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俺、女神に遭遇する
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拝啓、通り魔の若人よ、ムショでの暮らしは快適か?お前が刺した女は助かったぞ。その前に被害者消失でムショに行ったか分かんねーか……。俺は……今までのサドル生で一番孤独を感じています。
夜の帳も落ち、辺りは真っ暗。ホーホーとフクロウのようなそうでないような鳴き声が聞こえてくる。
俺、夜の森ってちょっと苦手なんだよね。恐怖で漏らしちまいそう……って、サドルなんだから漏らすもんないやん。はっはっは…………はぁぁぁぁ……。
異世界に召喚されたと思ったらおいてけぼりを食らったわけですがね……。っていうか、異世界に渡ったサドルって、俺が業界初なんじゃないかねぇ。
……意味ねぇだろ。少数派性癖の豚デブにDT奪われたサドルなんか召喚しても。
ま、どうせ俺の召喚は事故みたいなもんだったんだろうな。
あーくそ、どうも思考が荒っぽくなってる。ダメだダメだ、こういう精神状況だとろくなことになりやしない。
リセットだ、リセット。瞑想瞑想…………。
……………………………………………………よし、おちついた。
しかし、森の中か……。取り残されたことを嘆きはしたが、この場所、いい感じに湿気もあるみたいだし、そこそこの速さで錆びてボロボロになるな。終わりを期待できる場所だ。
……終の場所が森の中か。まあ、ゴミの島や埋立地、スクラップ置き場より上等じゃないか。サドルにゃ贅沢な場所だ。
しかし……なーんか引っかかるんだよなぁ。こう、やることがないと奇妙な違和感に気付いてしまう。
ああ、昼間の話よ。
優香さんのステータスと、ゼトとかいうイケメンのステータス。ゼトのLvが37/100ってあったのに対し、優花さんのは1とあるだけ。恐らくゼトのそれは現在のレベルと上限のレベルって意味なんだろうけど……どういうことなのやら。
それに、優花さんのスキル……[女神ラトゥイラの加護]だったか。あれはどういった効果があるんだか……。
ピコポーン
------------------------------
女神ラトゥイラの加護
ニヴェリアークの唯一神による運命干渉。人と人の縁をより強固にする。
------------------------------
……回想でも詳細を見れるんかい。便利やなぁ……つまり、一度見て覚えてしまえば、後からゆっくり吟味できるわけだ。完全記憶能力があれば、面白いことになるんだろうが……脳みそないサドルに未来は無い。
恐らくは、だが、このラトゥイラという女神が彼女と俺をここへ呼び込んだのだろう。ニヴェリアークの唯一神……たぶんこの世界の名前がニヴェリアークなんだろう。そしてこの加護の干渉によって、ゼトを引き寄せた……こんなところか。
つまり、彼女が助かるのはあらかじめ決まっていたわけ、か。ピエロやん俺……。玉乗りもジャグリングもできないけどさ……。
しかし、まだどうもしっくりこない……。
ゼトの称号に、[エリート]があった。説明不要、つまるところ天才的な人物なのだろう。それほどの人物のスキルに、(soul)表記があるものがなかった。
……soulスキルはレアなのだろうか?どうなんだろうか?
この世界に来て、俺はスキルを2つ持っていた。一つは[鑑定]と統合進化?して[心眼(soul)]に、もう一つの[瞑想]はそのまま変化なし。そして後天的に[念力(soul)]とMP1を手に入れた。
ソウルスキルには何かしらの共通点があるのだろうか?
とりあえず……判断材料が足らないし、ここまでだな……。少し疲れた。明日にしよう。時間は嫌というほどにあるんだ。暇つぶしの材料をわざわざ疲れを押してまで消費する必要なんてない。よし、瞑想……。
…………
………
……
…
「あら、これね。間違えて持ってきちゃったのって」
……ん、誰だ?
