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 高校時代、俺のいたクラスではひどいイジメがあった。まあ俺自身は影が薄いモブのようなヤツだったのでイジメに加担していなかったが、それでも端から見ていてもひどいイジメだった。

 殴る蹴るなんて日常茶飯事。口を開けば声が気に食わないからって、目線が合えば目付きが反抗的だったからと……きっとイジメを行っている張本人達にとって目を付ける理由なんて何でもよかったんだろう。

 いびられ、殴られ、心を折られ続け。最後にはイジメを受けていた子は自ら命を絶ってしまった。

 当然学校としてもこれが大問題となり、イジメを見逃してしまっていたとして担当教員は処分を受けて、イジメを行っていたグループは自宅謹慎などの処分を受けた。

 軽過ぎると思ったがそれで終わり、イジメがあったという事は過去の物になり誰もがその事を忘れていった……そう思っていた。


 高校を卒業してしばらく経ち俺は大学生になった。地元の大学ではあるけど友達もいなかったし同じ高校出身者である同級生にすらスルーされる毎日だったけどそれなりに楽しく過ごしていた時、事件が起きた。


 当時のイジメっ子グループの主犯格である相田が突然死んだのだ。原因は交通事故、非常に見通しのいい場所で本来有り得ない事なのだが大型トラックに盛大に轢かれ死体はミンチとなった。
 風の噂でその事を知って、そうかとしか思わなかった俺だけど事故はまだ続く。

 三日後、同じくイジメっ子グループであった伊藤が死んだ。
 たまたま工事現場の近くを通っていた時に頭上から大きな鉄板が落ちてきたらしい、頭部は粉々に割れ即死だったそうだ。

 この頃から、まさか、ととある噂が立ち始め……更に三日後そのまさかは現実のものになった。

 上原が死んだ。
 有り得ない事だが心臓発作で。

 続けて三件。もう疑いようもなかった。きっとこれはイジメを苦に死んだあの子の呪いなのだろう。
 凄惨なイジメの報復に殺される。
 余り信じていないオカルトだったけどこの時は何故かその事実を自然と受け入れられ、きっとこのままイジメっ子グループを皆殺しにするまで呪いは終わらない。
 以前面白半分でイジメに加担していた奴らは立て続けの仲間の死に恐怖して、次はきっと俺、次はきっと私と日に日に怯えていった……しかしそんな彼らの予想は更に三日後、最も悪い形で裏切られた。

 四人目、海老原が屋上から落ちて死んだ。
 自殺なんてするようなヤツじゃなかった、誰でも分かっている。だけどそれ以上の恐怖が事実として俺達には突き付けられた。

 海老原は……イジメっ子のグループではなかった。いつも遠くから見て見ぬ振りを続ける、そんな気弱な奴で。


 よく聞く話しだ。イジメというのは何も直接手を出した奴だけが悪い訳じゃない。見て見ぬ振りを続け何もしなかった奴も同罪だと。
 それを裏付けるように三日後、太田が事故で死んだ。太田もまたイジメを行っていたグループではなかった。

 呪いは止められない。
 何をしようとしても助からない。

 必死に謝っていた河内が三日後事故で死んだ。
 自宅にこもっていた木下が、自ら舌を噛み切って死んだ。
 電車で逃げた黒澤が、逃げた先で通り魔に殺された。

 誰彼なんて関係ない。ただ当時のクラスメイトが順番に殺されていく。

 三日後、小沼が死んだ。
 三日後、小林が死んだ。
 三日後、笹原が死んだ。
 三日後、佐藤が死んだ。
 三日後、清水が死んだ。


 もう……どうしようもない。
 イジメを見逃していた俺達に助かる道なんてない。死ぬんだ。

 俺の名前は鈴木だ。次に死ぬのはきっと俺。どうやってかは分からないけど怖くてたまらない。
 イヤだ、死にたくはない、こんな地味な俺だって人並みに夢だってあるんだ。
 一回くらい女の子と付き合いたかった。美味しいものだってもっと食べたい。旅行で行ってみたい場所だってある。気になる映画だって。毎週見ているアニメの次回だって気になるんだ。

 嫌だ。嫌だ。

 怖い。
 死にたくない。
 死にたくないよ、俺だって……




 三日後



 関口が死んだ。



 俺忘れられてる……
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