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第254話
しおりを挟む男女の恋愛にかぎらず、性的な係わり合いは簡単に成立する。たとえば挨拶ていどのキスや、危険を回避するため肩を抱き寄せたりと、腕を伸ばせば届く距離に相手がいる場合、ほぼ毎日のように身体的接触は起こりえるものだ。
(……結局のところ、オレにも私欲がはたらいてるけどな。文官になって、ジルヴァンにもっと近づきたいってさ。……キミの息づかいを誰よりも感じてるくせに、贅沢な話だよな)
スガードは、ふだんは雑用を担当する平の内官らしい。また、聞くところによると彼女はいないようだ。エロ本だけが息抜きの手段であり、日常のストレスを発散する意味を持つならば、必要な娯楽と認めてあげるべきだろう。余計な口出しは無用である。
「じゃあ、オレもそろそろ執務室に行くよ。……スガード、その本、上司にバレないよう気をつけろよ。」
「はい、ご苦労様です! あの、キョースケ様にひとつお願いがあるっス!」
「うん?」
「自分のことは“レッド”と呼んでもらえませんか!? スガードもレスレットも発音しにくいから、みんな勝手にレッドって略して呼んでるっス。これからは、キョースケ様にもそう呼ばれたいっス!」
「わ、わかった。レッドだな?」
「ありがとうっス!!」
スガードならぬ、レッドと強制的に交流が継続されそうな恭介だが、どこか憎めない明るい性格につき、無意識に笑みを浮かべた。
(なんか、ヤンチャな高校生みたいだな。元気が空回りしなきゃいいけど……)
初対面だが、そこそこ打ち解けたところで、恭介が先に備品倉庫をあとにした。レッドがこちら名前を知っていた理由を聞きそびれたが、同じ役職に就くため、その内また会えるだろうと思った。そして、再会は早かった。
その日の夕刻、ユスラが退勤してから残業をしていた恭介のところへ、レッドが訪ねてきた。
「キョースケ様、お疲れっス~!!」
バターンッと、両開きタイプの扉を力いっぱい押しあける。すると、メリッとイヤな音がして、片方の扉が歪んでしまった。
「ああぁ~っ、弁償っすかね、これ!?」
「……いや、釘が緩んだだけだろ。」
「よ、よかった~。自分、貧乏だから、どうしようかと思ったっス~!」
恭介は扉の不具合を確かめながら(レッドの奴、なにしに来たンだ?)と、疑問に思った。
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