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油断は禁物
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「そうだな……一緒に居ると幸せな気分になれる女だな」
な、何それ。
「ぶ……」
珍妙な回答に、思わず吹き出してしまった。従兄さんが不思議そうに眉を上げる。
「笑われるような事を言ったのか、俺は」
「ご、ごめんなさい」
口では謝りながらも、私は笑い続けてしまった。だって「好きな異性のタイプは?」って訊かれたら、普通は外見とか、性格とか、趣味に関する事とか、得意であって欲しい事とか挙げるものじゃない?
それなのに従兄さんは「一緒に居ると幸せな気分になれる女」と答えた。抽象的というか、なんというか。そんな回答、初めて聞いた。「女子中学生が好み」なんて言われるよりずっといいけど。
「おい、いつまで笑ってるんだ」
怒っているような、困っているような声音で咎められる。でも、ツボにはまってしまったせいで笑いは止まらなかった。自分で言うのもなんだけど、私は『箸が転んでもおかしい年頃』なのだ。多少の無作法は許して欲しい。
「まったく……」
呆れたように従兄さんが言う。
私はようやく笑いのツボから解放されると、従兄さんが言っていた言葉を反芻した。“一緒に居ると幸せな気分になれる女”ーー
それって、私もちゃんと該当してるのかな? 従兄さんは私と一緒に居ると、幸せな気分になれるの?
それをそのまま口に出したら、従兄さんは優しい眼差しを向けてきた。
「もちろんだ。お前といると幸せな気持ちになる。今もそうだ」
そうしてまた私の頭を撫でてくる。温かくて大きい、従兄さんの手のひら。胸の奥まで温かくなってくる。心地が良くて、思わずまぶたを下ろした。
するとあっという間に従兄さんが私の身体を抱き寄せて、唇にキスをしてきた。忍者みたいにささっと動いてキスをしてきた従兄さんに、私はドキドキしてしまった。ちなみに、このドキドキは単純にびっくりしたせいだ。
「い、いきなりキスしないでっ! びっくりするから!」
胸を押さえながら叫ぶと、従兄さんは「驚かせて悪かった。気を付ける」と言いながら私の身体を抱き締めた。
今度はさっきとは別の理由でドキドキしてきて、私は熱が出た時みたいに顔が熱くなっていくのを感じた。
茹で上がったばかりの卵みたいに熱くなった顔を従兄さんの胸に預けながら、私は肝心な事を思い出していた。
そうだ。今は部屋の中に二人っきりなんだ。……でもお母さんや他の皆もいるし、なんにも起きないよね?
そう思って油断していたのに、従兄さんの左手が私のスカートの中に入ってきた。くすぐったい。
「ひゃっ!」
「椿……」
熱っぽい声で私を呼びながら、従兄さんの指がたやすくショーツへと辿り着く。
「だ、駄目っ!」
慌てて従兄さんから離れてようとしたけど、私を抱き締めている右腕の力が思いのほか強くて、離れられない。
私が逃げられないのをいい事に、従兄さんはショーツの上からクリトリスを弄り始めた。強すぎず弱すぎもしない絶妙な刺激に、私の身体が次第に反応し始めてしまう。ああ、駄目。こんなの駄目!
「あっちの部屋に皆が居るのにっ……」
「大丈夫だ。皆には気付かれない」
「でもっ」
「椿、大丈夫だ。安心してイケ。そんな顔をして……相当気持ちいいんだな」
そんな顔ってどんな顔? 私、今どんな顔してるの?
そう訊ねる余裕さえ、いつの間にか無くしていた。ショーツの上からクリトリスをくりくりと動かされる度に、すごく気持ちが良くて、腰がびくっびくっと勝手に動いてしまう。息が荒くなってしまって、呼吸をするのが苦しい。
「あッ、あぁンッ」
裏返った変な声が口から飛び出した。どうしよう。従兄さんに聞かれちゃった。恥ずかしい。
「椿っ」
従兄さんは私の名前を叫ぶと、さっきまでよりもずっと速くクリトリスを擦り始めた。私は頭がぼーっとして、視界が暗くなって行くのを感じながら、小さな突起から感じる激しい快感に夢中になっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
気持ちいい、気持ちいい。オナニーじゃ決して得られなかった感覚が、頭の中を支配している。従兄さんの指だと、どうしてこんなに気持ちいいの? 従兄さんはどうして、私を気持ち良くするのが上手なの?
薄れていく意識の中で、そんな事を考えていた。だけど次に来た大きな波が、『イク』と言われている現象ーーオーガズムへと私を連れて行ってしまった。
「はぁあぁッ!」
腰が何度か跳ねるのを感じながら、心の中で気持ちいいと大声で叫んでいた。その次には意識がぷっつりと途切れてしまい、視界が真っ暗になっていた。
まぶたを上げると、板張りの天井が目に飛び込んできた。身体の上には青いタオルケットが掛けてある。
「目が覚めたか」
従兄さんの声。寝起きでぼんやりとしたまま辺りを見回すと、ここは従兄さんの部屋だった。私が寝ているのはベッドの上。どうしてこんな状態になっているんだっけ?
