264 / 364
第263話
しおりを挟む「やい、レッド。例のブツ、持ってきたか?」
「おうおう、レッドよ。おまえの姉ちゃんって、巨乳らしいじゃん。こんど紹介しろよ。」
「なぁ、さっさと金だせよ。万札1枚でいいからさぁ。」
恭介の思ったとおり、他に誰もいない廊下の突き当りで、恐喝行為が繰り広げられていた。
(……レッドのやつ、いつからだ? こんなのは早期解決するに限るってのに、あの様子だと、かなり前からカツアゲ被害に遭ってるっポイな……)
社会人として見過ごせない現場を目撃した恭介は、迷わず被害者を助ける選択をした。相手は6人もいたが、自分より若く見える。同じ内官である以上、説得できると思った。
「キミたち、そこまでにしろ。」
正義を気取るつもりはないが、颯爽と現れた恭介は、6人全員からギロッと鋭い視線を浴びた。
(おっと、すごい目つきだな。さすが不良って感じだぜ……)
悠長なことを考えながら6人組に歩み寄る恭介だが、壁際に追い込まれていたレッドは、青ざめて叫んだ。
「キ、キョースケ様が、どうしてここに!? 危険っす!!」
「キョースケだと? どっかで聞いたことある名前だな。」
「こいつ、このあいだ勲章をもらった事務内官じゃねーか!? ほら、胸に付けてるやつ見てみろよ!」
「ホントだ! 内官からひとり表彰されたって流言は、本当らしいな。」
「ふうん? こいつが、あの有名人のイシカワキョースケ? へぇ、黒髪じゃん。めっずらしぃ~。」
「けっこう、見た感じは普通の男だな……。ちょっとイイ顔してるけど……。」
レッドの反応を皮切りに、不良たちは恭介の感想を好き勝手に述べた。こんな時、自分に対する世間の目を痛感する恭介だが、まずは悪しき実態の是正を試みる。
「……ああ、そうだ。オレはイシカワキョースケという者で、キミたちと同じ内官だ。そこにいるレッドはオレの知り合いなンだけど、こんな場所まで連れてきて何してるンだ? ……見たところ、穏やかな雰囲気じゃないよな。」
つい、説教じみた口調になってしまうと、不良のひとりから胸倉をガシッと、乱暴な手つきで掴まれた。だが、恭介はまだ動じない。
* * * * * *
2
お気に入りに追加
186
あなたにおすすめの小説





サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる