恭介の受難と異世界の住人

み馬

文字の大きさ
上 下
334 / 364

第333話

しおりを挟む

「……っ!? ま、待て!! 少し待つのだ、キョースケっ!!」
「……どうした? もう全部入ってるぞ。いったん抜くか?」
「ち、ちがう! そうではなく、まだ動くでない!」
「わかった。……ごめんな。」
「あ、謝るな!!」
「ジルヴァン……オレは……、」
「何も云うでない! 少し待つのだ……っ、」
「……了解。」

 ジルヴァンの全身は、かすかに慄えていた。恭介の欲望の肉塊かたまりを受け入れた腹底は、異質な温もりで圧迫されていたが、拒絶したくなるほどの痛みはなく、むしろ、この上ない快感にとらわれた。久々の感覚に、感情表現が迷子になるジルヴァンを、恭介が心配そうに見つめる。

「……やっ、やめよ、キョースケ、われを見るな!」
「うん? なんでだよ? べつに恥ずかしがらなくていいぞ。……オレは、ジルヴァンに会いたくて仕方がなかったンだ。一瞬たりとも、目を離したくない気分だ。」
「……み、耳許みみもとしゃべるなぁ……っ、」

 互いの肉体が結合している状況で悪態づくジルヴァンは、恭介の興奮を余計に刺激した。

(……おいおい、反応がかわいすぎるだろ。……ジルヴァンって、こんなおさない感じだったか?)

 気恥きはずかしくてたまらないジルヴァンは、「いや、いや」と云って首を小さく振るため、一国いっこくの王子らしい気高けだかさは微塵みじんもない。無防備に肌をさらして股をひらく姿は、あまりにもみだらに思えた。

(……ジルヴァンが王子という立場でなければ、もっと気楽に抱き合えたのかもな。オレたちの身分は、あまりにも差がありすぎる。……こんな風に性交できるのは情人イロの役目だからで、オレがどんなに頑張っても、正式な恋人にはなれないンだよな……)

 恭介は残念な思考におよぶが、ジルヴァンの首筋へ接吻キスをすると、乳首を指先ででた。ピンッと硬くなっている乳頭を前歯でカリッとはさむと、「ひゃっ!?」と、ジルヴァンが叫ぶ。

「……ジルヴァン、もういいか?」

 動きださなければ終われない恭介は、ジルヴァンのひざの下に手を添えると、さりげなく、もう少しだけ股をひらかせた。第6王子の心臓はドクドクドクッと、張り裂けそうなほど速い鼓動を刻む。恭介はジルヴァンの返事を待たず、抜き挿しを開始した。何度も続けて腰を突き上げてくる恭介を、ジルヴァンは従順に受け入れた。

「あっ、あんっ! キョースケぇ! ……あぅっ!!」

 体内領域の深部に隠された性感帯を恭介の一物いちもつ摩擦まさつされるジルヴァンは、次第に呼吸が激しく乱れていった。どちらも性交によってもたらされる幸福感と悦楽に、しばし夢中になる。薄暗い寝間ベッドルームに、恭介の息づかいとジルヴァンのあえぎ声が充満する。ギッギッ、ギシッと、小刻みにきしむ寝台の音は、今までの共寝より、いちばん長く響いた。やがて、互いの絶頂に到達すると、同時に力尽ちからつきる。ふたりの下半身は、びっしょり濡れていた。その後、恭介はズルッと腰を引き抜き、放心状態となっているジルヴァンの髪を、やさしく撫でた。

    * * * * * *
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

処理中です...