想紅(おもいくれない)

笹椰かな

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いやらしいこと

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「違うもん! ただ、ちょっと暑いだけです!」
 私が慌てて叫ぶと、お祖父様は「そうか、そうか。たけしは随分と奥手な奴なんじゃなあ」とのんびりと返してきた。
「もう、お義父とう様ったら。椿ちゃんをからかうようなことを仰って。駄目ですよ」
 伯母様が呆れたような、困ったような顔をしてお祖父様をたしなめてくれている。その最中、私は心の中で「従兄にいさんは奥手なんかじゃない」と強く思っていた。
 だって奥手っていうのは、頑張らないとキスも出来ないような人のことを言うんだもん。あんな風にアソコを触ってきたり、たくさんキスしてきたりするような人のことじゃない。
 無意識に昼間にあったことを反芻してしまいながら、私は鼻の頭に汗を掻いた。しかも次の瞬間、クリトリスがぴくっと鋭く脈打ってしまった。快感を記憶している肉体が、私の意思とは関係ない反応をしたのだ。
 こんなの嫌。人前なのに恥ずかしい。
 私はいたたまれない気持ちになりながら、急いでお夕飯を食べた。飲み込むのに夢中になりながら食べたせいで、せっかくのお味を楽しむ余裕が全然なかった。どうしてこうなっちゃうんだろう。

 お夕飯をいただいた後、たけし従兄にいさんが家まで送ってくれると言い出した。
 ここに来る時はお母さんの車で来たけど、お母さんはもう帰宅済みだ。だから徒歩で帰るつもりでいたんだけど、「もう外は暗いから危ない」と止められたのだ。
「ありがとう」
 私が複雑な気分のままでお礼を言うと、頭を優しくぽんぽんと叩かれた。本当は一人で帰りたかった。従兄にいさんと二人きりでいたら、また昼間にあったことを思い出してしまいそうだったからだ。
 でもそれは杞憂だった。本家から家に到着するまでの時間が短すぎたのだ。車で十分も掛からないのだから、変なことを考えてる暇なんかあるわけがなかった。そんなこと、すぐに気付けたはずなのに。何だか馬鹿みたい。
「着いたぞ」
 運転席に座っている従兄にいさんが言った。
「……うん、あの、送ってくれてありがとう」
 そう言ってシートベルトを外していると、従兄にいさんが「今日は悪かった」と言いながら、車内のドリンクホルダーから白い縦長の箱を取り出した。
「あ、これ!」
 見覚えのある白い箱。まごうことなく、昼間にもらったペンダントの入れ物だ。従兄にいさんの部屋から持っていくのをすっかり忘れていた。
「ごめんね。プレゼント持っていくの、すっかり忘れてた。せっかく従兄にいさんがくれたのに」
「仕方がない。今日は色々したからな」
 色々あった、じゃなくてしただなんて言われてしまったせいで、途端に恥ずかしくなってきた。唇の感触、指の感触、目を閉じていてもわかる荒い鼻息と視線ーーああ、駄目。思い出しちゃう!
 私は慌てて思考を停止させながら白い箱を雑に受け取ると、「おやすみなさい」と叫ぶように言ってから車を降りた。そのまま振り返ることなく、玄関の鍵を開けて家の中に入った後、小さな箱を両手でぎゅっと握りしめる。
 気持ちを落ち着かせるために立ったまま深呼吸を繰り返していると、奥から間延びした声が聞こえてきた。
「椿ー? 帰ってきたのー?」
 その声に返事をしながら、私は急いで靴を脱いだ。
 
 その夜。私は布団の中で今日の出来事を反芻していた。だって、すぐには忘れられない。獣みたいな従兄にいさんに、二回も失神させられたんだもん。……大事な所も見せちゃったし。
 どうしようもなくいやらしい気分になってきた私は、従兄にいさんの指の感触を思い出しながら、ゆっくりとショーツの上に指を這わせてクリトリスを擦り上げた。その瞬間、甘く心地よい感覚がピリッと走り抜けていった。クリトリスがいつの間にか勃起していたせいで、吐き出す息が荒くなる。
「はぁぁっ」
 私は優しくも荒っぽい指の動きを思い出しながら、小さな突起をくりくりと動かした。
「見ないでっ……だめっ、見ないでっ」
 アソコを見られたことを思い出しながらオナニーを続ける。恥ずかしさと興奮がまぜこぜになりながら、私は夢中でクリトリスを弄った。そしてーー
「ンんぅッ!」
 ショーツをぐしょぐしょに濡らしながら、私は絶頂に達していた。オナニーをして、ちゃんとイクことができたのはこれが初めてだった。
 腰が小さく跳ねて、足がわずかに痙攣している。アソコの筋肉が緩んで、まるで餌を欲しがっている鯉みたいに、膣の入り口がぱっくりと口を開いているのがわかる。
 ココに男の人のペニスが入るんだ。たけし従兄にいさんのペニスがーー
 そう考えたらまた興奮してしまって、私は疲れ切って眠るまでオナニーをしてしまった。
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