149 / 364
第148話〈季節はずれの雨〉
しおりを挟む(このままひとりで勉強するよりも、コスモポリテスの出身者と切磋琢磨したほうが、効率よくねぇか?)
と、恭介は思った。
分厚い参考書を丸暗記するため、かれこれ数百時間は費やしてきたが、頭の中での整理は追いつかず、だんだん不安を感じた。なにしろ、恭介は日本人である。コスモポリスの文化を正確に理解しているわけではない。参考書を読みながら、ちょっとした疑問が生じても、誰にも訊くことができない上、周囲に勉強の意図を勘ぐられるわけにはいかない。
「あ~っ、くそっ。ようやく半分くらいか? ……ふう、いったん休憩するか。」
試験までの日程は、残り数ヵ月である。きょうのような休日は朝から晩まで勉強していたが、やはり、そろそろ限界が近い。
「こりゃ、少し、やり方を変えるしかねぇな。」
黒い前髪をぼりぼり掻くと、早速、肩がけのサックに参考書をしまって部屋を出る。王立図書館へ向かうため荷車に乗り込んだ。
恭介の目的は、デュブリスに会うことである。少年は漁夫の息子につき、官吏職とは無関係の存在だ。
(部外者のデュブリスくんになら、文官試験の相談をしても、ジルヴァンやアミィたちにバレる心配はねぇだろう)
そんな理由で抜け穴を見つけたが、狙いどおり会えるとは限らない。まずは図書館でデュブリスを捜し、見つからなければ漁場のある川まで足をのばす予定だった。
(……やっぱ、そんな都合よく居るわけないよな)
図書館に着いた恭介は、受付窓口で入館手続きをして紐つきの番号札をもらうと、館内を隈なく捜索した。だが、デュブリスらしき少年に行き合うことはできなかった。
窓口へ戻り番号札を返却すると、サァサァと雨の降る音が聞こえた。
「うお、マジか。」
図書館を出た恭介は、灰色の空から落ちてくる細い糸のような雨を見て、つぶやいた。
「異世界に来てから初めて降ったな。」
コスモポリスは温暖な気候につき、梅雨はなく、季節はずれの雨天もめずらしい。歩いて帰るには距離があるため、雨が止むまで待つことにした。
* * * * * *
1
お気に入りに追加
181
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
【R-18】♡喘ぎ詰め合わせ♥あほえろ短編集
夜井
BL
完結済みの短編エロのみを公開していきます。
現在公開中の作品(随時更新)
『異世界転生したら、激太触手に犯されて即堕ちしちゃった話♥』
異種姦・産卵・大量中出し・即堕ち・二輪挿し・フェラ/イラマ・ごっくん・乳首責め・結腸責め・尿道責め・トコロテン・小スカ
先生を誰が先に孕ませるかゲーム
及川雨音
BL
複数ショタ×おっぱい有りマッチョ両性具有先生総受け
おっぱいとおしりがデカいむちむちエロボディー!
強姦凌辱調教洗脳脅迫誘導だけど愛があるから大丈夫!
ヤンデレ気味なショタたちに毎日日替わりで犯されます!
【書いていくうちに注意事項変わりますので、確認してからお読みいただくよう、お願い致します】
*先生の肉体は淫乱なのですぐ従順になります。
*淫語強要されます。
*複数プレイ多め、基本は一対一です。ギャラリーがいるのはプレイの一環です。ある意味チームプレイです。
*詳しい女性器・生理描写が有ります。
*ゴミを漁る、トイレ盗撮、ハッキングなど犯罪とストーカー行為をナチュラルにしています。
*相手により小スカ、飲尿、おもらし、強制放尿有ります。
*相手により赤ちゃんプレイ、授乳プレイ有ります。
*パイズリ有り。
*オモチャ、拘束器具、クスコ、尿道カテーテル、緊縛、口枷、吸引機、貞操帯もどき使います。
*相手によりフィストファック有ります。
*集団ぶっかけ有り。
*ごく一般的な行動でも攻めにとってはNTRだと感じるシーン有ります。
*二穴責め有り
*金玉舐め有り
*潮吹き有り
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる