恭介の受難と異世界の住人

み馬

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第252話

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 スガードの反応をよそに、恭介の手は次々とページをめくった。

(エロいぞ、これ。エロすぎるだろ……) 

 先のページへ進むほど、めくるめく肉欲の世界が描写されている。印刷技術も高い。しかも、やたら女性が積極的にからんでくるため、恭介は少し不快になってきた。

(……オレは攻め側タチだから、こんなふうに尻をたたかれたり、馬乗りされるのはかねぇけどな。……ジルヴァンを抱くときは、正常位か後背位バックスタイルだけど、受け手を四つん這いにさせるのって、あとから罪悪感がハンパねぇンだよな。……すげぇ興奮するけど)

 肌の触れ合いを求める上で、相手の精神状態を気遣う立場にある恭介は、仰向けになっているジルヴァンの股をひらき、おおい被さる体勢が基本である。なにより、挿入時に苦悶の表情を浮かべるジルヴァンから、目をらせるはずがない。未知なる刺激を引き受ける、第6王子の必死な姿を見るたび、恭介は情人イロとしてではなく恋人として、愛おしく感じた。

(もし性交セックスが、受け身だけがつらい思いをする行為なら、オレはジルヴァンを抱けないぜ……)

 朝からエロ本を片手に情事について考え込む恭介は、備品倉庫の扉からユスラが登場すると、振り向いたスガードと一緒に「「うわーっ!?」」と、叫んだ。

「キ、キョースケさん? こんなところで何をしているのですか?」

 恭介は、さきほどのスガードと同じように、後ろ手にエロ本を隠すと、不自然な笑みを浮かべた。
究極のエロスこんなもの、未成年のユスラには見せられないぜ!)
 ただでさえ、第4王子シグルト情人イロでありながら、まだ快経験のないユスラに、男女が性交するだけの本を、見せるわけにはいかない。

「……そちらの方は?」
「あぁん? 自分は、スガード=サキ=レスレットだ。そっちこそ誰だよ。名乗れ。」
「ぼ、ぼくはユスラと申します。ユスラ=ゾーイ=クィンシーズです。事務内官です。」
「ってことは、キョースケ様の部下か?」
「キョースケさんは、先輩になりますが……。」
「ふ~ん? 事務内官のくせに黄金きん輪具リングなんか嵌めてやんの。」

 スガードは情人の証である輪具の意味を知らず、ユスラを小者こもの扱いした。

    * * * * * *
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