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第291話
しおりを挟むジルヴァンと裸身で抱き合う恭介だが、ふたつの事柄を胸の奥に秘めていた。日本人だという正体と、文官試験を控える身という事実である。
「ジルヴァン……、」
肥大した異質な温もりを体内へ挿入されたジルヴァンは、瞼をとじて小さく全身を慄わせている。内壁に過度な圧迫感と痛みを受けているため、口唇までカタカタと小刻みに揺れだした。
(かなり無理してるよな。……このまま続けるより、いっかい宥めたほうがよさそうだ……)
見るからに、恭介が腰を動かせる状態ではない。これから最奥まで突かれるジルヴァンは、久しぶりの感覚に下半身の筋肉が硬張っている。恭介は第6王子の胸板へ指を這わせ、首筋へ吸いつくと、密着させていた腰を引き抜いた。
「……っ!? ……キ、キョースケよ、なぜやめるのだ?」
「……少し待ってからにしようと思って、」
「待つとは、何を……?」
「ジルヴァンが、もっとオレを欲しがるまで。」
「この期に及んで、貴様は何を申しておる!」
「そう怒るなって。かわいすぎて、よけい興奮するからさ。」
「なっ!? キョースケめがぁ!!」
「はははっ。好きだぜ、ジルヴァン。」
「う、うるさい! ふざけるでないわ!」
ジルヴァンからドスドスと軽い膝蹴りを喰らった恭介は、脇腹がくすぐったくて「あははっ」と、さらに笑えてしまった。寝台の上でジルヴァンと過ごせる時間は幸福でしかない。受け身の精神状態を気にかけつつ、恭介とジルヴァンは性交を続けた。
「……挿れるよ。」
「そ、そうせよ。あっ、んんっ!!」
「今度こそ動いてもいいよな? ……それともまだ痛いか?」
「す、好きにせぬか! 最初から痛くなどない!」
「うん? そこは強がるなって。キミは素直で嘘がつけないタイプなんだからさ。」
「挿れながら人を茶化すな! 悪趣味ではないか!?」
「いや、茶化してるつもりはねぇんだけど……、次からは、もっと他の言葉を選ぶように努力するよ。ごめんな。」
「……あっ、んっ! キョースケぇ!!」
ギシギシと寝台の軋む音と、ジルヴァンの悦がる声が恭介の聴覚を刺激する。これまでも互いの温もりを求めて何度も肉体をつなげてきたが、激しさは増してゆくばかりで、ふたりの情熱は冷めるところを知らない。
「キ、キョースケっ、わ、吾は……もう……でる!」
「ああ、イってくれ。オレも限界だ。」
「……くっ、うっ、キョースケぇ!!」
「……っ! ジルヴァン……!」
ほぼ同時に快感の絶頂を迎えた恭介だが、射精後もジルヴァンの体内から離れず、いつもより長く余韻に浸ることにした。青空に眩しい太陽が昇るまで肌と肌を触れ合い、特別で濃密な共寝を堪能した。
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