253 / 359
第252話
しおりを挟むスガードの反応をよそに、恭介の手は次々とページをめくった。
(エロいぞ、これ。エロすぎるだろ……)
先のページへ進むほど、めくるめく肉欲の世界が描写されている。印刷技術も高い。しかも、やたら女性が積極的に絡んでくるため、恭介は少し不快になってきた。
(……オレは攻め側だから、こんなふうに尻を叩かれたり、馬乗りされるのは好かねぇけどな。……ジルヴァンを抱くときは、正常位か後背位スタイルだけど、受け手を四つん這いにさせるのって、あとから罪悪感がハンパねぇンだよな。……すげぇ興奮するけど)
肌の触れ合いを求める上で、相手の精神状態を気遣う立場にある恭介は、仰向けになっているジルヴァンの股をひらき、覆い被さる体勢が基本である。なにより、挿入時に苦悶の表情を浮かべるジルヴァンから、目を逸らせるはずがない。未知なる刺激を引き受ける、第6王子の必死な姿を見るたび、恭介は情人としてではなく恋人として、愛おしく感じた。
(もし性交が、受け身だけがつらい思いをする行為なら、オレはジルヴァンを抱けないぜ……)
朝からエロ本を片手に情事について考え込む恭介は、備品倉庫の扉からユスラが登場すると、振り向いたスガードと一緒に「「うわーっ!?」」と、叫んだ。
「キ、キョースケさん? こんなところで何をしているのですか?」
恭介は、さきほどのスガードと同じように、後ろ手にエロ本を隠すと、不自然な笑みを浮かべた。
(究極のエロス、未成年のユスラには見せられないぜ!)
ただでさえ、第4王子の情人でありながら、まだ快経験のないユスラに、男女が性交するだけの本を、見せるわけにはいかない。
「……そちらの方は?」
「あぁん? 自分は、スガード=サキ=レスレットだ。そっちこそ誰だよ。名乗れ。」
「ぼ、ぼくはユスラと申します。ユスラ=ゾーイ=クィンシーズです。事務内官です。」
「ってことは、キョースケ様の部下か?」
「キョースケさんは、先輩になりますが……。」
「ふ~ん? 事務内官のくせに黄金の輪具なんか嵌めてやんの。」
スガードは情人の証である輪具の意味を知らず、ユスラを小者扱いした。
* * * * * *
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
171
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる