そのラブストーリーはゼロから始まる。-イケメン優等生とのガタイ系スポーツマンが出会ったら-

―初夏― テニスコート

白いユニフォーム

健太はバスケの部活で体育館に行こうとして校内のテニスコートの脇の道を通りかかった。昨日の県大会の予選試合の結果を顧問の西野に報告してからと、いつもと違うルートを取ったのだ。
そこで拓海が練習試合をしているのを見つけ、思わず立ち止まって見入ってしまった。

相手は確かテニス部副部長の畠山、3年生で全国大会にもでた学内でちょっと知れた有名人。高い身長を活かして角度あるサーブを打つ。
対する拓海は、速度のあるランニングショットと正確なスライスで、そんな畠山を追い詰めていた。接戦だ。

初めて拓海と会ったのは、新学期にあがって一ヶ月ぐらい。なぜそれまで気づかなかったのか健太は不思議だった。
あまり発言するほうではなかったが、一度話し出すと拓海は強い意志を感じさせて他の生徒とは違った存在感があった。それに整った顔立ちはかなりのイケメンで、同時に穢れなきという純粋さを感じさせた。

今は丈の身近い白いテニスパンツからすらっとしたカモシカのような足が伸び、軽快に駆け回る。健太はテニスパンツの股間の膨らみにも気づき思わず目を留めた。少年のような爽やかな顔からは想像できないほど大きい。健太は苦笑いした。

実際のところ健太は驚きながらも、自分でも気づかないほど拓海に惹かれていた。彼は少しだけ見るつもりだったのに、ついには声をだして最後まで応援している自分に気づいた。ぎゅっと握った拳から、一筋の汗がこぼれた。