瞑想から意識を引き上げると、まるで踊り子のようなひらひらした露出度の高い服を着た金髪の美人さんが俺を見下ろしていた。差し込む光と相まって幻想的に美しい。特に長くちょいとウェーブがかかった髪が。
「あら、美人だなんて照れるわね~。それに、髪を褒められるのは嫌いじゃないわ」
ファッ!?
お、俺の考えが分かるのか、ですか!?あなたは一体何ものですか!?
「くすくす。私は女神ラトゥイラ。あなたを……間違って召喚しちゃったおバカな神よ」
…………あー、優花さんに加護をを与えた……なるほど。
あ、どうも、自分は自転車のサドルです。名前はありません。メンタルは男です。よろしくお願いします。
「男なのはわかるわよ~。そういう魂の色をしているもの。それになんだかすごく楽しそう」
楽しい?そりゃあそうですよ。サドルに生まれて身動きできず会話もできずではや数年(精神的には1年)、一方的に話しかけられることはれども、こうして対話するのは本当に久しぶりなんですよ。
それがあなたのような美しい方ならもうね……わがサドル生に一片の悔い無しってやつです。
「私を口説くつもり……?わかってるわよ~、そんなつもりじゃないってことくらい」
そうですか。まあ、そうですよ。そういうキャラじゃないんですが、嬉しさのあまりつい、です。ごよーしゃ。
……ところで、俺に何の御用ですか?見ての通りタダの安物の、しかも本体がないから使い道皆無のサドルに。
「正体不明の変なものを一緒に召喚しちゃったから、見に来たのよ」
正体不明……ですか。まあ、単体じゃあ用途不明だよなぁ……。もしかして、すごくお暇ですか?
「暇よ~、超暇~。これから後々忙しくなるけど今は暇なのよ~。だから暇つぶし~」
そうですか。奇遇ですね。俺も朽ち果てるまで年単位で暇なんですよ。
そんなわけで、俺は女神様と森の中でしばらく対話した。
主に、サドルとはなんなのか、どうしてこうなったのか、とか。まあ、前世の記憶は薄い上に、サドルとしてのサドル生は1年程度しかない。娯楽にならないだろうとは思っていたが……。
「世の中には変な趣向の人間がいるのね~……」
割とお楽しみになっていた模様。この世界、娯楽が地球ほどないのかもしれない。まあ、あっちはテレビなりラジオなりあるし、ネットもあった……あれ?
あの少年、いや、少年の回り……妙だな。店頭で並んでいた時もそうだが、俺は一度もスマホを、いやガラケーすら見ていないぞ?いくらなんでもおかしい……。
「どうしたの?」
あー、何でもありません。今となってはどうでもいいことなんで。
そんなこんなで対話は続く……。
で、優花さんの称号に[勇者の卵]があったからうすうすそうなんじゃないかと思っていたこと。
魔王の存在。
勇者がいるなら魔王もいる。基本セットの商品だものね。
どうも滅亡思想の魔王が誕生して、このままいくと全世界更地になってしまうらしい。
神というのは基本的に、人間等の知的生命体の信仰によって、その存在を維持することができる。これはどの世界も変わらない絶対の法則だそうだ。
で、神は存在維持に絶対不可欠の信仰を維持するために、時に神託を、時に運命に干渉を、時に奇跡を起こし、彼らを守護する。アリとアリクイのような持ちつ持たれるの関係だ。
ただこの女神様、人の願望・希望・祈りから生まれた神様で、質量あるものに触れることはできないとのことだ。実在人物が死後に神化した場合、あるいは存命時に条件を満たして半神となった場合はその限りではない、と。
つまり、神であろうと無償の愛なんてものはなかった。働かざるもの食うべからず、人も神も同じことだった。
「うん、楽しい時間だったわ。ありがとう、サドルさん」
いえいえ、どういたしまして。俺も楽しかったです。……本当に。出来るなら、ずっと話していたいくらいです。
なんていうかな、癒されたんだ。気が付けばサドルになっていて、碌でもない目に合い続けて、心底ホッとしている時間が今なのだ。
「……サドルさん、あなたは死を願うの?」
ええ、決定的な終わりの見えないこの体は苦痛でしかありません。サビてボロボロになったゴミに俺の魂が宿り続けることも十分に考えられます。
まあ、これで死ねば来世に記憶が残るなんて確率、ありえない数字をたたき出すでしょうね。
貴方と別れれば、また俺は孤独に耐え続ける日々です。どうにも寂しがり屋みたいでしてね、早々に終わらせられるなら終わらせたい。
「ん~……チャンスなら作れるわよ?」
チャンス……ですとな?