「あれ……?」
どうにか記憶を手繰り寄せる。すると部屋の中で二人きりなのをいい事に、従兄さんにエッチな事をされて、その果てに気を失ってしまったという事実を思い出した。
な、何それ。
「ぶ……」
珍妙な回答に、思わず吹き出してしまった。従兄さんが不思議そうに眉を上げる。
「笑われるような事を言ったのか、俺は」
「ご、ごめんなさい」
口では謝りながらも、私は笑い続けてしまった。だって「好きな異性のタイプは?」って訊かれたら、普通は外見とか、性格とか、趣味に関する事とか、得意であって欲しい事とか挙げるものじゃない?
それなのに従兄さんは「一緒に居ると幸せな気分になれる女」と答えた。抽象的というか、なんというか。そんな回答、初めて聞いた。「女子中学生が好み」なんて言われるよりずっといいけど。
「おい、いつまで笑ってるんだ」
怒っているような、困っているような声音で咎められる。でも、ツボにはまってしまったせいで笑いは止まらなかった。自分で言うのもなんだけど、私は『箸が転んでもおかしい年頃』なのだ。多少の無作法は許して欲しい。
「まったく……」
呆れたように従兄さんが言う。
私はようやく笑いのツボから解放されると、従兄さんが言っていた言葉を反芻した。“一緒に居ると幸せな気分になれる女”ーー
それって、私もちゃんと該当してるのかな? 従兄さんは私と一緒に居ると、幸せな気分になれるの?
それをそのまま口に出したら、従兄さんは優しい眼差しを向けてきた。
「もちろんだ。お前といると幸せな気持ちになる。今もそうだ」
そうしてまた私の頭を撫でてくる。温かくて大きい、従兄さんの手のひら。胸の奥まで温かくなってくる。心地が良くて、思わずまぶたを下ろした。
するとあっという間に従兄さんが私の身体を抱き寄せて、唇にキスをしてきた。忍者みたいにささっと動いてキスをしてきた従兄さんに、私はドキドキしてしまった。ちなみに、このドキドキは単純にびっくりしたせいだ。
「い、いきなりキスしないでっ! びっくりするから!」
胸を押さえながら叫ぶと、従兄さんは「驚かせて悪かった。気を付ける」と言いながら私の身体を抱き締めた。
今度はさっきとは別の理由でドキドキしてきて、私は熱が出た時みたいに顔が熱くなっていくのを感じた。
茹で上がったばかりの卵みたいに熱くなった顔を従兄さんの胸に預けながら、私は肝心な事を思い出していた。
そうだ。今は部屋の中に二人っきりなんだ。……でもお母さんや他の皆もいるし、なんにも起きないよね?
そう思って油断していたのに、従兄さんの左手が私のスカートの中に入ってきた。くすぐったい。
「ひゃっ!」
「椿……」
熱っぽい声で私を呼びながら、従兄さんの指がたやすくショーツへと辿り着く。
「だ、駄目っ!」
慌てて従兄さんから離れてようとしたけど、私を抱き締めている右腕の力が思いのほか強くて、離れられない。
私が逃げられないのをいい事に、従兄さんはショーツの上からクリトリスを弄り始めた。強すぎず弱すぎもしない絶妙な刺激に、私の身体が次第に反応し始めてしまう。ああ、駄目。こんなの駄目!
「あっちの部屋に皆が居るのにっ……」
「大丈夫だ。皆には気付かれない」
「でもっ」
「椿、大丈夫だ。安心してイケ。そんな顔をして……相当気持ちいいんだな」
そんな顔ってどんな顔? 私、今どんな顔してるの?
そう訊ねる余裕さえ、いつの間にか無くしていた。ショーツの上からクリトリスをくりくりと動かされる度に、すごく気持ちが良くて、腰がびくっびくっと勝手に動いてしまう。息が荒くなってしまって、呼吸をするのが苦しい。
「あッ、あぁンッ」
裏返った変な声が口から飛び出した。どうしよう。従兄さんに聞かれちゃった。恥ずかしい。
「椿っ」
従兄さんは私の名前を叫ぶと、さっきまでよりもずっと速くクリトリスを擦り始めた。私は頭がぼーっとして、視界が暗くなって行くのを感じながら、小さな突起から感じる激しい快感に夢中になっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
気持ちいい、気持ちいい。オナニーじゃ決して得られなかった感覚が、頭の中を支配している。従兄さんの指だと、どうしてこんなに気持ちいいの? 従兄さんはどうして、私を気持ち良くするのが上手なの?
薄れていく意識の中で、そんな事を考えていた。だけど次に来た大きな波が、『イク』と言われている現象ーーオーガズムへと私を連れて行ってしまった。
「はぁあぁッ!」
腰が何度か跳ねるのを感じながら、心の中で気持ちいいと大声で叫んでいた。その次には意識がぷっつりと途切れてしまい、視界が真っ暗になっていた。
まぶたを上げると、板張りの天井が目に飛び込んできた。身体の上には青いタオルケットが掛けてある。
「目が覚めたか」
従兄さんの声。寝起きでぼんやりとしたまま辺りを見回すと、ここは従兄さんの部屋だった。私が寝ているのはベッドの上。どうしてこんな状態になっているんだっけ?
「あれ……?」
どうにか記憶を手繰り寄せる。すると部屋の中で二人きりなのをいい事に、従兄さんにエッチな事をされて、その果てに気を失ってしまったという事実を思い出した。
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