恭介の受難と異世界の住人

み馬

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第263話

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「やい、レッド。例のブツ、持ってきたか?」
「おうおう、レッドよ。おまえのネェちゃんって、巨乳らしいじゃん。こんど紹介しろよ。」
「なぁ、さっさとカネだせよ。万札まんさつ1枚でいいからさぁ。」

 恭介の思ったとおり、ほかに誰もいない廊下の突き当りで、恐喝きょうかつ行為が繰り広げられていた。
(……レッドのやつ、いつからだ? こんなのは早期解決するに限るってのに、あの様子だと、かなり前からカツアゲ被害に遭ってるっポイな……)
 社会人として見過ごせない現場を目撃した恭介は、迷わず被害者スガードを助ける選択をした。相手は6人もいたが、自分より若く見える。同じ内官である以上、説得できると思った。

「キミたち、そこまでにしろ。」

 正義を気取るつもりはないが、颯爽さっそうと現れた恭介は、6人全員からギロッとするどい視線を浴びた。
(おっと、すごい目つきだな。さすが不良って感じだぜ……)
 悠長なことを考えながら6人組に歩み寄る恭介だが、壁際に追い込まれていたレッドは、青ざめて叫んだ。
「キ、キョースケ様が、どうしてここに!? 危険っす!!」
「キョースケだと? どっかで聞いたことある名前だな。」
「こいつ、このあいだ勲章をもらった事務内官じゃねーか!? ほら、胸に付けてるやつ見てみろよ!」
「ホントだ! 内官からひとり表彰されたって流言うわさは、本当らしいな。」
「ふうん? こいつが、あの有名人、、、のイシカワキョースケ? へぇ、黒髪じゃん。めっずらしぃ~。」
「けっこう、見た感じは普通の男だな……。ちょっとイイ顔してるけど……。」

 レッドの反応を皮切かわきりに、不良たちは恭介の感想を好き勝手に述べた。こんな時、自分に対する世間の目を痛感する恭介だが、まずは悪しき実態の是正ぜせいを試みる。

「……ああ、そうだ。オレはイシカワキョースケという者で、キミたちと同じ内官だ。そこにいるレッドはオレの知り合いなンだけど、こんな場所まで連れてきて何してるンだ? ……見たところ、穏やかな雰囲気じゃないよな。」

 つい、説教せっきょうじみた口調になってしまうと、不良のひとりから胸倉むなぐらをガシッと、乱暴な手つきでつかまれた。だが、恭介はまだ動じない。

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