恭介の受難と異世界の住人

み馬

文字の大きさ
上 下
169 / 364

第168話

しおりを挟む

 リゼルの成長は目ざましく、1日の大半は睡眠についやされていたが、シリルの母乳から必要な栄養素と免疫力を摂取し、生後2週間目には、視覚や聴覚も発達していた。

「……そろそろ、歩き始めそうだな。」
「うん。ぼくもそう思ってたところだよ。だってね、リゼル自身が、よちよち練習してるもの。」 
「洞窟の入口には柵を立ててあるから安心しろ。……食糧だが、いつから固形物にするか、時期の判断に迷っている。」 
離乳りにゅうって、いうンだっけ?」 
「ああ。消化機能の発達に合わせる必要がある。」
「ぼくのおっぱい、まだ出るよ?」

 シリルはそう云って、両手で片方の乳房を刺激すると、乳頭から白色の液体が分泌した。リゼルは専用の寝床で「キュ~、クゥ~」と、寝息を立てている。太陽が西へ沈みかけているため、焚火の準備をしていたゼニスは、手の汚れを水で洗うと、産後、ほぼ裸身はだかで過ごすシリルの正面へ移動した。

「……あっ? ゼ、ゼニス?」
「いやか?」
「い、いや、じゃないけど……、」

 ゼニスはシリルの乳首をくわえ、直接、母乳を吸引する。ほのかに甘い液体がゼニスの咽喉のどへ流れ込んでくる。軽く指先を動かして乳房をむと、シリルの腰がビクッとねた。

「……んっ、ぁんっ、……ゼニス、やっぱり、だ、だめかも……、」
「何がだめなんだ?」
「だって……、き、気持ちよくなっちゃうから……、おっぱい、だめ……」
「わかった。」

 ゼニスのたわむれに、シリルの男性器が凝固している。両性具有とはいえ、女性特有の生殖器官は消失しているため、リゼルが離乳を迎えた時点でシリルの乳房も役目を終える。つまり、二度と女体化しない。そうなる前にシリルの現在の姿をしっかり記憶に残しておくべきだと考えたゼニスは、大胆な行動にでた。

「……ゼニス、……そこは、」
「おれに、さわられたくないか?」
「そうじゃなくて……、感じちゃうから……、」
「発情もなしに?」
「うん。……変、だよね? なんでだろう……、」
「べつに変ではないさ。おまえは、おれ、、に興奮する。それだけのことだ。」
「ゼニスに興奮? ぼくが、なんで……?」
「好きだからだろ。ちがうのか。」
「ち、ちがくない、けど……、ぼく、人間の気持ち、よくわからないから……、」
「そんなもの、わからなくていい。おまえは、リゼルのことだけを考えてやれ。」
「そんなのやだ。」
「やだ?」
「ぼく、ゼニスのことも考えたい。」

 シリルは首をのばし、ゼニスと口唇くちびるかさねた。ゼニスの指がシリルの男性器を這っているため、「うっ、あぅっ」と息を洩らし、快感をがまんする。
「やっ、だめだってば、ゼニスっ。……なんか、出ちゃうっ、」
「出していいンだよ。」
「はっ、あっ、んんっ……!」
 ゼニスの愛撫にすっかり反応を示すオスの部位を見たシリルは、恥ずかしさのあまり全身がふるえた。リゼルがすやすやと眠る横で、ゼニスはシリルを抱くため帯巻きベルトを外したが、発情していなければ生殖行為をしても意味がないと考える獣王子にこばまれた。

「それ以上は、やめてってばゼニス。ぼく、交接されても赤ちゃんをつくれない。」
「シリル、そうではない。おまえは、もう……」

 もはや、シリルが妊娠することはあり得ない事実だが、発情中でなければ、性交渉セックスをする理由がないと決めつけている。いっぽうゼニスは、夫婦であるはずのシリルの温もりが遠く感じた。

     * * * * * *
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...