254 / 364
第253話〈不良志向、上等〉
しおりを挟む「おい、クィンシーズ。キョースケ様は今、取り込み中なんだよ。あっち行ってろ。」
そう云って、ユスラを備品倉庫から追い出したスガードは、得意気に「フンッ、やったぜ!」と親指を立てる。
「さぁ、キョースケ様。好きなだけ見てくださいっす!! なんだったら自分、廊下を見張りましょうか!?」
(……うん? やけに軽い調子だな)
スガードは、まるで恭介のことを親分とでも呼びそうな勢いで、距離を縮めてくる。とはいえ、恭介の手にエロ本があるうちは、スガードの対処に助けられたことになる。
(……朝から備品倉庫でエロ本って、どんなシチュエーションだよ。あやうく、ユスラに誤解されるところだったぜ。……ジルヴァンも、ごめんな)
今更ながら、気まずくなってきた恭介は、スガードに“究極のエロス”を返した。まっとうな成人男性なら、ふつうに手に取ってみたくなる書物につき、スガードに対する偏見や怒りはない。出勤時刻まで、もう少し余裕が見られるため、恭介はスガードと会話した。
「さすが、キョースケ様っすね。高そうな腕時計を付けてて、かっこいいっす!」
愛用するクォーツ時計はジルヴァンからの贈物だが、恭介は何も応えず、「あのよ」と話題を変えた。
「エロ本を読む場所が、なんで倉庫なんだ? もっと他にもあるだろうに。」
「あはは~、どうもスミマセン。東棟のほうが人気が少ないっていうか、知り合いがいないっていうか。この本も平内官のあいだで廻し読みしてる限定版でして、自分の番がきたから帰りまで待ち切れなくて、つい……、」
「限定版ねぇ。」
「もしかして知らないっすか? この絵師、すごい流行ってるンすよ。」
「ふうん……?」
「そのようすだと、ご存知ないっすね。この絵師、なんと夫婦らしいンですよ! 旦那と奥さんが実際に同じことをヤってるって話です。それって、超エロくないっすか!?」
「実際に? そ、そうだな。」
「あぁ、自分もいつか、美人で巨乳な女性と結婚して、色んな性交を楽しむ夫婦になりたいっす。せめて彼女がいれば、毎日おっぱいだけでも揉ませてほしい~。」
スガードの爆弾発言に、恭介は内心呆れた。
* * * * * *
1
お気に入りに追加
185
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。



ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる