111 / 165
〘111〙一触即発
しおりを挟む廊下で、両雄並び立たずの場面から脱したハルチカは、息をつく暇もなく、カリヤと枕席に侍る。障子の向こう側にアカラギの気配を感じながら着物を取りはらわれてゆき、カリヤも裸身になった。乳首に吸いつかれ、「あんッ!」と声をあげる。もはや、いさぎよく力を抜き、股をひらくしかない。脈を打つ心臓が激しく高鳴り、陰茎に舌を絡めるカリヤの体熱に、ハルチカは「あぁんッ!」と、大胆に悦がった。
「カ……リヤさま……、カリヤ……さまぁ……!」
性行為のようすを障子戸に映る影で見まもるアカラギは、微かに眉を寄せた。高い声であえぐハルチカは、必然的な身体作用に興奮ぎみで、心の底から悦がっている。二本の指を挿入されて性感帯をさぐられる嬌声は、アカラギの鼓膜も強く刺激した。やがて、ふたつの影は腰を密着させて上下に動きだす。性交中に生じる独特な物音は、各部屋から聞こえてくる。少しでも異常を認めた場合、中断させる権限をもつアカラギは、両者の息づかいに注意をはらった。
「あッ!? カリヤさま、奥は……だめ……ッ、そんなにきたら……、はいっちゃうッ!!」
絶対領域に侵入されたハルチカは、その特異すぎる感触に、全身の細胞が活性化した。もっと突いてほしいという淫らな欲望と期待に逆らえず、カリヤの男根を最深部まで導いてしまった。肉体をつなげて手応えを得るカリヤは、絶妙なかげんで腰をふり、ハルチカに極上の快楽を享受した。こんなとき、瞬時に哥の姿を思い浮かべるハルチカだったが、目を瞑っても、眼裏にはカリヤの顔があらわれた。
「やッ、やぁ……ッ、こんなの変……だよ……、ハァハァッ、あなたはどうして……、深層まできてしまうの? に、哥さん以外はだめなのに……、カ……リヤ……さまぁ!!」
絶対領域を掻き乱されて身悶えるハルチカは、朝までに三回ほどカリヤと性交をくり返し、久しぶりの完全燃焼を遂げた。本当は著作品の話をしてみたかったが、そんな余裕と時間はどこにもなかった。身なりを整えて退出するカリヤは、今回もハルチカの口唇を奪わなかった。キスしてくれない理由を考えてしまうハルチカは、どこまでも愚かしいじぶんが、このうえなく情けなく感じた。布団のうえで放心していると、廊下を歩いてくる足音が聞こえた。
「哥さん……、お願い、なにも云わないで……、」
アカラギが今、どんな表情を向けているのか、こわくて確かめることができないハルチカは、枕に顔を埋めている。掛け布団をはいだアカラギは、まず、下半身に目を留めた。余計な力がはいっているハルチカの腹底には、カリヤの精液が大量に残されている。アカラギはその場で掻きだそうとするため、体内の違和感に腰をふるわせるハルチカは、グプッと、残留物が流れでてくると、「ああッ!?」と叫んだ。指を挿入されたままぐったり仰臥するハルチカの意識は遠のくが、アカラギに性感帯を刺激され、現実へ引きもどされた。
「はぅッ!? 哥さ……ん……? そこ……は……感じちゃうよ……。あッ、あッ、だめ……、だめだってば……ッ、いい……、イク……! んんッ! イっちゃうよぉ!!」
身体の疲労をよそに、反応のよさは鈍っておらず、アカラギの指でいちどイカされたあと、ハルチカは抱きあげられ、風呂場へ運ばれた。石鹸で躰を洗ってもらい、脱衣場では水滴をタオルで拭き取ってもらう。作業中のアカラギは、基本的に無言である。ハルチカの心情を、気遣っているわけではない。もどかしくなるハルチカは、ぎゅっと、口唇を結んだ。本当は哥に、そっとキスしてほしかった。
✓つづく
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる