そのラブストーリーはゼロから始まる。-イケメン優等生とのガタイ系スポーツマンが出会ったら-

―晩秋― 体育館の裏

決意

健太は緊張した表情で拓海に向かっていた。拓海は体育館の裏、その壁に気軽に寄りかかっていたがその目は健太に真剣に向き合っていた。
実は拓海は健太がひょとして自分を好きじゃないかと思うことがあった。いつも必要以上に自分に声をかけてくるようになっていたからだ。
ただそれはただの友情にも思えた。期待とそんな馬鹿なことがあるわけないと、それを打ち消す気持ちの繰り返しで、いつも頭がおかしくなりそうだったのだ。

「拓海、実は俺、お前が好きなんだ。前からずっと。もし、お前に少しでも俺をいいという気持ちがあったら、いつも一緒にいて欲しいんだ」。
健太は思い切って話をはじめた。
拓海は最初は戸惑っていた。どう反応すればいいのだろう。喜んでいいのか？ 好きだって答えて、その先どうなるんだ。俺たち男同士だぜ。
ただ健太が次々に繰り出す言葉に心は動いていた。熱い気持ちが込みあげていた。
「健太って、いい奴だよな」、それはずっと思っていたことだが、より一層強い気持ちになった。

「健太、俺も君が好きだ。でも、これから先どうなるかはわからない。俺たち男同士だからな。ただ今この瞬間は君と一緒にいたい。その気持ちは確かだ」。

健太は拓海に向かって笑いかけ、彼にキスをした。ふたりの唇が触れ合った瞬間、健太はこれまでなかったほどの幸せを感じた。
「ありがとう、拓海。俺はお前とずっと一緒にいたい」。
2人は互いの身体を寄せ合わせると、互いの股間が固くなっているのに気づいた。
「スケベだな」。
「お前もな」。

ふたりは手を繋ぎ、校舎の裏にある体育倉庫に向けて歩き始めた。
今までの遠慮やためらいを捨て、ふたりはそこで自分たちの気持ちを確かめ、愛し合うことを決めたのだ。