曙花町男娼夜鷹坂

み馬

文字の大きさ
上 下
66 / 165

〘66〙夜露抱擁

しおりを挟む

 営業時間後の壺の間で、アカラギの腕に抱かれたハルチカは、中出しされた下腹部を指で撫で、ほぅと、熱のある息を吐いた。じぶんが女であれば、アカラギと夫婦めおとになり、子を産めたのにと、莫迦なことを考えながらうっとりしていると、いつのまにか降りだした雨のせいで、空気が冷えてきた。アカラギは、寒いとつぶやくハルチカの肩を引き寄せ、布団のなかへ躰を横たえた。背中からつたわるあにの心臓の音と、全身で感じる人肌の温もりに安堵するハルチカは、静かな寝息を立てはじめた。

 現在の夜鷹坂は、毎週日曜休みである。夜更かし(火遊び)する利用客の多くは、金曜と土曜に集中しているため、日曜の夜は、客足が遠のく傾向にあった。また、性教育を再開するよう指示を受けたアカラギは、意図して、週末にハルチカを抱くようにした。翌日は休業となるため、まず、肉体的な負担における連続性を断つことができるうえ、性教育のあと一日じゅう躰を休める余裕ができ、週明けの枕席ちんせきを気だるく感じることも軽減されるだろうと考えた。

 いっぽう、ハルチカ的にも、週末になればアカラギと濃密な時間が過ごせるという習慣ができ、日常の活力になった。たとえ、目が覚めたとき、アカラギがそばにいなくても、週末にまた、からならず抱き合える。タカムラの指示とはいえ、アカラギとつながりをもてる確固たる事実に、ハルチカの胸はざわめいた。


「……あんッ、んッ、んッ、……もう……だめぇ……、ひぁッ!? あぁッ! イ、イっちゃう……!!」

 アカラギの絶妙な腰つきに潮をふいて悦がるハルチカは、大きく股をひらき、ビクビクと爪先をふるわせた。ハルチカの性感帯は比較的浅いところにあり、深部を突かれるより、ゆさゆさと軽くふられたほうが従順にあえぐことができた。ハルチカの体内領域を熟知しているアカラギは、陰茎の尖端を巧みにつかい、刺激と快楽をあたえてくる。だが、最奥まで到達されないうちは、もどかしく感じてしまうハルチカは、可能なかぎり力を抜き、アカラギもそのタイミングを見逃さず、腰つきを強めると、尖端を最奥まで挿入した。

「あんッ! 深……い……ッ、哥さ……ん……そこ……、もっと……きてぇ……! すご……いッ、き、気持ちいい……!」

「まるで淫乱だな。妖艶な持ち味は、どこにいった? 快楽に溺れるのは結構だが(俺がそうなるよう攻めているからな)、あまり派手に取り乱すなよ。」

 アカラギの声に耳をかたむける余裕などないハルチカは、内壁の筋肉がキュウッと縮んでしまい、異質な温もりを締めつけた。性交中に身動きができなくなったアカラギは「くっ」と、小さくうめいたが、無理やり腰をふりつづけた。

「や……やァッ! い、痛い? 哥さ……ん……、ハァハァッ、お願い……やさしくして……、痛いよぅッ、」

「おちつけ。俺のせいじゃない。おまえが力を抜かないと、どっちも苦しいだけだ。」

 ヒィヒィッと呼吸が乱れるハルチカは、アカラギの首筋にしがみつき、云われたとおり、力を抜こうと意識した。すると、ふッと、内部の締めつけがゆるみ、アカラギは最終段階に突入する。ズヌッと深部を圧迫されたハルチカは、熱い精液が一気に流れ込んでくると、同時にプシャーッと放出した。

「哥さん……哥さん……、大好き……大好き……ッ、あァんッ!!」

 ハルチカの緊張をほぐすように胸や腹部を愛撫するアカラギは、前戯より後戯に時間をかけた。数分ほど経つと、ハルチカの寝息が聞こえてくる。アカラギは、しばらく無防備な裸体に寄り添ったのち、青年が目を覚ます前に退室した(その日のうちに、タカムラへ報告義務があるため)。


✓つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...