「私は基本的に、この世界の下界のものに触れることはできないの。こうして話すことはできるんだけどね。だからあなたを掴んで火口にポイポイとかできないのよ。だから……
進化して、自力で火口に行っちゃいましょう」
……は?
サドルの俺が、進化ですと!?
いやいや待ってくださいよ、自転車のサドルが進化って、進化先が全く見えないんですけど!?無機物が進化ってできるの!?ダーウィンもびっくりだよ!?
「私なら、魂あるものなら強制的に進化の条件を1回だけみたせられるの。それでもし自在に動ける進化ができれば……」
場合によっては、そのまま気ままに生きるのもアリ、ですか、サドルですけど。
……このまま何年もここで孤独に耐えるかよりかは……うん。これ、おいしい話じゃないのか?勝てばプラス、負けてもマイナスにはならない、よな。
「進化先は確率に偏りはあるけど、基本ランダムよ~」
そんなことはなかった。モロに博打ですやん。……それでも、終わらせられるならば、あの忌々しい記憶もろとも消滅できるなら!!
お願いします!!!!!
「じゃあ、チャッチャとやっちゃうわね~。ていっ☆」
女神様がウインクすると、俺の体が淡く光りだした。この光は、ゴミ袋の中で見た光と同じだ。
「それじゃあ、輪廻転生して、いつかどこか出会える事を願っているわ。あなたが覚えていなくても、ね」
女神ラトゥイラ様は、くるりと踊るように回ると、フッと姿を消した。
夜の帳も落ち、辺りは真っ暗。ホーホーとフクロウのようなそうでないような鳴き声が聞こえてくる。
俺、夜の森ってちょっと苦手なんだよね。恐怖で漏らしちまいそう……って、サドルなんだから漏らすもんないやん。はっはっは…………はぁぁぁぁ……。
異世界に召喚されたと思ったらおいてけぼりを食らったわけですがね……。っていうか、異世界に渡ったサドルって、俺が業界初なんじゃないかねぇ。
……意味ねぇだろ。少数派性癖の豚デブにDT奪われたサドルなんか召喚しても。
ま、どうせ俺の召喚は事故みたいなもんだったんだろうな。
あーくそ、どうも思考が荒っぽくなってる。ダメだダメだ、こういう精神状況だとろくなことになりやしない。
リセットだ、リセット。瞑想瞑想…………。
……………………………………………………よし、おちついた。
しかし、森の中か……。取り残されたことを嘆きはしたが、この場所、いい感じに湿気もあるみたいだし、そこそこの速さで錆びてボロボロになるな。終わりを期待できる場所だ。
……終の場所が森の中か。まあ、ゴミの島や埋立地、スクラップ置き場より上等じゃないか。サドルにゃ贅沢な場所だ。
しかし……なーんか引っかかるんだよなぁ。こう、やることがないと奇妙な違和感に気付いてしまう。
ああ、昼間の話よ。
優香さんのステータスと、ゼトとかいうイケメンのステータス。ゼトのLvが37/100ってあったのに対し、優花さんのは1とあるだけ。恐らくゼトのそれは現在のレベルと上限のレベルって意味なんだろうけど……どういうことなのやら。
それに、優花さんのスキル……[女神ラトゥイラの加護]だったか。あれはどういった効果があるんだか……。
ピコポーン
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女神ラトゥイラの加護
ニヴェリアークの唯一神による運命干渉。人と人の縁をより強固にする。
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……回想でも詳細を見れるんかい。便利やなぁ……つまり、一度見て覚えてしまえば、後からゆっくり吟味できるわけだ。完全記憶能力があれば、面白いことになるんだろうが……脳みそないサドルに未来は無い。
恐らくは、だが、このラトゥイラという女神が彼女と俺をここへ呼び込んだのだろう。ニヴェリアークの唯一神……たぶんこの世界の名前がニヴェリアークなんだろう。そしてこの加護の干渉によって、ゼトを引き寄せた……こんなところか。
つまり、彼女が助かるのはあらかじめ決まっていたわけ、か。ピエロやん俺……。玉乗りもジャグリングもできないけどさ……。
しかし、まだどうもしっくりこない……。
ゼトの称号に、[エリート]があった。説明不要、つまるところ天才的な人物なのだろう。それほどの人物のスキルに、(soul)表記があるものがなかった。
……soulスキルはレアなのだろうか?どうなんだろうか?
