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痛みの終わり
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「でも、模試があるんだろう?」
「模試は午後の三時前には終わるから。その後だったら……その、大丈夫だから」
未だに落ち着かない私は、あっちこっちに視線を巡らせながら言った。会いたくて必死になっているような自分の言葉に恥ずかしくなってくる。
「門限は何時だ?」
「え? えっと、六時」
「それは夜の六時のことか?」
「もう、何言ってるの。当たり前でしょ」
まったく。時々、変なこと言うんだから。
「それなら、しばらくは一緒に居られるな」
「うん。あの、会ってくれるの?」
私の問いに、従兄さんが笑う気配がした。
「ああ。塾まで迎えに行く」
その言葉で頬が瞬時に熱くなった。心臓もどきどきしている。ああ、私、今すごく喜んでる。
しばらく会えなくても平気だったのに、会えると決まった途端、こんなにも喜んでいる自分に驚いてしまう。
「ありがとう。あ……塾の場所、わかる?」
「ああ、知ってる」
「そっか。じゃあ日曜日、よろしくね」
「ああ。おやすみ」
「え? もう寝るの?」
「まだ寝ない。でも、寝る前には言えないから」
「ふふっ、何それ。変な従兄さん」
「おかしいか?」
「おかしいよ。でも、言いたいことはわかる。だから、私からもおやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
そうして通話を終えると、私はスマホを机の上のスタンドに戻した。
「日曜日かあ……」
私を迎えに来てくれた後、どこに行くんだろう。それとも、どこにも行かないのかな?
そんなことを考えながら、だらしなくベッドの上に身を投げ出す。
「またキスしたいって言われるのかな。身体にも触りたいって……」
キスも触られるのも未だに慣れない。しかもキスすると高確率で舌を入れられるようになったし、身体に触る時は大体私のことイカせようとするし。
たまにはもっと健全なふれあいがしたい。でもそれって、従兄さんには酷なのかな。もっと頻繁に会っているならまだしも、たまにしか会えない訳だしね。
……それに、まあ、その。キスも触られるのも、気持ちが良くない訳じゃない。従兄さんのやり方が上手なのかどうかは比べようがないからわからないけど、痛かったり、何も感じなかったりしたことは一度もない。
それは従兄さんがどうこうじゃなくて、私の身体が変なのかもしれないけど。
「私って、いやらしいのかな」
ぽつりと呟く。途端に自分のことが少し怖くなって、同時に体温が下がった気がした。
他の子は……私以外の女子中学生は、どんな感じなんだろう。好きな人からキスされた時や触られた時、気持ちいいって思うのかな。気持ち良すぎてイッちゃったりするのかな。
一番の友達の夢ちゃんにはこんな話、恥ずかしくて出来ない。他の友達にもだ。
小説や漫画に出てくる女の子は、乳首をいじられたり、アソコをいじられたりすると、必ず気持ち良さそうにしているけど。それって、フィクションだからなんだろうか。現実でも、普通のことなの?
そう考えたところで、私は従兄さんに乳首を触られたことがないという事実に気が付いた。……見たいって言われたことならあるけど。
「胸には触らないでって言ったの、ちゃんと覚えててくれてるんだもんなあ」
本当、優しいのか強引なのかわからない。そう思いながら、私はそっと自分の胸に触ってみた。恐る恐る手に力を入れて押してみる。すると、驚くことに痛みは感じなかった。
従兄さんと付き合う前までは、押すと痛かったのに。成長痛、いつの間になくなってたんだろう。体育の授業の時とかに自分の腕がぶつかったりして痛い思いをするのが嫌だったから、これは素直に嬉しい。
痛みがなくなったことと関係があるのかわからないけど、少しだけ胸が大きくなっている気もする。そういえばブラが少しだけきつく感じるような。……気のせいかもしれないけど。
「でも、やっぱりまだ小さいなあ」
大きければいいってものじゃないんだろうけど。従兄さんは大きい方が好きなのかな。男の人って大きい胸の方が好きだもんね。
でも、それなら私のことを好きになったりはしないか。
……もう胸に触っても大丈夫だよって言ったら、触りたがるのかな。私のアソコにはもう触ってるから、胸なんて易々と触ってきそう。
そんなことを考えていたら、つい触られる場面を想像してしまい、頬がかあっと熱くなってしまった。
「あーもう。何考えてるんだろ」
思わず枕に顔をうずめる。昼間に外に干されていた枕カバーからは、すがすがしい陽の匂いがした。
それから四日が経過して、日曜日になった。
模試が終わったら従兄さんに会えるということが思いのほか励みになって、私はこの日まで熱心に勉強していた。だから多分、いい結果が出せる。
いつもより自信を持ちながら、私は塾へと自転車を走らせた。
朝の九時から行われた模試。昼食休憩を挟んで、午後三時前まで行われたそれの手応えは上々だった。苦手な問題もいつもより解けた気がする。
