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第173話
しおりを挟む「あぁ~、もう! リゼルってば、またこんなに汚してきたのぉ。」
「だって、父さんが強すぎるから……、」
「はいはい。すぐに洗うから、脱いで脱いで!」
太陽が沈み、洞窟の奥へ戻ってきたリゼルを見るなり、シリルは口唇を尖らせた。ゼニスに返り討ちに遭ってばかりいるリゼルは、頭からバサッとワンピースを脱いで裸身になると、シリルに近づいてガバッと抱きついた。
「わっ? なに、リゼル?」
「母さんのにおい、大好き。」
「……そ、そうなの?」
「うん。……でも、胸がないのはどうして? オレ、母さんのおっぱいを飲んで成長したはずだよね?」
「うわぁ!? リゼルってば、どこ触ってるのさ~っ!!」
ワンピースのうえから胸板を指でさぐられたシリルは、「ひぇ~っ」と変な声をあげる。あとからやって来たゼニスは、リゼルの項を掴んでシリルから引き離した。
「ねぇ、父さん。父さんは母さんと交尾したから、オレが生まれたんだよね?」
「なんだ、突然。」
「母さんのカラダから雌のにおいがするのは確かだけど、おっぱいがないからふしぎに思って……、」
「シリルの胸は、母乳が必要なときでなければ大きくならない仕組みなんだよ。」
「へぇ? じゃあ、こっちはどう説明するの?」
リゼルはそう云うなり、シリルのワンピースをぴらっと捲り、雄の生殖器官を指先で、ちょんちょんと触れた。
「あっ!? こらぁ、リゼル!! エッチなことするなぁ!!」
「わわっ、母さんってば、怒ってばっかだな!」
「リゼル、今のはおまえが悪い。むやみに、他者の急所に触れてはならん。」
ゼニスに諭されつつも、シリルからポカッと頭を叩かれたリゼルは、納得がいかないとばかり、強気で反論した。
「だったらさ、オレにもわかるように話してくれよ。どうしてオレたちは、こんな洞窟でひっそり暮らしているのか、父さんと母さんが何者なのか。まさか、オレが気づいてないとでも思ってる? なんでオレにだけ、ふたりとちがう獣耳がついてるのか、いいかげん教えてくれよ。オレたち3人は、本当に家族なのか!?」
リゼルの疑念はある程度筋が通っているため、ゼニスはシリルに目配せをした。リゼルの質問に答えるためには、これから先のことも含め、長い話を聞かせなくてはならない。それは、いつか打ち明けなければいけない真実でもあった。
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