この世界に来て、俺はスキルを2つ持っていた。一つは[鑑定]と統合進化?して[心眼(soul)]に、もう一つの[瞑想]はそのまま変化なし。そして後天的に[念力(soul)]とMP1を手に入れた。
ソウルスキルには何かしらの共通点があるのだろうか?
とりあえず……判断材料が足らないし、ここまでだな……。少し疲れた。明日にしよう。時間は嫌というほどにあるんだ。暇つぶしの材料をわざわざ疲れを押してまで消費する必要なんてない。よし、瞑想……。
…………
………
……
…
「あら、これね。間違えて持ってきちゃったのって」
……ん、誰だ?
瞑想から意識を引き上げると、まるで踊り子のようなひらひらした露出度の高い服を着た金髪の美人さんが俺を見下ろしていた。差し込む光と相まって幻想的に美しい。特に長くちょいとウェーブがかかった髪が。
「あら、美人だなんて照れるわね~。それに、髪を褒められるのは嫌いじゃないわ」
ファッ!?
お、俺の考えが分かるのか、ですか!?あなたは一体何ものですか!?
「くすくす。私は女神ラトゥイラ。あなたを……間違って召喚しちゃったおバカな神よ」
…………あー、優花さんに加護をを与えた……なるほど。
あ、どうも、自分は自転車のサドルです。名前はありません。メンタルは男です。よろしくお願いします。
「男なのはわかるわよ~。そういう魂の色をしているもの。それになんだかすごく楽しそう」
楽しい?そりゃあそうですよ。サドルに生まれて身動きできず会話もできずではや数年(精神的には1年)、一方的に話しかけられることはれども、こうして対話するのは本当に久しぶりなんですよ。
それがあなたのような美しい方ならもうね……わがサドル生に一片の悔い無しってやつです。
「私を口説くつもり……?わかってるわよ~、そんなつもりじゃないってことくらい」
そうですか。まあ、そうですよ。そういうキャラじゃないんですが、嬉しさのあまりつい、です。ごよーしゃ。
……ところで、俺に何の御用ですか?見ての通りタダの安物の、しかも本体がないから使い道皆無のサドルに。
「正体不明の変なものを一緒に召喚しちゃったから、見に来たのよ」
正体不明……ですか。まあ、単体じゃあ用途不明だよなぁ……。もしかして、すごくお暇ですか?
「暇よ~、超暇~。これから後々忙しくなるけど今は暇なのよ~。だから暇つぶし~」
そうですか。奇遇ですね。俺も朽ち果てるまで年単位で暇なんですよ。
そんなわけで、俺は女神様と森の中でしばらく対話した。
主に、サドルとはなんなのか、どうしてこうなったのか、とか。まあ、前世の記憶は薄い上に、サドルとしてのサドル生は1年程度しかない。娯楽にならないだろうとは思っていたが……。
「世の中には変な趣向の人間がいるのね~……」
割とお楽しみになっていた模様。この世界、娯楽が地球ほどないのかもしれない。まあ、あっちはテレビなりラジオなりあるし、ネットもあった……あれ?
