、貞操逆転世界へイケメン転生

やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。 勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。 ――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。 ――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。 これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。 ######## この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。

貞操逆転の世界で、俺は理想の青春を歩む。

やまいし
ファンタジー
気が付くと、男性の数が著しく少ない歪な世界へ転生してしまう。 彼は持ち前の容姿と才能を使って、やりたいことをやっていく。 彼は何を志し、どんなことを成していくのか。 これはそんな彼――鳴瀬隼人(なるせはやと)の青春サクセスストーリー……withハーレム。

処理中です...