結果がわかるのはまだ先だけど、いい成績が残せればいいな。
「模試は午後の三時前には終わるから。その後だったら……その、大丈夫だから」
未だに落ち着かない私は、あっちこっちに視線を巡らせながら言った。会いたくて必死になっているような自分の言葉に恥ずかしくなってくる。
「門限は何時だ?」
「え? えっと、六時」
「それは夜の六時のことか?」
「もう、何言ってるの。当たり前でしょ」
まったく。時々、変なこと言うんだから。
「それなら、しばらくは一緒に居られるな」
「うん。あの、会ってくれるの?」
私の問いに、従兄さんが笑う気配がした。
「ああ。塾まで迎えに行く」
その言葉で頬が瞬時に熱くなった。心臓もどきどきしている。ああ、私、今すごく喜んでる。
しばらく会えなくても平気だったのに、会えると決まった途端、こんなにも喜んでいる自分に驚いてしまう。
「ありがとう。あ……塾の場所、わかる?」
「ああ、知ってる」
「そっか。じゃあ日曜日、よろしくね」
「ああ。おやすみ」
「え? もう寝るの?」
「まだ寝ない。でも、寝る前には言えないから」
「ふふっ、何それ。変な従兄さん」
「おかしいか?」
「おかしいよ。でも、言いたいことはわかる。だから、私からもおやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
そうして通話を終えると、私はスマホを机の上のスタンドに戻した。
「日曜日かあ……」
私を迎えに来てくれた後、どこに行くんだろう。それとも、どこにも行かないのかな?
そんなことを考えながら、だらしなくベッドの上に身を投げ出す。
「またキスしたいって言われるのかな。身体にも触りたいって……」
キスも触られるのも未だに慣れない。しかもキスすると高確率で舌を入れられるようになったし、身体に触る時は大体私のことイカせようとするし。
たまにはもっと健全なふれあいがしたい。でもそれって、従兄さんには酷なのかな。もっと頻繁に会っているならまだしも、たまにしか会えない訳だしね。
……それに、まあ、その。キスも触られるのも、気持ちが良くない訳じゃない。従兄さんのやり方が上手なのかどうかは比べようがないからわからないけど、痛かったり、何も感じなかったりしたことは一度もない。
それは従兄さんがどうこうじゃなくて、私の身体が変なのかもしれないけど。
「私って、いやらしいのかな」
ぽつりと呟く。途端に自分のことが少し怖くなって、同時に体温が下がった気がした。
他の子は……私以外の女子中学生は、どんな感じなんだろう。好きな人からキスされた時や触られた時、気持ちいいって思うのかな。気持ち良すぎてイッちゃったりするのかな。
一番の友達の夢ちゃんにはこんな話、恥ずかしくて出来ない。他の友達にもだ。
小説や漫画に出てくる女の子は、乳首をいじられたり、アソコをいじられたりすると、必ず気持ち良さそうにしているけど。それって、フィクションだからなんだろうか。現実でも、普通のことなの?
そう考えたところで、私は従兄さんに乳首を触られたことがないという事実に気が付いた。……見たいって言われたことならあるけど。
「胸には触らないでって言ったの、ちゃんと覚えててくれてるんだもんなあ」
本当、優しいのか強引なのかわからない。そう思いながら、私はそっと自分の胸に触ってみた。恐る恐る手に力を入れて押してみる。すると、驚くことに痛みは感じなかった。
従兄さんと付き合う前までは、押すと痛かったのに。成長痛、いつの間になくなってたんだろう。体育の授業の時とかに自分の腕がぶつかったりして痛い思いをするのが嫌だったから、これは素直に嬉しい。
痛みがなくなったことと関係があるのかわからないけど、少しだけ胸が大きくなっている気もする。そういえばブラが少しだけきつく感じるような。……気のせいかもしれないけど。
「でも、やっぱりまだ小さいなあ」
大きければいいってものじゃないんだろうけど。従兄さんは大きい方が好きなのかな。男の人って大きい胸の方が好きだもんね。
でも、それなら私のことを好きになったりはしないか。
……もう胸に触っても大丈夫だよって言ったら、触りたがるのかな。私のアソコにはもう触ってるから、胸なんて易々と触ってきそう。
そんなことを考えていたら、つい触られる場面を想像してしまい、頬がかあっと熱くなってしまった。
「あーもう。何考えてるんだろ」
思わず枕に顔をうずめる。昼間に外に干されていた枕カバーからは、すがすがしい陽の匂いがした。
それから四日が経過して、日曜日になった。
模試が終わったら従兄さんに会えるということが思いのほか励みになって、私はこの日まで熱心に勉強していた。だから多分、いい結果が出せる。
いつもより自信を持ちながら、私は塾へと自転車を走らせた。
朝の九時から行われた模試。昼食休憩を挟んで、午後三時前まで行われたそれの手応えは上々だった。苦手な問題もいつもより解けた気がする。
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