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第200話
しおりを挟む「やめろ!! ウル!!」
「おとなしく抱かれろ。」
「誰がおまえなんかに抱かれてやるか!! 離せ!!」
裸身のふたりは、寝床で格闘していた。両方の足頸を掴まれたリゼルは、腹筋の力を使って上体を起こし、ウルの首を両手で絞めあげた。
「……いいぜ。殺れよ。」
「うるさい! 本気で死にたくなけりゃ、離れろ!!」
「云ったはずだ。オレサマは、おまえに殺されるまで離れないと。……どうした。もっと強く絞めろよ。指が慄えてるぜ。」
「……くっ!! あっ!?」
躊躇するリゼルにかまわず、ウルは股のあいだへ顔を埋め、太腿の内側に舌を這わせた。
「そ、そんなトコ、舐めるなっ!!」
「少しは素直になれよ。最初はつまらなくても、すぐに気持ちよくなる。……男のクセに意気地がねぇな。」
「……っ!? なんだと! もういちど云ってみろ!!」
こんどは口唇を塞がれ、リゼルは今にもウルに降伏寸前となる。とはいえ、このまま抱かれるのは不本意につき、ガリッとウルの舌を噛んだ。ポタポタと口の端から血が流れても、ウルの表情は変わらない。
「……ウル、やめろ。……こんな真似しても、オレはおまえを殺さない。そう簡単に死なせてやるもんか。……だから、よせ。これ以上やったら、本気でおまえを憎むぞ。」
「ふうん? こんな真似されても、まだオレサマを赦せるってのか?」
「赦すもなにも、突然あらわれて、一方的に死にたがって、勝手にオレのこと好きだとか云うやつのことなんか、信用できるか!」
リゼルは片足をあげ、ウルの腹部をドカッと蹴りつけた。相手がふらついたすきに寝床から抜け出すと、脱がされた衣服を手探りして引き寄せた。ほんの一瞬、このままウルに身を委ねてしまおうかと血迷ったリゼルは、自分自身の愚かさのほうが許せなかった。気を取り直す必要があるため、いったん洞窟の入口まで逃げた。
「……くそ、ウルのやつ。いつも好き勝手しやがって。こっちの気も考えて行動しろっての。」
リゼルは咽喉の奥で血の味がした。噛みついた時、ウルの血を少し呑んでしまったようだ。錆びた鉄のような味だった。
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