あの少年、いや、少年の回り……妙だな。店頭で並んでいた時もそうだが、俺は一度もスマホを、いやガラケーすら見ていないぞ?いくらなんでもおかしい……。
「どうしたの?」
あー、何でもありません。今となってはどうでもいいことなんで。
そんなこんなで対話は続く……。
で、優花さんの称号に[勇者の卵]があったからうすうすそうなんじゃないかと思っていたこと。
魔王の存在。
勇者がいるなら魔王もいる。基本セットの商品だものね。
どうも滅亡思想の魔王が誕生して、このままいくと全世界更地になってしまうらしい。
神というのは基本的に、人間等の知的生命体の信仰によって、その存在を維持することができる。これはどの世界も変わらない絶対の法則だそうだ。
で、神は存在維持に絶対不可欠の信仰を維持するために、時に神託を、時に運命に干渉を、時に奇跡を起こし、彼らを守護する。アリとアリクイのような持ちつ持たれるの関係だ。
ただこの女神様、人の願望・希望・祈りから生まれた神様で、質量あるものに触れることはできないとのことだ。実在人物が死後に神化した場合、あるいは存命時に条件を満たして半神となった場合はその限りではない、と。
つまり、神であろうと無償の愛なんてものはなかった。働かざるもの食うべからず、人も神も同じことだった。
「うん、楽しい時間だったわ。ありがとう、サドルさん」
いえいえ、どういたしまして。俺も楽しかったです。……本当に。出来るなら、ずっと話していたいくらいです。
なんていうかな、癒されたんだ。気が付けばサドルになっていて、碌でもない目に合い続けて、心底ホッとしている時間が今なのだ。
「……サドルさん、あなたは死を願うの?」
ええ、決定的な終わりの見えないこの体は苦痛でしかありません。サビてボロボロになったゴミに俺の魂が宿り続けることも十分に考えられます。
まあ、これで死ねば来世に記憶が残るなんて確率、ありえない数字をたたき出すでしょうね。
貴方と別れれば、また俺は孤独に耐え続ける日々です。どうにも寂しがり屋みたいでしてね、早々に終わらせられるなら終わらせたい。
「ん~……チャンスなら作れるわよ?」
チャンス……ですとな?
「私は基本的に、この世界の下界のものに触れることはできないの。こうして話すことはできるんだけどね。だからあなたを掴んで火口にポイポイとかできないのよ。だから……
進化して、自力で火口に行っちゃいましょう」
……は?
サドルの俺が、進化ですと!?
いやいや待ってくださいよ、自転車のサドルが進化って、進化先が全く見えないんですけど!?無機物が進化ってできるの!?ダーウィンもびっくりだよ!?
「私なら、魂あるものなら強制的に進化の条件を1回だけみたせられるの。それでもし自在に動ける進化ができれば……」
場合によっては、そのまま気ままに生きるのもアリ、ですか、サドルですけど。
……このまま何年もここで孤独に耐えるかよりかは……うん。これ、おいしい話じゃないのか?勝てばプラス、負けてもマイナスにはならない、よな。
「進化先は確率に偏りはあるけど、基本ランダムよ~」
そんなことはなかった。モロに博打ですやん。……それでも、終わらせられるならば、あの忌々しい記憶もろとも消滅できるなら!!
お願いします!!!!!
「じゃあ、チャッチャとやっちゃうわね~。ていっ☆」
女神様がウインクすると、俺の体が淡く光りだした。この光は、ゴミ袋の中で見た光と同じだ。
「それじゃあ、輪廻転生して、いつかどこか出会える事を願っているわ。あなたが覚えていなくても、ね」
女神ラトゥイラ様は、くるりと踊るように回ると、フッと姿を消した。
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