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〘90〙難関突破
しおりを挟む思ったとおり、アカラギと過ごす夜は、三日前の性教育が最後となった。週末をむかえず、楼主の部屋に呼びだされたハルチカは、判定をくだされるときがきた。
「ダンナさま、ハルチカです。」
今夜は休業日ではないため、一階の客間から、芸者が奏でる楽器の音や、賑やかな話し声が聞こえてくる。ハルチカはゴクッと唾を呑むと、廊下で腰紐をゆるめておき、「はいれ」と返すタカムラの声を待って扉をあけると、パサッと肩から着物を床へ落とした。全裸で「失礼します」と挨拶するハルチカは、さげた頭を持ちあげた瞬間、青ざめた。
「キ、キリコ!?」
長椅子でくつろぐタカムラのとなりに、キリコが坐っている。優雅に舞う鶴の振袖が、上級男娼の品格を高めていた。あわてて床に落とした着物を羽織るハルチカを見て、笑みを浮かべた。
「べつに隠さなくていいのよ。ダンナに見られて困るものなんて、わたしたちは持っていないでしょう?」
「キリコが、どうして……。ダンナさま……、これはいったい、どういう……?」
愕然とするハルチカだが、これまでの経緯に思考をめぐらせ、状況を理解した。これは試験などではなく、試練なのだ。夜鷹坂で唯一の上級男娼であったキリコを、納得させるような性交渉を披露しなければ、タカムラの面目さえ保てなくなる。ハルチカは、強い意志で臨む必要があった。
楼主の部屋には、木製の寝台が備わっている。初日のお披露目で、タカムラと抱きあった寝台だ。キリコは長椅子にいて、動く気配はない。ハルチカは毅然とした態度で寝台に歩み寄り、着物を脇におくと、ギシッと軋ませた。
「……よろしくお願いします。」
寝台に腰をかけたハルチカは、キリコの存在は気になるが、タカムラの言動に集中した。「手淫をしろ」といわれ、「かしこまりました」と応じる。
「……んッ、んッ、……ハァッ、」
必死に指を絡めて身体反応を誘発するハルチカは、見物をきめこむタカムラとキリコが恨めしくなるが、なんとか濡れることができた。
「ハァハァッ、ダンナさまも……、どうか、こちらへ……、」
ひとりではやるせない気分になるため、タカムラの温もりを求めると、「よかろう」といって立ちあがり、シャツの釦を解き、ズボンのベルトを外した。キリコはまばたきを忘れるほど、じっと、ハルチカのようすを観察している。タカムラはハルチカの膝を摑んで股をひろげると、体内へ二本の指を挿入し、浅いところにある性感帯を刺激した。トントンッ、グニグニ。
「あッ、あぅッ! あんッ!!」
タカムラの指づかいにより、無理やり興奮状態となってゆくハルチカは、腰を浮かせてしまった瞬間、ズブッと、深部まで這入りこまれた。
「ひァッ!? 痛ぅッ!!」
タカムラの中指はアカラギよりも長いため、絶対領域を自衛できず、一方的に侵入されても、拒むことはできなかった。
「あッ、あッ、そこは……、あぅッ!? んぁッ!!」
巨根では到達できない最深部を指先で攻められるハルチカは、寝台のうえで「あァあッ!!」と身悶えた。タカムラは二度目の射精を見届けると、ハルチカの胴体を起こし、ズプッと肛交した。居茶臼の体位で下から腰を突きあげてくるタカムラは、ハルチカの背中を片腕で支えながら乳首に吸いつき、もう片方の手で陰茎の尖端を揉みこんだ。前とうしろを同時に煽られるハルチカは、刺激と快楽で飛びそうになる意識のなか、微かに笑うキリコと目が合った。タカムラの運動が激しくなると、ギシギシと軋む寝台の音も強くなり、ハルチカは必死でタカムラの首筋にしがみついた。
✓つづく
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