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第171話
しおりを挟むシリルは、ゼニスと交接しても妊娠しないカラダをふしぎに思いながらも、熱くて太い男性器に体内領域を刺激される感覚に、耽溺した。
「ゼニスって……、やっぱりすごいや……。ちょっとおしりが痛くなるけど、あんなふうに腰をふられても気持ちいいなんて、反則だよ……。」
リゼルを出産してから、早ふた月が経過する頃になると、シリルは快楽を優先してゼニスの温もりを求めるようになった。とはいえ、リゼルに気づかれないよう、注意を払う必要があるため、実行できる機会は少ない。
「……ぼく、もっとゼニスと性交したいなぁ。」
食餌の準備をしているゼニスの耳に、シリルの独り言は届いている。野生動物の肉を大葉で包み、焚火で蒸し焼きにしていたゼニスは、
「なにを云いだすかと思えば、そんなことか。」
と、ため息を吐いて寝床に座るシリルを振り向いた。
「そんなことかな? ゼニスは、ぼくと、もっとエッチなことしたくないの?」
「してるだろ。」
「そうじゃなくて、まいにち!」
「まいにち?」
「そう! ゼニスとなら、まいにちしてもいいよ、性交!」
新しい言葉を覚えたシリルは、得意気に用るが、「さすがにそれはない」とゼニスに断言されると、残念そうな顔をした。
「……そう、だよね。ぼくたちにはリゼルがいるもんね。昼間から、不謹慎だよね。……でも、夜なら平気かな? リゼルが眠ったあと性交しようよ。ねぇ、ゼニス。してくれる?」
遅咲きの思春期が到来したようすのシリルは、ゼニスから享受される感覚に興奮するカラダに興味津津とばかり、性交を要求してくる。
「そんなにしたいのか、」
「うん。ゼニスとするの好き。」
はっきり云う。互いに離れて過ごしていた月日が長いため、過去を取り戻すためにも、濃密な時間が必要なのかもしれない。ゼニスは少し悩んだが、「わかった」と頷いて見せた。
「やったぁ。じゃあ、こんやしてね。あしたも!」
「……ああ。……おまえの気がすむまで付き合うよ。」
「わ~っ、エッチなゼニスもかっこいい~。」
シリルが寝床から起きあがろうとした時、洞窟の入口付近で遊んでいたリゼルがバタバタと突進してきた。
「おい、リゼ……、」
ゼニスが止まれと云い切るまえに、脇を通過したリゼルは、シリルに体当たりする。
「うわぁっ!?」と、シリル、
「きゃはーっ!!」と、リゼルが叫ぶ。
「こらぁ! リゼル! 暴れん坊だなぁ!!」
「きゃはーっ、シリルまーまがおこったぁ~! ゼニスとーと、たすけて~!」
どちらが教えたわけでもなく、リゼルはシリルをまーま(母)と呼び、ゼニスが父親であることを認識していた。シリルの声音に怒気が含まれているのを察して、ゼニスの背後に隠れてしまう。生後2ヵ月にして、わんぱくぶりを発揮するリゼルだが、健康的な成長が見てとれるため、順調な時間が流れていた。
「ゼニスの影に隠れてもだめだからね! いいかい、リゼル! 誰かを不用意に傷つけることは、いけないことなんだからね!!」
「シリルまーま、こわいよぅ……!」
「そうだぞ! ぼくを怒らせたら、こわいンだぞ!!」
「まーまのおこった顔、こんなだよ~?」
リゼルがシリルの表情を真似して見せると、ゼニスが「ふたりとも、いったん冷静になれ」と仲介する。幼いながらに言語の発達も目ざましいリゼルにつき、今後、どのような暮らしを送らせるべきか、ゼニスは早くも考える必要があった。いつまでも、暗い洞窟内で生活するわけにはいかない。リゼルの将来について、シリルと真剣に話し合うべきだと思った。
リゼルに衣服の裾を、ぎゅっと握られたゼニスは、頭のうえに手を乗せ、ゆっくり云い聞かせた。
「いいか、リゼル。おまえは、持てる力の使い道をまちがえてはならん。」
* * * * * *
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